今は昔竹取の翁といふ者ありけり。……古典の授業で習った『竹取物語』のように、よろづのものを全て竹で作ってしまったセルフビルド系建築物・京都のかぐや姫竹御殿を見学しました。
京都松尾は名竹の産地
鈴虫寺から歩いて5分ほどの場所にある、かぐや姫竹御殿。このあたりは昔から竹の産地として有名で『竹取物語』発祥の地という説もあるのだとか。門をくぐると竹があちこちに生えていて、いかにも竹取の翁が住んでいそうです。
長野清助氏が27年の歳月をかけて建設
ここは竹工の名人・故長野清助氏が27年の歳月をかけて、たった一人で作った竹づくしの家。庭の樹木も竹ばかり。長野氏が好きだった金閣寺が1950年に消失したことを悲しみ、再建を祈願してこの御殿を作ったということです。
壁、天井、床、机、額縁、火鉢……すべて竹!
壁、天井、床、机、額縁、火鉢……すべてが竹でできています。何事も極端になると珍化するのです。しかしさすが名人。竹細工職人としての腕と誇りをこれでもかと見せつけているこだわり建築です。
金閣寺を模して作った竹のお堂
そして金閣寺を模して作ったというお堂がまたすごい。以前アクリル板で覆われた滋賀県の金閣寺をご紹介しましたが、これは竹・竹・竹のオンパレード金閣寺。
天井も壁もびっしり竹細工
放射線状に細い竹が貼られた天井部分。これは「傘張り天井」というものです。壁もびっしり竹細工。中は2、3人も入ればいっぱいになってしまうほどの大きさです。お堂というよりお茶室っぽい感じ。
かぐや姫の像と折り鶴の願い事
正面に奉られているのがかぐや姫の像。手前には折り鶴が山盛りにあんっています。開運・縁結び・健康などなど折り紙に願い事を書いて鶴を折り、奉納するんですね。
悩める人々が集う場所
側にノートが置かれていました。「離婚しようか迷っています」「彼氏のことで悩んでいます」など悩み事が、びっしり事細かく記されていています。ううう、みなさん大変なことになってるよ。ノー天気で特に悩みのない私は、端っこにちょびっと観光のお礼を書き込んでおきました。
大和占術の占いもしています
パンフレットによると、ここは希望者に相談料5000円で、大和占術なる占いをしてくれるそうなんです。ひょっとすると竹御殿よりこっちの方がメインかもしれません。入り口にあった名刺には「霊感師」という肩書きが書かれていました。妖しい。妖しすぎるぞ、かぐや姫竹御殿。(2006年05月12日訪問)【麻理】
追記:2021年4月30日
読者様より、2020年秋に訪れた時にすでに閉館されていて、塀越しに覗いてみると中は荒れ果てていたという情報をいただきました。かぐや姫竹御殿の電話番号にかけてみたところ、現在は使われていないというアナウンスが流れました。現状どうなっているのか詳しいことは分かりませんが、訪れる方は見学できないかもしれませんのでご注意ください。
参考文献
地図&情報
かぐや姫竹御殿(かぐやひめたけごてん)
住所 :京都府京都市西京区松尾万石町51
時間 :土日祝日は12:00~17:00(平日は予約制)
休業日:不定休
入場料:大人300円
駐車場:無料(3台)
関連URL:asahi.com(朝日新聞社):【かぐや姫竹御殿】思いのたけ 光る職人魂 – 関西