これで見納め!? 超有名建築が点在するメルヘンの街「小矢部市」【富山】

富山のメルヘンの街
東京駅か──そう思ったあなた、よく御覧ください。これは実際の東京駅の5分の1の大きさのサイクリングターミナル。富山県小矢部市にはメルヘンな建物が点在しています。

小矢部のメルヘン建築は老朽化などの理由により、2018年から徐々に姿を消すことになります。これらの珍建築が見られるのもあと数年です。どうぞお早めに。詳細は記事下の追記を御覧ください。
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一級建築士の元市長自らが設計した公共施設

富山のメルヘンの街
この建物は小矢部市のサイクリングターミナルです。小矢部市には有名な建築物をモデルにした公共の建物が35もあるんですよ。いったいなぜか? それは元市長の松本正雄氏(1976~86年在任)が一級建築士の資格も持っていて、公共施設の設計を彼自身が手がけたからなんです。これらの建物は70年代から80年代に建てられました。

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夢とロマンがクロスするメルヘンな街

富山のメルヘンの街
小矢部は「メルヘン」「ロマン」を全面に押し出している市です。夢とロマンがクロスする街、JAの一押しはメルヘン米──。かくして松本元市長の壮大なるメルヘン化計画によって、古今東西の名建築の数々が田園風景に唐突に現れることになったのであります。街まるごと自分で設計なんて、ある意味建築士の夢じゃないかしら。シムシティ的な。

東大&オックスフォードなど(大谷中学校)

富山のメルヘンの街
35ものメルヘン建築すべてをご紹介することはできませんが、代表的な建物をいくつかご紹介しましょう。

こちらは大谷中学校。塔屋は東大安田講堂、正面は東大教養学部、塔の先端はオックスフォード大学の学生寮、体育館は大阪中之島の中央公会堂、内部は国立劇場、クラブハウスのドームは、フィレンツェの大聖堂といった、名建築のごった煮状態。こんな迎賓館のような校門見たことない!

オックスフォード&ベルサイユ宮殿(蟹谷中学校)

富山のメルヘンの街
蟹谷中学校の尖塔はオックスフォード大学(高さ42m)、校舎中央はベルサイユ宮殿、左右は迎賓館という、これまた有名建築のミックス。125mの廊下は体力づくりの場として利用されているそうなのですが、つまり廊下を走ったりしてOKってこと? びっくり!

ウエストミンスター寺院&シェークスピア記念館(薮波公民館)

富山のメルヘンの街
左右の塔はご存知、ウエストミンスター寺院、中央はイギリスのシェークスピア記念館のコンビネーション。ゴシック建築なこの建物は、実は薮波公民館。こんなおしゃれな公民館初めて見た。

旧霊南坂教会&迎賓館(津沢保育所)

富山のメルヘンの街
津沢保育所です。本体は東京赤坂にあった旧霊南坂教会で、正面の入口は迎賓館です。かっこいい建物ですよね。通常の保育所のイメージからは程遠いかも。

早稲田大学校舎(津沢小学校)

富山のメルヘンの街
都の西北〜早稲田の森に♪ 早稲田大学っぽいけど、津沢小学校です。体育館は早稲田大学坪内演劇博物館を模しています。

日本銀行本店(北蟹谷公民館)

富山のメルヘンの街
アールデコな洋風建築は国の重要文化財の日本銀行本店をモデルにした、北蟹谷公民館。塔屋は三越デパート本店を元にしています。山を背景にどーんとそびえる洋館のアンバランスさが絶妙です。この日はちょうど公民館まつりをやっていました。

ボストン公会堂・セントポール寺院(松沢公民館)

富山のメルヘンの街
ボストン公会堂、塔屋はロンドンのセントポール寺院の松沢公民館。公民館がこんなにおしゃれでいいのでしょうか。眼の前に広がるのは畑です。

東京工科大学&大浦天主堂(北蟹谷保育所)

富山のメルヘンの街
北蟹谷保育所は東京工科大学(※現東大工学部)と長崎の大浦天主堂のミックス建築。松本元市長は各地の有名建築を混ぜるのがお好きだったんですね。でも意外に違和感なく両方の良いとこ取りができている気がします。

埴生高区配水池のバロックドーム

富山のメルヘンの街
埴生高区配水池のドーム型の塔。バロック風ですね。小矢部の配水池は3つあるのですが、どの貯水塔もバロックで美しい様式なんです。地元のコスプレイヤーの方はフォトジェニックなロケ地がたくさんあるのでいいですね。

立入禁止の建物はご迷惑にならないようにお願いします

富山のメルヘンの街
とまあ、1日かけて20箇所以上をクルマで回りました。全部コンプリートできなかったけど、オリエンテーリング感覚で楽しかったなあ。

でも一つだけご注意を。学校や保育所、幼稚園への立ち入りは禁止されています。見学の際は地元の方のご迷惑にならないように外から写真を撮ってくださいね。(2017年11月05日訪問)【麻理】

追記:2018年06月29日

富山のメルヘンの街

実は小矢部のメルヘン建築は2018年度から徐々になくなっていく方向にあります。理由は老朽化、少子化、公共施設削減による行財政改革です。どれも1970〜80年代に建てられたものなので、訪れたときにも老朽化がかなり目立っていました。実際このように修理中の建物も見受けられました。メルヘン建築が見られるのもあと数年かもしれません。どうぞお急ぎくださいませ。

姿消す メルヘン建築 小矢部の公共施設 少子化、老朽化…再利用難しく

国内外の有名建築を模した富山県小矢部市の公共施設「メルヘン建築」が、二〇一八年度から徐々に姿を消すことになりそうだ。背景にあるのは老朽化、少子化、公共施設削減による行財政改革の三つ。学校や公民館、武道館など一九七〇、八〇年代を中心に建設された三十五棟のうち、八月に幼稚園一棟が取り壊され、さらに二年後に新設される二つのこども園に統合する保育所五棟もほとんどが解体される見通しだ。(山森保)

解体される築四十年の石動幼稚園は、長野県松本市にある明治初期の洋風校舎・開智小学校がモデル。園児数の減少に伴い、今月末に閉園する。こども園に統合される保育所は東京国立近代美術館工芸館や東大安田講堂、長崎市の大浦天主堂などをモデルにしている。

市民の間では「立派な建物でもったいない」という声が少なくない。石動幼稚園の跡地は市の駐車場にいち早く決まったのに対し、保育所は未定のまま。市は「解体、売却を基本に地元との話し合いにも応じる」とする。

ただし、自治会や民間企業の再利用は難しい。トイレなどの改修に加え、一施設あたり年間百万円近い維持費、さらに一千万円以上とされる解体費が将来必要になる。関心を寄せる市内の企業が数社、公民館として再利用を唱える自治会役員もいるが、今のところ具体的な動きはない。

メルヘン建築の代表格の小中学校にも厳しい現実が待ち構える。市は昨春、生産年齢人口(十五~六十四歳)が三割減になる三十年後を見据え、公共施設の床面積を二割以上削減、現在の五小学校(メルヘン建築二校)を三~四校に、四中学校(同三校)を一校に減らす計画を策定。五月をめどに小中学校統廃合審議会を発足させ、遅くとも一九年度中に方針を打ち出す。

平成の大合併で単独市制を選択した市は、人口減や財政難への危機感が強い。メルヘン建築に詳しい元市部長は「学校など大規模になるほど再利用が難しい」と話す。老朽化とともに一定の役割を終え、公共施設の再編の中で取り壊しが進むことは避けられないとの見方だ。

桜井森夫市長は「メルヘン建築がすぐになくなるわけではない」と前置きし、「できるなら残したいが…。地域の皆さんと相談させていただく」と苦渋の表情。ただ、保育所の保存の要望はないといい、「住民も市の事情は分かっているようだ」と付け加えた。

姿消す メルヘン建築 小矢部の公共施設 少子化、老朽化…再利用難しく:特報とやま:富山:中日新聞(CHUNICHI Web)

参考文献

地図&情報

メルヘンの街・小矢部市(めるへんのまちおやべし)

住所 :富山県小矢部市(35の建物の詳細は公式ページで確認を)
電話 :0766-30-2266(小矢部市観光協会)
関連URL:メルヘン建築 | 見て来て体験メルヘンおやべ:富山県小矢部市観光協会

※情報修正2018年06月