頭、でかっ! あまりにもファンキーなアフロヘアの仏様は、京都市左京区の金戒光明寺にいらっしゃいます。墓地の中で異様な存在感を醸している仏像。いったいなぜこんなヘアスタイル?
法然上人が開山した浄土宗最初の寺院
金戒光明寺(こんかいこうみょうじ)は承安5年(1175)に法然上人が比叡山の黒谷を下って開いた浄土宗最初の寺院です。山頂で法然上人が念仏を唱えたところ、紫だちたる雲が山を覆い、光明が辺りを照らしたことからそう名付けられました。
五劫思惟阿弥陀仏像のある場所
金戒光明寺は歴史ある格式の高いお寺。当然境内は広々としているのですが、目指すはこの五劫思惟阿弥陀仏像(ごこうしゆいあみだぶつぞう)です。先程の写真の山門から歩いて数分の墓地の中にいらっしゃいますよ。
極楽橋にまつわるいわれ
墓地へ向かう途中に蓮池にかけられた極楽橋があります。この橋は源平の戦いで知られる武将・熊谷直実(くまがいなおざね)が法然上人を訪ねた時、出家をしようとして兜を脱ぎ、弓の弦を切ったことに由来します。だから橋が弓の形をしているんですね。またこの蓮池は別命・兜之池とも呼ばれます。
案内板のQRコードで説明ページが見られます
橋の先にはこんな看板。期待が高まりますね。おや、この案内板の左上にQRコードがあるではありませんか。携帯のリーダーにかざしてみると、金戒光明寺の五劫思惟阿弥陀仏像の説明ページに飛びました。お寺さんもIT化が進んでますね。
墓石の中で力強い存在感を放つ仏像が!
いらっしゃいましたよ。墓石の並ぶ石段の真ん中に力強い存在感を放っている五劫思惟阿弥陀仏! これは見逃しようがありません。目が釘付け状態。
頭はファンキーでも表情はおだやか
で、でかい! 触るのは恐れ多いので手をひろげておおよその大きさを計ってみましたが、だいたい頭周りは2メートルぐらいはあるでしょうか。髪型はファンキーなのにお顔はあっさりとしたおだやかな表情。そのギャップがたまりません。
仏様の髪型・螺髪(らほつ)とは?
このぐるぐるとしたパンチパーマは、螺髪(らほつ)。「螺」とは巻き貝のことで悟りを開いた仏、知恵の象徴として仏像に見られる髪型です。普通の仏像は螺髪は一段だけなのですが、こちらは何段にも重なっているのでこんなに巨大になってしまっているのです。
とてつもなく長い間の思索でこの髪型に
五劫思惟阿弥陀の「劫」は1つの宇宙が生まれ、消滅するまでを表す非常に長い時間の単位です。その五劫もの長い間、考え続け(思惟)修行を重ねたために、こんなに髪の毛がモッサモサになってしまったというわけ。
江戸時代中期に遺族が奉納
この仏像は江戸時代中頃の制作と言われていますが、公式サイトによるとこのような巨大な頭を持つ五劫思惟阿弥陀仏は全国で16体ほどしかないそうです。東大寺の五劫思惟阿弥陀仏像は秘仏となっていますが、こちらは江戸時代に亡くなった方の遺族が奉納したものということなので気楽に拝観することができるんですね。
若い女性にもモテモテの仏様
頭でかいだのファンキーすぎるだの言ってしまいましたが、実は気の遠くなるような長い時間修行をされた尊いお姿だったのでした。でもランニングされてる若い女性たちに「きゃー、カワイイ!」とモテモテでしたよ。(2017年02月26日訪問)【麻理】
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地図&情報
金戒光明寺(こんかいこうみょうじ)・五劫思惟阿弥陀仏像(ごこうしゆいあみだぶつぞう)
住所 : 京都府京都市左京区黒谷町121
電話 :075-771-2204
休業日:年中無休
時間 :09:00~16:00
拝観料:無料
駐車場:有料(60分400円、1日最大800円)
関連URL:浄土宗大本山・くろ谷 金戒光明寺