子供を育てるために幽霊が飴を買いに店にやってくる──そんな言い伝えが残る京都東山のみなとや幽霊子育飴本舗。400年以上も昔のお話ですが、今もその飴を買うことが出来ます。
あの世とこの世の境に立つ飴屋さん
みなとやがあるのはあの世とこの世の境、地獄の入り口と出口があると言われる六道が辻です。前回ご紹介した六道珍皇寺のすぐ近く。古めかしい看板には「今日名物 幽霊子育飴」という文字が書かれています。
子育て幽霊の伝説とは?
子育て幽霊のお話はこうです。
墓地の近くのある店に毎晩女が飴を買いに訪れました。ある夜飴の代金を入れる銭箱の中に、樒の葉(しきみ:墓へ供える植物)が入っているのを見た主人は、不審に思って女の後をつけました。すると女の姿は墓地で消えてしまいました。
翌日墓地を訪れてみると、地面から赤子の泣き声が聞こえます。住職と主人が墓を掘り返すと、女の遺体の横で赤子が飴をしゃぶっているではありませんか。それ以降、女が飴を買いに来ることはぱったりなくなりました。赤子は後に六道珍皇寺の僧侶になったと伝えられています。
お寺、飴屋、赤子がどうなったか全てはっきりしている地
幽霊が子育てするというお話は全国各地に残っています。以前ご紹介した長崎市の光源寺もその一つ。
また似た話は中国の怪談集『夷堅志』にも登場するため、中国から伝わったとする説もあります。しかしながらみなとやさんは、幽霊が現れたお寺の墓地、飴屋、その後赤子がどうなったかがはっきりしている唯一の地なのです。
銭箱、飴の桶まで残っている
当時使っていたという銭箱、そして飴を入れていた桶まであるというのだから驚き。お店の女将さんのお話によると、元々は穀物を売るお店だったそうですが、現在はもっぱら子育飴を主力商品としているそうで。
店内には訪れた芸能人のサインが貼られており、よどみなくお話くださる様子からマスコミにも何度も紹介されている有名店であることがうかがえました。
ゲゲゲの鬼太郎の元になった子育て幽霊伝説
『ゲゲゲの鬼太郎』も元は墓場で生まれた赤ちゃんでしたね。お店の入り口にも「水木しげるさんの『ゲゲゲの鬼太郎』の元になった飴です」とありました。私が訪れたのは夕暮れ時でしたが、ひっきりなしにお客さんがお店に入っていました。ひょっとして幽霊さんもいたのかしら。
子育飴はお母さんの味
私も御土産に一つ購入しました。透き通った黄色でゴツゴツした形。昔懐かしい素朴な飴でした。シンプルなだけに癖になりそうです。気が付くとごっそり減ってる! ミルキーはママの味ならぬ、子育飴はお母さんの味です。(2015年10月31日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
みなとや幽霊子育飴本舗(ゆうれいこそだてあめほんぽ)
住所 :京都府京都市東山区松原通大和大路東入2丁目轆轤町80番地の1
電話 :075-561-0321
休業日:月曜日(臨時休業あり)
時間 :10:00~16:00
駐車場:なし
関連URL:みなとや幽霊子育飴本舗公式ホームページ