一年中鈴虫の鳴き声が聞こえるお寺があるとの情報を得て、京都市・西京区の鈴虫寺を訪れました。秋しか鳴かないはずなのに、どうやって一年中鳴かせることができるのかしら。興味津々!
江戸中期に鳳潭上人によって開創
山門をくぐると「りーん、りーん」という涼しげな音色が聞こえてきました。
鈴虫寺の正式な名前は妙徳山華厳寺(みょうとくざんけごんじ)。江戸中期に鳳潭上人(ほうたんしょうにん)によって開創されました。鳳潭上人は難しいことで有名な華厳宗の学僧です。入学試験・開運などに御利益があるんですよ。
数百匹の鈴虫の入った箱が並ぶ書院
前の回の説法が終わり、たくさんの観光客が出てきました。人気のあるお寺なのね。書院に上がると、前にずらりと並んだ木の箱が目に入りました。あっ、鈴虫だ! それぞれの箱に数百匹の鈴虫が入っています。りーんという鳴き声が箱から大きく響きます。
お茶菓子を食べながらご住職の説法を聞く
座布団に座って待っているとご住職が登場。机にお茶とお菓子が用意されているので、食べながら20分ほどご住職の説法を聞きます。このお茶菓子をいただく説法も、禅宗の教えである「茶礼」に基づいているのだとか。残念ながら撮影は禁止。
ユーモラスな語り口のご住職
ご住職の桂紹源氏のお話が、これまた面白い! お守りの役割、お願い事の仕方、鈴虫寺のいわれ、鈴虫の飼育に関する苦労などをユーモアを交えてニコニコとお話されるんですよ。鈴虫の鳴き声をバックに観光客の笑い声が重なります。
あなたの願いたった一つだけ叶えます
このお寺のお守りはちょっと変わっていて「たった一つだけ」願い事を叶えてくれる幸福お守り。あれもこれもと欲張るのはダメ。願い事が叶ったらまたお参りして、新しい願い事をします。「たった一つ」というと本当に叶うような気がしますね。
わらじを履いたお地蔵様
そしてもう一つ変わっているのが山門のわきに奉られている幸福地蔵。このお地蔵様は、珍しいことにわらじを履いているんです。普通は裸足ですよね。わざわざ私たちの家まで、てくてく歩いて来て願い事を叶えてくれるんですよ。だから、お願いをするときにはちゃんとお地蔵様の前で「名前」「住所」を言わなければなりません。
トコトコ歩くお地蔵様に、ユーモラスなご住職、一年中鈴虫の鳴くお寺、と全てがユニークなお寺なのでした。(2006年05月12日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
鈴虫寺・妙徳山華厳寺(みょうとくざんけごんじ)
住所 :京都府京都市西京区松室地家31
電話 :075-381-3830
時間 :09:00~17:00
休業日:年中無休
拝観料:大人500円(茶・菓子つき)
駐車場:有料(70台)
関連URL:京都嵐山観光の寺 鈴虫寺