岡山の吉備津神社は伝説の英雄・吉備津彦が陣を張った神社です。ここには吉備津彦に倒された鬼・温羅の首が埋まっており、その首に吉凶を占わせる鳴釜神事が行われることで有名です。
不思議な景観の回廊
吉備津彦(きびつひこ)はこのあたりに館を持ち、温羅退治の後数百歳まで生きたとか。本殿と末社などをつなぐ回廊が延々と延びていますよ。総延長は398メートル。ゆるやかなスロープ、規則正しい配置の柱。人がいなくなるとまるでRPGのCGの中にいるような気がしてくる不思議な景観です。
温羅の首が埋まっている御竈殿
回廊の途中にある御竈殿(おかまでん)です。この内部にあるかまどの下、2.4メートルには、温羅(おんら)の首が埋められているんですよ。吉備津彦に首をはねられてさらし首にされても、うなりつづけたという温羅。うるさいので犬に喰わせたけれど(ヒドイね)、骨になってもうなり続けたそうです。
世の吉凶を占う鬼の首
仕方なく吉備津神社の御竈殿に頭蓋骨を埋めたものの、13年間もうなり声が止みませんでした。ある夜、温羅が吉備津彦の夢に現れて、釜で神饌(しんせん:神への供物)を炊けば、世の吉凶を占うと約束します。
鳴釜神事の由来
これが釜に湯を沸かして吉凶を占う鳴釜神事(なるかましんじ)の由来です。上田秋成の『雨月物語(吉備津の釜)』にも登場する有名な神事です。私が御竈殿を訪れたとき、ちょうど鳴釜神事が行われていました。実際に釜はウォーン、ボーッという音をたてるのです。
今でも行われている占い
中を覗くと、巫女さん、神主さんがご家族の前で祝詞をとなえて占いをしていました。岡山では数千年前の吉備津彦伝説が今も生活に息づいているんですね。このような神事が現代でも岡山で綿々と行われていることに感激しました。
名物「桃太郎蕎麦」を食べながら
吉備津神社の前にあるお土産屋さんで一休み。名物の「桃太郎ソバ」を食べながら伝説について想像に耽りました。
百済からやってきたという鬼・温羅とはいったい誰だったのか? かつて大和朝廷に匹敵するほどの強大な勢力、高度な文明を持つ国があったという「古代吉備王国」説。古事記・日本書紀にも「吉備津彦」の文字はあるのに、その後正史から消えてしまったのはなぜなのか?
キジ肉入りはありなのか?
気になるのは、実は吉備津彦伝説にはもう一つ別のお話があるということ。それについては次回のレポートでお話しましょう。ところで桃太郎ソバの中の具にキビ団子とキジ肉が入ってました。キビはいいけど、けらいを食べちゃっていいのか。美味しいけど。(2008年05月04日訪問)【麻理】
岡山・吉備津彦関連の地レポート
参考文献
地図&情報
吉備津神社(きびつじんじゃ)
住所 :岡山県岡山市吉備津931
電話 :086-287-4111
休業日:年中無休
時間 :08:30~18:00
駐車場:無料
関連URL:吉備津神社