青酸カリはアーモンドの香り──でもアーモンドってどんな匂いなの?

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青酸カリはアーモンドの香り
訳ありの宿泊客が集う、嵐の山荘。食事をとっていた男が急に苦しみだし絶命する。騒然とする人々。その中の一人が遺体に近づき、口元に顔を寄せる。「むっ、アーモンドのにおいがする。青酸カリによる毒殺だ!」

こんなシーン、ドラマやアニメで何度もやってますよね。先日、私も刑事物ドラマで見ました。その度に思うんです。「ちょっと待ってよ」って。

アーモンドのにおい」はどんなにおいだと思いますか? 多分ほとんどの方が「アーモンドチョコレート」の連想から「甘くて香ばしい香り」を想像すると思うんです。

ノンノン。それはアーモンドの「種(ナッツ)」。実は、青酸カリで毒殺された人の口臭はアーモンドの「実」のにおいで、アンズとかウメっぽい「甘酸っぱいにおい」なのです。

青酸カリ。正式名称・シアン化カリウム(KCN)。飲むと胃液などの酸と化合してシアン化水素が発生します。つまり発生した青酸ガスによって人間は死ぬのです。青酸カリ自体にアーモンド臭があるわけでなく、発生したガスのにおいが甘酸っぱいのですね。

水によく溶けて強アルカリ性の水溶液になるので、死体を解剖してみると強アルカリで口内や食道、胃袋が真っ赤にただれています。こんな猛毒なのに、絶命直後の死体に口を近づけてアーモンド臭のする気体を思い切り吸い込む方なんて自殺行為ですよ。死体の口についている青酸カリに虫歯の酸が反応することもありますから、絶対に人工呼吸などもしないでくださいね。お姉さんとの約束よ!

元東京都監察医務院長、ベストセラ『死体は語る』の著者・上野雅彦氏は『監察医が明かす女だけの死体ファイル』の中でこう語っています。

前著でも書いたが、メッタ刺し事件の場合も同様で、それは、生き返ってこないでくれと何度もとどめを刺す、身体的に弱い立場の人間の犯行であることが多い。それでもその理解を広く認めてもらおうにも先入観が強くて一筋縄にはいかない。どれだけ私がそういっても、メッタ刺し殺人が起きるたび、犯人に恨みのある残虐な犯行だと単純に思われる節があるのだ。(上野雅彦氏『監察医が明かす女だけの死体ファイル』)

他にも一般に信じられている犯罪の俗説や思いこみについて書かれてあり、なるほどとうならされます。不謹慎なようですが、私はミステリが大好きです。巧妙に練られたトリック、犯人の心理描写など、探偵と犯人の頭脳合戦にわくわくしたいのです。安直な作りのものや間違った知識の書かれたものだとガックリきてしまいます。

ネットをちょろっと検索するだけで「青酸カリに関する誤解」についてのサイトが山ほど出てきます。これほど知れ渡っているのになぜ「アーモンド臭」なんて誤解を生みそうな表現を使うのでしょうか?

こんなに憤りを感じ、熱弁をふるう私に、家族は「またウンチクが始まった」とうんざりした顔をするんですよ。これまた憤りを感じるのですよ。【麻理】

今日のサイト

「見上げた世界(pya!)」(リンク切れ)

視点を変えるだけで別世界。

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