富山県郊外の呉羽山。山の斜面におびただしい量の石仏が整然と並んでいます。長慶寺の五百羅漢は亡くなった先祖の供養として奉納された、色とりどりのタスキを肩からかけています。
真言宗のお寺から曹洞宗のお寺に
富山市郊外の呉羽山にある長慶寺(ちょうけいじ)は、もともとは新川郡塩野に存在した真言宗の寺院でしたが、1786年(天明6年)に日輪禅師によってこの地に移り曹洞宗のお寺となりました。かつては桜谷の大仏と言われた金銅の地蔵大仏があったのですが、明治時代の廃仏毀釈運動によって失われてしまいました。
五百羅漢像を見に来ました
長慶寺で有名なのは五百羅漢(ごひゃくらかん)。五百羅漢とは、釈迦の入滅後に集まった仏弟子のことで、それぞれの個性や能力を活かして仏の教えを世に教えるという使命を負っています。このブログではしばしば五百羅漢のお寺を取り上げますのでおなじみの仏像ですね。
山の斜面におびただしい量の石仏
階段を降りていくと、山の斜面におびただしい量の五百羅漢が並んでいるのが目に入ります。彼らの目の先にあるのは立山連峰。富山市内を一望できる絶景スポットとしても人気で、ハイキング中の登山客とたくさんすれ違いました。
江戸時代の豪商・黒牧善次郎が奉納したもの
この五百羅漢は 江戸時代の後期の越中商人・廻船問屋の黒牧善次郎が、寛政11年(1799)から嘉永2年(1849)の50年の歳月をかけて535体を佐渡の石工に作らせたものだそうです。
50年の歳月をかけて少しずつ運んだ五百羅漢
佐渡で作らせた石仏を松浦港へ米を運びがてら持ち帰って、木町の浜で陸揚げして少しずつここに運んだのでしょう。平均寿命が短い江戸時代に50年もの長い時をかけて奉納とは──黒牧善次郎の信仰の厚さに感嘆しました。
人気のない黄昏時にはちょっと不気味かも?
江戸時代のものですからもう顔が摩耗してしまってのっぺらぼうになっている羅漢も少なくありません。やや不気味に見えてしまう石仏もあり、人気のない黄昏時には怖いような風景になるかもしれませんね。
信者の方々が奉納したカラフルなタスキ
長慶寺の五百羅漢はどれも赤、青、黄色のカラフルなタスキをかけています。このタスキは1本500円で、長慶寺の信者さんが亡くなった祖先を供養するために奉納しているのだそうですよ。お地蔵さんにタスキをかけるのはこのあたりの風習のようです。
【動画】動画で見る長慶寺・五百羅漢
羅漢像の間の小道を歩いてみました。動画でごらんください。野鳥の鳴き声が辺りに響いています。石仏が見つめる先に目をやれば、富山の町が一望できるすがすがしい風景。
カップルの目的は羅漢像でなく絶景のようです
途中何組かのカップルとすれ違いました。「若いのに五百羅漢参りとは渋いなあ、感心、感心」と思いましたが、この絶景を見に来てたんですね。ま、そりゃそうよね。夜にはきっと美しい夜景となることでしょう。(2017年11月03日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
長慶寺 五百羅漢(ちょうけいじ ごひゃくらかん)
住所 :富山県富山市五艘1882
電話 :076-441-5451
休業日:参拝自由
時間 :参拝自由
拝観料:無料
駐車場:無料(20台)