ありとあらゆる履物がどっさりの博物館「松永はきもの資料館」【広島】

松永はきもの資料館(あしあとスクエア)
靴、下駄、草履──ありとあらゆる古今東西の履物が集まった、広島県福山市の松永はきもの資料館。2013年に閉館した日本はきもの博物館が2015年にリニューアルオープンしました。

広島県福山市の下駄産業

松永はきもの資料館(あしあとスクエア)
広島県において広島市に次いで大きい福山市。その松永地区では明治時代から製塩業が盛んに行われていました。塩を作る過程で使われる薪を使って下駄を作り始めたところ、空前の大ヒット。昭和30年(1955年)のピークには福山市は全国一の年5,600万足にもなる下駄生産量を誇っていました。

現在も福山市は日本下駄の生産の約5割を占めている。

産業革命の機械化によって下駄の大量生産に成功

松永はきもの資料館(あしあとスクエア)
大衆のための下駄を広めた立役者が、履物商で財を成した丸山茂助(1853〜1917)です。彼は明治11年(1878年)にここ松永中之町に丸山下駄店を開業しました。最初は住み込み職人2、3人しかいない小さなお店でしたが、明治時代の産業革命により工場を機械化し、下駄の大量生産に成功しました。

従業員1300人の大工場へと発展する丸山下駄店

松永はきもの資料館(あしあとスクエア)
第一次世界大戦の不況もなんのその。大正11年(1922年)には松永初の立派な洋館も建設。昭和16年(1931年)には従業員数約1300人にも達する大工場に発展し、福山市を履物生産日本一の下駄の街にしたのでした。

丸山下駄店の洋館建築

松永はきもの資料館(あしあとスクエア)
大正時代の洋館はまだ松永はきもの資料館(あしあとスクエア)の敷地内に残っています。株式会社マルヤマの旧本社です。玄関の上にバルコニーを持つ本格的な洋館建築として建設当時話題になったそうです。文化庁の登録有形文化財にも登録されています。

喫茶店・まつぽっくりとして営業

松永はきもの資料館(あしあとスクエア)
現在は喫茶店・まつぽっくりとして営業しています。ただし営業日は毎週土曜日(13時30分〜15時30分)のみ。一週間に一度だけ、たった2時間の営業ですので、ここでお茶を飲みたい方はスケジュールを合わせて足を運んでくださいね。

伝統産業館で学ぶ、福山の下駄生産の歴史

松永はきもの資料館(あしあとスクエア)
丸山下駄店から株式会社マルヤマに至る歴史は、敷地内の伝統産業館で学ぶことができます。いち早く機械化に踏み切った初代社長・丸山茂助さんは先見の明があったんでしょうね。どんどん工場が大きくなって発展していく様をパネルや展示品で見てワクワクしました。

収蔵資料2000点以上のはきもの玩具館

松永はきもの資料館(あしあとスクエア)
ここまででも十分見どころいっぱいなのですが、メインディッシュはこれからですよ。同じ敷地にあるはきもの玩具館のコレクションがそりゃあもう素晴らしいんです。日本全国のみならず、世界各国からも集めたはきもの関係の収蔵資料が2000点以上、ピッカピカの建物にぎっしり収められているんです。

日本各地の様々な下駄コレクション

松永はきもの資料館(あしあとスクエア)
福山市松永と言えばやはり下駄。最初のコーナーには日本各地の様々な下駄がガラスケースに展示してあります。雪の上を歩くための下駄、草を引き抜くための下駄、魚を踏んづけて捕るための下駄なんてものもありますよ。

受刑者が作った小さな小さな豆下駄

松永はきもの資料館(あしあとスクエア)
この豆下駄は東京都豊島区にあった巣鴨刑務所で、大正時代の末期に獄中の受刑者が獣骨を削って作ったもの。一応虫眼鏡が置いてあるものの、覗き込んでみてもゴマ粒にしか見えません。こんなちっちゃな下駄を肉眼でよく作ったなあ。

木製のローラースケート下駄

松永はきもの資料館(あしあとスクエア)
変わり種のローラースケート下駄は広島県尾道市のもの。台座に木製の車輪が4つついています。でも足首を固定する紐はなく、鼻緒を足の親指と人差指で挟むだけだから、慣れるまで相当転びそうです。でも発想がユニーク!

歴史的なスポーツ選手のシューズコレクション

松永はきもの資料館(あしあとスクエア)
スポーツファン感涙もののコレクションコーナー。伊調馨選手、吉田沙保里選手のレスリングシューズ、王貞治選手のスパイクシューズに長嶋茂雄監督のベースボールシューズ、1951年に19歳でボストン・マラソン日本初の優勝となった田中茂樹選手のマラソン足袋など歴史的なシューズがどっさり!

雑貨やお土産品のはきものコレクション

松永はきもの資料館(あしあとスクエア)
実際に履けるものだけではなく、靴の形をした様々な生活用具も集められています。靴の形のコップ、灰皿、小物入れ、ライターなどなど。雑貨やお土産品も歴史的蒐集物と同じように並べてあるのが面白いですね。

世界各国の靴の歴史も学べる

松永はきもの資料館(あしあとスクエア)
個人的に興味津々だったのが、西洋の靴の歴史。世界中から集められた靴が美しく並べられています。18世紀ヨーロッパの貴族が履いていたハイヒールを眺めていると、どんなお姫様が履いていたんだろうと想像が膨らみます。

スチームパンク時代の靴の構造を間近で見られる

松永はきもの資料館(あしあとスクエア)
また19世紀末の靴は、こういう構造になっていたのかと発見がありました。私のもう一つの趣味スチームパンクの時代の靴は写真だけでは分からない部分があったのですが、実際に目にしてヒールの太さや革の使い方などとても勉強になりました。

全部じっくり見るには一日がかり!

松永はきもの資料館(あしあとスクエア)
「はきもの玩具館」という名称なのは履物だけでなくおもちゃのコレクションも展示しているからです。ここは展示室だけで8つもあり、全部見るのは相当時間がかかります。早足で見ても1時間。じっくり見学するなら丸一日かかるぐらいです。

はきものとおもちゃの関係は?

松永はきもの資料館(あしあとスクエア)
でも履物と玩具に何の関係があるのかしらと思ったら、パンフレットにこうありました。

「はきもの」は身体を支え
「玩具」はこころを支える

福山市松永はきもの資料館は、日本はきもの博物館・日本郷土玩具博物館から引き継いだ貴重な資料をはじめ、松永地域の産業を支えた下駄・い草・塩の生産関連の資料の多くを収蔵・展示しています。地域の歴史と文化を継承しながら地域資源を活かしたまちづくりにも寄与する施設となるよう運営していきます。

なるほど。上手いこと言うなあ。

国内最大のコレクション・ホピ族のカチナ人形

松永はきもの資料館(あしあとスクエア)
驚いた展示がこちら。アメリカ合衆国アリゾナ州北東部の先住民族であるホピ族が作った精霊人形・カチナ人形、324点。カチナ人形のコレクションとしては国内最大です。カチナ人形は子供たちに伝えるため、冬から夏に行われる祭りに登場するカチナ(精霊)を人形にしたものです。斬新なデザインにぐっと心を掴まれました。アニメっぽくて可愛い!

鮮やかな水色の足あと広場は何?

松永はきもの資料館(あしあとスクエア)
コレクションのほんの一部しかご紹介できませんでしたが、もうお腹いっぱい状態。最後のデザートとして足あと広場をご紹介しましょう。伝統産業館の前にあるカラフルな庭。鮮やかな水色が目を引きますね。

岡本太郎氏デザインのにぎやかな庭園

松永はきもの資料館(あしあとスクエア)
足あとの形をした庭は、芸術家・岡本太郎氏がデザインしたもの。大地と人間のいのちがぶつかりあう接点としての「あし」を、大きな男の足と小さな女の足として表現したそうです。女の足は水をたたえた池になっています。一日たっぷり展示を見た後はここでのんびりお休みくださいませ。(2017年05月03日訪問)【麻理】

松永はきもの資料館(あしあとスクエア)は写真撮影はできますが、フラッシュ撮影は不可となっています。写真を撮る際にはお気をつけて。

参考文献

地図&情報

松永はきもの資料館(あしあとスクエア)
住所 :広島県福山市松永町4-16-27
電話 :084-934-6644
休業日:月曜日〜木曜日(※金、土、日、祝日のみ開館)
時間 :10:00~16:00
入場料:大人300円
駐車場:無料
関連URL:松永はきもの資料館(あしあとスクエア) – 福山市ホームページ
※情報修正2017年08月

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