兵庫県宝塚市の小浜の首地蔵は、巨大な首だけのお地蔵様。大きさは1.3メートルほど。首だけのお地蔵様はなんとも奇妙ですね。かつて宿場町として栄えた小浜へ足を運びました。
宿場町として栄えた小浜(こはま)
宝塚市の小浜(こはま)は江戸時代の交通の要所でした。当時は馬借・問屋・茶屋・旅籠が並ぶ宿場町として栄えた歴史があります。閑静な住宅街の一角に石垣でできた小高い丘があります。ここが不思議なお地蔵様のいらっしゃる場所です。
大正時代までは
街道沿いの石段の下には「首地蔵 西宮街道 伊子志の渡し」と書いてあります。近くに武庫川が流れていて渡し船があったからなんですね。武庫川は今も昔ながらののどかな風景となっています。
石段の上には巨大なお地蔵様の頭が!
石段を登った先にお堂があります。その先にお地蔵様の頭が見えていますね。通常想像する地蔵像の大きさからするとはるかに巨大なのでぎょっとします。階段を登って近づいてみましょう。
首が野ざらし状態になっているのはなぜ?
お地蔵様の首は屋根の下にあるのかと思いきや、お地蔵様の頭の上にはかかっておらず野ざらし状態です。このお堂は単なる拝堂なんですね。ちょっとかわいそうな気が……。
なぜ雨ざらしになっているかというと、お堂を建てようとする度に大工さんが病気になってしまったため「このお地蔵さんは外にいたいのだろう」とそのままの状態になっているそうです。なるほどお地蔵様の意思を尊重したのね。
お浜の首地蔵に関する様々な説
説明書きには、昔小浜が武庫の海の入江だった頃に打ち上げられた首である説と、伊丹の殿様の夢のお告げで頭痛を治してくれたお礼に作られたものという2つの説が書かれていました。また坂の下の墓の藪のなかにあったものを地元の人がこの高台に運んだ説、武庫川の上流から洪水で見佐村の河原に流れ着いた──といった様々な説があります。
右側の初代のお地蔵様
右側の白っぽいお地蔵様は作られた年代はわかりませんが昔からあるものです。昭和50年11月に放火にあったため右目や口の一部が欠けてしまい、現在は右側に寄せられています。こちらは1500年頃にはすでに「首から上の病気を治すお地蔵様」として全国から参拝者があったようですね。
中央の新しいお地蔵様
真ん中の黒っぽいお地蔵様は昭和52年01月になって地元の方たちが作られたものです。端正なお顔で美しいですね。どちらも円形の赤いよだれかけに首が乗っている不思議な風景です。
首から上の病気にご利益がある
首から上の病気にご利益があるとのことで、毎年8月23日・24日の例祭にはお堂に入り切れないほどの信者さんが集まるとも聞きました。現在は合格祈願の受験生もお参りされるそうですよ。私も念入りに拝んでおきました。どうぞ頭が良くなりますよーに!
心霊スポットではありません
なお小浜の首地蔵の隣には、小浜出身の力士・谷風岩五郎のお墓があります。昔は小浜で相撲の巡業も行われていました。今では静かな住宅街ですが、昔は宝塚の中心街として賑わっていたんですね。
なお首だけのお地蔵様だからか近くに墓所があるからか、ネットでは心霊スポットと勘違いされている方もいらっしゃるようですがデマですのでご注意を。(2018年05月03日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
小浜の首地蔵(こはまのくびじぞう)
住所 :兵庫県宝塚市小浜5-1-3
休業日:なし
時間 :拝観自由
拝観料:無料
駐車場:なし