南米インカ帝国のピラミッドかマヤ文明の遺跡か!? 実はこの石積みプラミッドは岡山県赤磐市にある熊山遺跡です。謎が謎を呼ぶ、古代吉備王国のロマンあふれる地を訪ねました。
吉備王国の中心から隅(すみ)にある山
熊山は標高508メートルの山。岡山県南部でもっとも高い山ですが、熊山と言ってもクマが出るというわけではありません。熊山は吉備王国の中心からすると隅(すみ)っこにあるので「くまやま」と呼ばれるのです。
登山は歩きやすい格好で
山頂にたどり着くまでが大変。曲がりくねった細い山道を延々クルマを走らせねばなりません(※)し、駐車場から登山することになります。でも整備されている山道ですので登山用の装備は必要ありません。
急に開けた広場にたどり着く
良い運動になりました。途中天然記念物である樹齢1000年のスギの木や、後に述べる熊山神社もありますから、それらを眺めているとあっという間に山頂。急に開けた台地状の広場にたどりつきます。
高さ3.5メートルの階段状遺跡
広々とした芝生の敷地が広がっています。唐突に遺跡が現れるのでびっくりしました。全体の高さは3.5メートル。割った石を4段に積みあげていて、各段は四角形をしています。
東西南北を向いている遺跡
それぞれの面は正確に東西南北を向いています。基底部は1辺11.5メートル、2段目は1辺7.6メートル、3段目は1辺5メートル、最上段は1辺3.5メートルです。正確にパズルのように石が組まれています。台風などでも崩れなかったのかしら。
穴からは陶製の筒方容器が発見
段の中央部分には縦横80センチの穴が開いていて、中から1.6メートルの陶製の筒型容器が発見されました。容器には三彩の小壷と巻物が入っていたそうですが、盗難により現在は紛失しています。この筒方容器と小壷からみると、年代は奈良時代前期ではないかと言われています。
諸説紛々の謎の遺跡
この熊山、登るだけでも結構大変なのに、いったいこれほどの巨大な遺跡を誰が何のためにどのように作ったのかは不明。仏教の戒壇、仏塔、豪族の墓、修験道の遺構など諸説あるものの決定的となる説はまだ出ていません。
熊山全体に30基以上の石積み遺跡
さらに熊山一帯には、このような石積みの遺跡がなんと32基も確認されています。これらは熊山遺跡の石積みによく似ていますが、目的、年代、築成者がそれぞれ異なっていると思われ、ますます謎は深まります。
インカ・マヤ? ボロブドゥール?
冒頭にインカ・マヤのピラミッドに似ていると書きました。壁面に祠のような穴がある洋式からそう感じたのですが、その一方でボロブドゥール遺跡との類似を指摘する人もいます。このような方形の遺跡は徳島の八倉比賣神社や、奈良の頭塔のように日本各地にあります。
超古代文明マニアに超お薦め
もちろんこの地方に伝わる吉備津彦伝説とのつながりも十分考えられます。熊山に散らばる各遺跡の築成も興味深いです。超古代文明に興味津々のマニアにとっては、舌なめずりしたくなるような素晴らしい遺跡ですね。
熊山神社にもお参りしましょう
遺跡を訪れた際には参道の途中にある熊山神社にも詣でましょう。そびえる石段にひるみそうになりますが、熊山は霊山ですのでちゃんとお参りしないとね。ちなみに郵便屋さんは階段をバイクで登ってました。(2008年05月03日訪問)【麻理】
岡山・吉備津彦関連の地レポート
参考文献
地図&情報
熊山遺跡(くまやまいせき)
住所 :岡山県赤磐市奥吉原
電話 :086-955-0710(赤磐市教育委員会)
時間 :10:00~17:00
休業日:年中無休
入場料:無料
駐車場:無料(20台)