京都の東福寺には日本最古のトイレ・百雪隠があります。昔の言葉でトイレのことは東司(とうす・とんす)と呼びます。日本最古の東司として国の重要文化財にも指定されていますよ。
JR東海の「そうだ京都、行こう。」のCMでもおなじみ
東福寺(とうふくじ)は当時の権力者・藤原の道家が13世紀半ばに建てた巨大寺院です。JR東海の「そうだ 京都、行こう。」のCMにも登場しますので行ったことがなくても景色に見覚えがある方は多いでしょうね。
東司(とうす・とんす)とはトイレのこと
もちろん日本のお寺ですからトイレなんて言いません。東司(とうす・とんす)。禅寺では東側に建設されていたからという説もありますが、ここはなぜか境内の南西にあるんですよね。なぜかしら?
室町時代に建設・国の重要文化財
東福寺の東司は百雪隠(ひゃくせっちん)と呼ばれます。600年前の室町時代に建設され、日本最古の東司として国の重要文化財にも指定されているんですよ。外観は30メートル×10メートル・高さ10メートルほどの木造建築です。中に入ることはできませんが、細長い窓から中を覗いてみました。
ずらりと並んだ百雪隠のトイレ
広い土間の地面にたくさんの穴が開いていてそれぞれ瓶が埋められています。この一つ一つが便器なんですね。瓶はずらりと向かい合わせに2列に並んでいます。説明書きによると右側が大便用、左側が小便用。
修行的トイレの使い方
東司を使うことも禅の修行の一つです。使い方も厳しい決まりがあります。
(1)着衣を竿にかけ、紙に記号を書いて他の人と間違えないようにする
(2)入り口で桶に水を汲んで右手で持ち、左手で扉を開ける
(3)ぞうりをぬいでわらじにはきかえ厠にのぼり、瓶の両端にまたがって用を足す
(4)三角形の長さ65センチの木の棒でおしりを拭いて水の入った筒に投入する
(5)桶の水を左手に受けて水を便器にかけ、清める
(6)右手に桶を持ち、ぞうりにはきかえる。
(7)入り口で桶を戻し着衣を正す
昔のお坊さんは大変!
用便だけでなく、その後の手の洗い方もきっちり決められています。好き勝手にトイレに行くこともできないので、お腹の具合が悪いときには昔のお坊さんは大変だったでしょうね。ウォシュレットや音を消すための音姫もついたハイテクトイレを使える現代日本人は幸せなんだなあ。(2006年05月13日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
東福寺(とうふくじ)・百雪隠(ひゃくせっちん)
住所 :京都府京都市東山区本町15-778
電話 :075-561-0087
時間 :09:00~16:00(04月〜10月)08:30~16:00(11月〜12月)09:00~15:30(1月〜3月)
休業日:年中無休
拝観料:通天橋・開山堂・方丈八相庭園は400円
駐車場:無料(30台)
関連URL:臨済宗大本山 東福寺 -日本最古の最大級の伽藍-