兵庫県淡路島の珍スポットとして一世を風靡した世界平和大観音像音像。現在どうなっているのかと足を運んでみました。調べてみると今では地元の方にとって大変困った物件になっています。
1982年建立の比較的新しい巨大仏像
淡路島東の国道28号線を走っていると、白い巨大な像が見えてきます。これが高さ100mの世界平和大観音。1982(昭和57)年06月末に完成し、07月03日に開眼法要が行われました。意外に最近という感じがしますが、現在は閉鎖され廃墟となっています。
ムチウチギプスのようなものは展望台
ポリゴン感が強いので観音様というよりもロボットのようにも見えますね。ムチウチのギプスか首輪のように見えるのは展望台です。でもガラスが割れていたりして老朽化が激しいようですね。海岸近くの建物は人が手入れをしないとすぐにこんな状態になってしまうんですよね。
地元の名士が故郷の恩返しのために建立
豊清山平和観音寺は、地元の名士・奥内豊吉さんという方が故郷への恩返しのために建立したということです。オープン当時は展望台の他、武具・柱時計コレクション、宴会場、食堂、美術館、博物館、クラシックカーコレクションと盛りだくさんの展示がありました。
草ぼうぼう状態で荒れ果てている
像の周りには蒸気機関車、自由の女神像、五百羅漢などもあり、そのごった煮感覚で非常に高い珍度を誇っていたのですが、今は草ボウボウで荒れ果ててしまっています。たくさんあったコレクションとかどうなっちゃったんでしょうね。
入り口の張り紙は?
閉鎖されていますので当然中には入れませんが、入り口の元チケット売り場に張り紙がありましたので近づいてみました。この先からは立入禁止のようです。
廃墟への立ち入りは禁止されています
告示
本物件は、大阪家庭裁判所平成23年(家)第70731号の相続財産管理人選任審判に基づき、当職が管理、専有するものであり、当職の許可がない限り本物件への立入りを禁止いたします。万一、許可なく立ち入った場合には、刑法等により処罰されることがあります。
また、本物件内の一切の有体動産は、当職が管理、専有するものであり、当職の許可なく搬出する者は、刑法等により処罰されることがあります。
なお、本物件及び上記相続財産管理人選任申立事件についてのお問い合わせは、、当職あてにお願い致します。
平成23年9月15日
以下に氏名、連絡先なども書かれていました。廃墟物件への侵入はこのように法的に処罰されることがありますので、くれぐれもご注意を。
いつ倒壊してもおかしくない状態の十重の塔
先程も書きましたが、まともに潮風を受けるからか十重の塔の上部も屋根が破損しており、非常に危険な状態です。いつ倒壊してもおかしくありません。調べてみるとこんな記事が。
所有者不在で荒れ果て放置される巨大“迷惑観音像”…複雑に絡む権利・法律、倒壊の危険も行政は手を出せず(2014.10.2 07:00)
兵庫・淡路島から大阪湾を見下ろすように立つ巨大な「観音像」が、所有者不在のまま荒れ果てた状態で約8年半にわたって放置されている。8月の台風11号で外壁の一部が崩落し、倒壊の危険性も指摘されるが、地元の淡路市も債権者への配慮などから積極的に手が出せない状態。買い取りを申し出る人もいたが、荒廃した内部を見てあきらめたという。「迷惑観音」との声まで上がる巨大仏像を巡る問題は法的な権利も複雑に絡み、解決策が見えてこない。
(中略)
淡路市などによると、淡路島出身で大阪市内で不動産会社を経営していた男性が昭和57年夏に観光施設として建設。内部は展望台を備え、絵画や車など自身のコレクションを展示していた。しかし男性は63年に亡くなり、施設は妻が相続。その妻も平成18年2月に死亡し、遺族が相続を放棄したため閉鎖となった。
(中略)
これまで何度か観音像を「買い取ろう」と名乗りを上げた人もいたが、内部の荒れ果てた状況を見てあきらめるなどさまざまなケースから実現していない。市の担当者も「今まで何度もそんな話が浮かんでは消え、浮かんでは消え…という状態」と話す。
(中略)
この問題に長く携わってきた1人で、観音像の近くにある釜口連合町内会の元会長、古林節男さん(61)は外壁の剥離が見つかった後、静かに答えた。
「極めて危険だ。今後、コンクリート片が国道や近くの民家に落ちることがあればどうするのか。早く解体、撤去してほしい」
【関西の議論】所有者不在で荒れ果て放置される巨大“迷惑観音像”…複雑に絡む権利・法律、倒壊の危険も行政は手を出せず – 産経WEST
迷惑観音とも呼ばれている困った状態に
地元の方々にとっては完全にお荷物状態となっている世界平和大観音像。上の記事では「迷惑観音」とさえ呼ばれているそうです。法的な権利が複雑に絡み合っていて解決が難しそうですが、なんとか上手い落とし所が見つかるといいですね。(2018年05月05日訪問)【麻理】
追記:2020年04月01日
財務省近畿財務局が世界平和大観音像を解体すると発表しました。
兵庫・淡路の「世界平和大観音像」解体へ 所有者死亡、劣化著しく 住民「ほっとしている」
兵庫県淡路市の巨大観音像(高さ約100メートル)について、財務省近畿財務局は1日、周辺施設と共に解体撤去すると発表した。像は所有者が死亡した2006年以降は閉鎖・放置され、一部がはがれるなど劣化が著しく、地域住民から不安視されていた。22年度中に解体撤去する計画で、費用などは未定。
同局によると、解体撤去するのは通称「世界平和大観音像」▽十重の塔(高さ約32メートル)▽山門。相続人がいないことから、民法の規定で、3月30日付で土地(広さ約1万9000平方メートル)を含めて国の所有物となった。
現地はフェンスなどで閉鎖されているが、同局審理課は「不法侵入の恐れもある。落下物があると非常に危険で、撤去手続きを早急に進めたい」としている。入札をへて、20年度中に塔と山門、21年度から2カ年で観音像をそれぞれ撤去する予定。
観音像はコンクリート製で、淡路島北東岸の国道沿いにある。地元出身の実業家男性が1982年、「日本最大の仏像」との触れ込みで建立。首付近に展望台があり、5階建ての台座ビルは展示施設だった。
近くの60代男性は解体方針について「危険がなくなるので、ほっとしている。長いトンネルを抜けたような気持ちだ。(跡地には)住民たちが安心できるような施設などが建ったらいいと思う」と胸をなで下ろしていた。【高橋昌紀、目野創】
追記:2021年05月21日
世界平和大観音像の解体が決定しました。6月から工事が開始されるそうです。
淡路島の「世界平和大観音像」、6月から解体工事へ
財務省近畿財務局は21日、兵庫県淡路島にある「世界平和大観音像」(高さ約100メートル)の解体工事を今年6月に始めると発表した。観音像は所有者が死去して国の所有に変わり、老朽化で像の一部が落下するなど危険なため、解体が検討されていた。
同局によると、解体業者を決める入札には4社が参加し、大阪市の建設会社が落札した。契約金額は8億8千万円。6月中旬から工事を始め、9月ごろから観音像本体を切り分けて撤去する。観音像の台座にあたるビルを撤去して工事が完了するのは、2023年2月ごろになるという。
観音像は1982年、淡路市釜口の海に臨む高台に建てられた。観光スポットとして人気があったが、所有者が06年に死去して管理が行き届かなくなった。「建築物」である観音像を相続する人もいないため、11年に大阪家裁が相続財産管理人を選任。昨年3月に国の所有となっていた。解体後の約1万9千平方メートルの土地は、地元自治体などが公的に利用する意向がなければ、一般競争入札で売却する予定だ。
参考文献
地図&情報
世界平和大観音像音(せかいへいわだいかんのんぞう)
閉鎖している施設です。ご注意ください。なお世界平和大観音像は解体されると発表されました(2020年04月01日)。詳細は記事下の追記を御覧ください。住所 :兵庫県淡路市釜口2006