キッチンの床にめちゃくちゃに散乱した食器──いったい何事? ここは兵庫県淡路島の北淡震災記念公園です。阪神・淡路大震災を後世に語り継ぐために設立された博物館をレポートします。
ショッキングな高速道路の光景を再現
1995年01月17日の阪神・淡路大震災を覚えている方は、きっとこの光景をテレビでご覧になったことがあるでしょうね。横倒しになった高速道路にショックを受けた方もたくさんいらっしゃることでしょう。それももう四半世紀も前のことになんですね。
写真・映像資料で知る、阪神・淡路大震災
北淡震災記念公園内には、阪神・淡路大震災に関する野島断層保存館があります。写真、映像資料などを保存展示して、将来起こりうる巨大地震について人々を啓蒙するために設立されました。過去の教訓を学んで後世に伝えるのは大変意義あることですね。
活断層のズレによって引き起こされた巨大地震
阪神・淡路大震災は活断層である野島断層が動いたことによって起きました。この断層による地面のズレは10キロにも及んでいます。小倉地区では道路や畑、生け垣の地形の変化を当時そのままに保存し、自然の脅威を伝えています。野島断層は国指定天然記念物となっています。
国指定天然記念物の野島断層を保存展示
アスファルトがバキバキに割れて地面がでこぼこになっています。神戸港震災メモリアルパークや人と防災未来センターでこのような風景を目にしましたが、何度見ても震えます。人は自然の猛威の前には為す術もありません。
140mに及ぶ地震断層にため息
これは地面を掘り下げたトレンチ展示。こんな巨大な岩盤が50cm〜1mもズレたなんて、なんと恐ろしい力でしょうか。長さ140mに及ぶ地震断層を見て、ただただため息をつくばかりでした。
断層が横切っている家・メモリアルハウス
別の場所に地震で奇跡的に残った民家を「メモリアルハウス」として展示しています。この家は先程の断層が敷地内を横切っており、断層運動による建物の被害を実際に家の中に入って見学することができます。庭の道路は地震によって120cmもズレてしまったんですよ。
民家を博物館として一般公開
現在は博物館として展示されていますので土足で入ることができますが、ここは当時畳敷きの和室でした。かなりの豪邸ですね。木造建築でなかったので震度7にも耐えられたのでしょう。でも庭を横切る地震断層がもうちょっとずれて家屋を直撃していたらひとたまりもなかったに違いありません。
家屋の水平ラインがズレてしまっている
これは家屋の傾きを見られる展示。青色の線が地震前の水平ライン。5cmほどずれてしまっています。部屋の中に入った時妙な気持ちがするのは、水平ラインが微妙にずれて部屋全体が傾いているからなんでしょうね。
震災直後の台所を再現
これは震災直後の台所の様子を再現した展示。食器棚が倒れて、茶碗やお皿が床に散乱しています。地震対策として戸棚の扉をロックしたり、棚を金具で固定したほうがいいと実感できますね。住人の方は震災後、約4年間この家で生活されたそうです。
揺れの違いを体験できる、地震体験コーナー
地震体験コーナーでは兵庫県南部地震(直下型地震)と東北地方太平洋沖地震(海溝型地震)の揺れの違いを体験できます。この日は休日だったため、阪神・淡路大震災のみの体験でした。ただのシミュレーションだと分かっていても、結構揺れてガタガタいうのが怖いです。
なぜカメとドジョウを飼っているの?
ところで館内にはなぜかドジョウとカメが飼育されています。あまりにお客さんから質問が多いからかこんなふうに書かれてましたよ。
ウェルカメ! よく聞かれるんですが……僕たちカメととなりのドジョウは震災とは関係ありません。ただのペットです!
(2018年05月04日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
北淡震災記念公園・野島断層保存館(ほくたんしんさいきねんこうえん・のじまだんそうほぞんかん)
住所 :兵庫県淡路市小倉177番地
電話 :0799-82-3020
休業日:1月~11月は無休(12月下旬に臨時休業あり)
時間 :09:00~17:00
入場料:700円
駐車場:無料(250台)
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