足を広げた妊婦さんの形? 安産の神様「オブサン古墳」【熊本】

オブサン古墳
熊本県菊池川流域には考古学的に貴重な装飾遺跡が集中しています。チブサン古墳の近くにあるオブサン古墳も一部に文様が残っています。まるで妊婦さんが足を広げたような形の古墳です。

安産の神様として地元の方の信仰を集める

オブサン古墳
チブサン古墳の北西約200mの場所にあるオブサン古墳。「産(うぶ)さん」の言葉から安産の神様として地元の方に信仰されてきました。チブサンが乳房、オブサンは出産に関わる神様なんですね。チブサン古墳とともに国の史跡に指定されています。

おっぱい? それともUFOと宇宙人?「チブサン古墳」【熊本】
熊本県山鹿市のチブサン古墳は、壁画がおっぱいに見えるため乳の神様として崇められていますが、別の壁に奇妙な人物も描かれています。UFOと宇宙人の姿だとも言われるのですが……?

オブサン古墳は丸い形をした円墳

オブサン古墳
オブサン古墳は南側に入口がある丸い形をした円墳です。直径約22m、高さは約4m。6世紀後半の築造と考えられています。こちらもチブサン古墳と同じく盗掘されていたため、石室の一番奥にあっった石屋形が跡形もなく破壊されていました。

足を広げた女性の子宮の形?

オブサン古墳
オブサン古墳の石室は手間の前庭から羨道(せんどう)、前室、後室と続く配置になっています。こういった古墳の構造は足を広げた女性の子宮の形に似ているという説があります。確かに死後魂が再び生まれ変わることを願えば、墓を子宮の形にするのも納得できることです。

熊本地震以降は内部への立入り禁止

オブサン古墳
オブサン古墳も以前は入ることができたのですが、2016年04月の熊本地震以降は内部への立ち入りは禁止されています。残念ながら見られるのは入り口のみ。内部の後室の仕切り石には連続した三角の模様が描かれていたことからチブサン古墳との関連があると考えられています。

野外展示に向いている陶器の説明書き

オブサン古墳
オブサン古墳の近くに説明書きと副葬品などの展示があります。余談ですが、説明書きが陶器に書かれていることに感心しました。これは野外展示には素晴らしいアイデアですね。紙や木に書かれていて劣化してしまって説明文が読めないことがよくあるからです。

オブサン古墳出土の遺物のレプリカ

オブサン古墳
これらはオブサン古墳から出土した遺物のレプリカ。装身具や鉄製の馬具・武具、須恵器など。古墳時代のものだけでなく、近世になって出産の神としての信仰に関する遺物(陶磁器や銅線など)も出土しています。しかし古墳内部の玄室の副葬品はほとんど見られないことからかなり早い時期に盗掘されたと考えられています。

古代人の知恵と技術は素晴らしい

オブサン古墳
復元前の墳丘の写真。南に傾斜する面に溝を掘って土を持って築造してあります。これは斜面の下から見上げることによって古墳をより壮大に感じさせるという錯覚を利用した構造です。しかも水の侵入を防ぐために白粘土によって天井石近くが目張りされていました。オブサン古墳が1500年経った今でも美しく保たれているのはそういった古代人の知恵のおかげです。昔の人々の技術は素晴らしいですね。

古墳を塞いでいた閉塞石の展示も

オブサン古墳
これは古墳を塞いでいた閉塞石(へいそくせき)のレプリカ。左が前室の閉塞石、右が玄室の閉塞石。左の閉塞石は破壊されていたので黒っぽい部分は複合復元されています。ポコポコ丸い穴があいているのは西南戦争の時の弾痕なんですって。

心がスーッと落ち着く癒やしの古墳

オブサン古墳
横から見たオブサン古墳はポコンと膨らんだお腹の妊婦さんが寝ているような形ですね。石室=産道説は仮説に過ぎません。それでも地元の方から信仰を集めていることは十分納得できますし、実際に足を運んでみると心がスーッと落ちついてくるような癒やしを感じましたよ。(2017年05月06日訪問)【麻理】

参考文献

地図&情報

オブサン古墳

住所 :熊本県山鹿市城字西福寺
電話 :0968-43-1145(山鹿市立博物館)
休業日:月曜休館、月曜が祝日のときはその翌日、年末年始
時間 :見学自由
見学料:無料
駐車場:無料
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