陰陽師といえば安倍晴明。晴明に関する神社は京都や大阪に多いのですが、この清明神社は福井県敦賀市にあります。ご神体を祭壇の下にある小窓から覗いて拝む変わった参拝方法です。
当時貿易港として栄えた敦賀
いったいなぜ福井に? そう思われるのもむべなるかな。私も全然知らなかったのですが、実は安倍晴明(あべのせいめい:921〜1005)は敦賀に住んでいたことがあるんですって。10世紀の敦賀は大陸との貿易の玄関口として栄えた港町。当時最先端の中国の学問を学ぶにはうってつけの場所でした。
晩年学問のために敦賀へ
安倍晴明は正暦年間(990~994)に敦賀で天文学、地文学を研究していました。晴明は921年生まれですから、敦賀に住んでいたのは69歳〜73歳の時。かなりのおじいちゃんです。この年で京都からはるばる敦賀まで学問のために移り住んだなんてすごいバイタリティですね。
神社にお参り
では神社の中に入って見ることにしましょう。建物の中にはおばあちゃんが一人座っていらっしゃいました。写真を撮っても良いかきくと、にこやかに許可してくださいました。お話好きな方でいろいろと伺うことができましたよ。
若い女性の聖地巡礼で人気
20年ほど前から始まった陰陽師ブーム。夢枕獏の小説『陰陽師』、岡野玲子のコミック、そして野村萬斎主演の映画で人気になり、今もその人気は衰えていません。ミステリアスな美貌の貴公子は特に女性の心をがっちりつかみ、この清明神社にも若い女性が追っかけで訪れたりするそうです。
祭壇の下を除いてみると
この清明神社が変わっているのはご神体です。それは祭壇の下の小窓の中にあるのです。ご神体にお参りする時はこの小窓から覗きこむように拝みます。不思議なところに祀られているなあ。写しやすいようにもっと奥まで入っていいですよーと言われ、恐縮しながら撮影しました。
晴明が陰陽道に使った石
祭壇の下にあるご神体の祈念石です。これは晴明が陰陽道の研究に使った石だと言われています。お金がたくさん置かれていてはっきり見えないかもしれませんが、正六角形が石の上に刻まれています。安倍晴明と言ったら五芒星(星型のマーク)だけど、六芒星や九字紋と関係があるのかしら。
安倍晴明は美青年の貴公子?
ところで。コミックや映画の野村萬斎のイメージなのか、安倍晴明は才気あふれる美青年の貴公子と思われていますが、実は晴明が歴史の記録に登場するのは40歳の時です。そして宮中の天文博士になったのは54歳。出世はかなり遅かったようです。
当時の女性作家は晴明について言及せず
同時期の有名人に、紫式部・和泉式部・清少納言がいるのですが、彼女たちの文章にも晴明についての言及は一切ありません。美青年の天才陰陽師なら絶対何かしら晴明のことを書いているはずですよね(特にミーハーな清少納言とか)。でも何もコメントがないってことは、宮中でも全然目立ってなかったってことでしょうね。
実際は地味な官僚だったみたい
どうもヒロイックな安倍晴明の伝説が作られたのは江戸時代以降のようで、実際の晴明は地味な中年官僚だったようです。でも今や若い女性に大人気で聖地巡礼までされているのだから面白いですね。私自身も見目麗しい陰陽師・安倍晴明の方が断然魅力的に感じますよ。【麻理】(2011年09月25日訪問)
参考文献
地図&情報
晴明神社(せいめいじんじゃ)
住所 :福井県敦賀市相生町8
電話 :0770-21-8686(敦賀観光案内所)
時間 :08:00~17:00
駐車場:なし
関連URL:【敦賀観光案内サイト 漫遊敦賀/陰陽師「安倍晴明」ゆかりの晴明神社】一般社団法人 敦賀観光協会