世界初の缶コーヒーは日本のUCCコーヒーです。これは1969年に作られた現存する唯一の初代缶。兵庫県神戸市のUCCコーヒー博物館はコーヒーの全てを学べるミュージアムです。
神戸市のUCC上島珈琲株式会社
兵庫県神戸市中央区ポートアイランド。ユーシーシー上島珈琲株式会社は1933(昭和8)年に、上島忠雄(うえしまただお 1910〜1993)が個人商店として創業しました。UCCは「Ueshima Coffee Co.,Ltd.」の頭文字ですね。
日本のコーヒーの父・上島忠雄の言葉
日本のコーヒーの父とも呼ばれる上島氏。彼は生前にこんな言葉を書いています。
全社員に告ぐ
商売とは戦争なり
戦争には勝つか負けるか生か死か二字しなかない
我が社の歴史には死も負も知らない
されば勇気あるUCCマンよ
戦った以上は勝たねばならぬ!
唯攻撃前進前進攻撃あるのみ
す、すごい迫力! 商売にかける気迫が伝わってきます。
「文化人はコーヒがお好き」の名コピー
上島氏はただがむしゃらに突進するだけではなく、なかなかのアイデアマンだったようですよ。これは1955(昭和30)年当時の営業車。「文化人はコーヒがお好き」と書かれていますね。当時の意識高い系・インテリゲンチャの心をくすぐる名コピーではありませんか。「コーヒーは文化」というイメージを作り上げた広告戦略はあっぱれ!
1987年10月01日の「コーヒーの日」にオープン
UCCコーヒー博物館は1987年10月01日の「コーヒーの日」にオープンしました。もともとは神戸ポートアイランド博覧会(1981)にUCCが出展した、コーヒーカップの形のパビリオンでしたが、コーヒー文化に影響を与えたイスラム教のモスクをモチーフにした建物にリフォームしたんですね。コーヒーカップの形のままでも良かったのになあ。
人気の月替わりテイスティングコーナー
私が訪れた日は観光客の皆さんで賑わっていました。一番人気はなんと言ってもテイスティングコーナー。月替りのテーマで世界各国のコーヒーをで無料で楽しめるんです。この日のテイスティングはエチオピアのモカと、タンザニアのキリマンジャロ。
ふーむ、これが高級豆・キリマンか〜。なーんてかっこつけて言ってみましたが、味音痴の私には普通豆との違いはよく分からず。
コーヒーを6分野に分けて展示
博物館の展示内容は、コーヒーに関して1起源、2栽培、3流通、4加工、5文化、6情報の6分野に分けて、パネルや模型などで解説しています。コーヒーはどこでどのように生まれたか、そして栽培、流通、加工を経てどう私達の生活にかかわっているのかを学べます。
コーヒーの木が育つ地域・コーヒーベルト
私も観葉植物のコーヒーの木を温室で愛でていますが、コーヒーは育てるのが結構難しい植物のようです。コーヒーは熱帯性の植物なので、赤道を挟んで南緯25度から北緯25度という限られた地域で栽培されています。日本でも沖縄はこのコーヒーベルト上にあるのでコーヒー栽培が行われているんですって。
1本の木から取れるコーヒーの量って?
コーヒー一本の木から取れる実は3kg。生豆は500g。焙煎した豆は400g。これはコーヒー40杯にあたります。つまり1本の木はUCCゴールドスペシャルたった1袋分なんです。あなたは今までの人生で何本のコーヒーの木を飲んできましたか?
60kgのコーヒー豆の麻袋、持ち上げられますか?
コーヒーの麻袋の重さを体験するコーナー。国によって違いますが、麻袋の重さは60kgもあります。滑車で持ち上げようとしましたが、腰を痛めそうになるぐらい重い! でも展示の写真を見るとこの麻袋を4つも5つも担いでいる男性たちが写っていました。信じられない!
焙煎機の模型
焙煎機の模型。焙煎機には直火を利用した直火式焙煎機と熱風を利用した熱風式焙煎機、その中間の半熱風式焙煎機があります。豆の量によって使い分けているみたいですね。
ガス直火式球形焙煎機
スチームパンクっぽくてカッコイイガス直火式球形焙煎機。1890年フランス製です。1500杯分のコーヒー豆を30〜45分で炒ることができます。焙煎機も一気に大型化。この時代は一般庶民もコーヒーを飲むようになったからでしょうね。
19世紀ごろの卓上ミルコレクション
世界各国の19世紀ごろの卓上ミル(グラインダー)のコレクションです。コーヒーは粉砕(グラインド)の仕方によって味わいの違いがでてきます。最近はオートマチックな電動タイプもありますが、こんなレトロな手回しミルもインテリアとして素敵です。
美しすぎるエスプレッソ&カプチーノマシン
キラキラ輝くエスプレッソ&カプチーノマシンです。なんて美しいんでしょう。1975年イタリア製で、ミラノ万博(1906)に出品されたLa Romavatica社製のレプリカです。こんなマシンのあるコーヒーショップに通いたいなあ。
コーヒーの様々な魅力を味わえました
悪魔のように黒く、地獄のように熱く、天使のように清く、恋のように甘く──とコーヒーを語ったのはフランスの政治家・タレーラン。様々な顔を持つコーヒーの魅力を存分に味わうことができた素敵なミュージアムでした。(2018年05月03日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
UCCコーヒー博物館(ゆーしーしーこーひーはくぶつかん)
住所 :神戸市中央区港島中町6丁目6-2
電話 :078-302-8880
休業日:毎週月曜日(月曜祝日の場合は翌日)・年末年始
時間 :10:00~17:00
入館料:大人300円
駐車場:なし
関連URL:UCCコーヒー博物館 | コーヒーはUCC上島珈琲