奇祭中の奇祭。奈良県明日香村の飛鳥坐神社のおんだ祭。神社の舞台、しかも衆人環視の中で行われるのが、天狗とお多福の性行為というから驚き。その驚愕の内容をレポートいたします。
のんびりとした人口6000人の明日香村
飛鳥坐神社(あすかにいますじんじゃ)前。普段の明日香村の人口は約6000人。ご存知の通り、明日香村には石舞台古墳、キトラ古墳、高松塚古墳──と古墳の密集地帯です。雄大な歴史が感じられ、またのんびりとした田園風景に癒される小さな村です。
西日本四大性神事の一つ
そんな静かな村が毎年2月の第一日曜日に観光客でごったがえします。理由は西日本四大性神事として名高い、飛鳥坐神社(あすかにいますじんじゃ)のおんだ祭。
天狗男が青竹でビシバシ
お祭りが始まるのは午後2時からですが、1時間ほど前に村をぶらぶら散策していました。すると遠くからバシーッ! バシーッツ!という音が聞こえてきました。ちょんまげに天狗の面をかぶった男性が、フラフラと歩きながら青竹を地面に叩きつけています。なんだ、なんだ。行ってみてみよう!
私のお尻もバシーッ!
天狗がいきなり歩いていた子供たちのお尻に青竹をピシャッと叩きつけました。子供はキャーキャー言いながら逃げまわっっています。子供だけでなく、参拝のおじいさん、観光のおばちゃん、通行人の男性──片っ端からお尻を叩いているのです。私もパシーッとやられました。アタタ。
若い男性には容赦なし
天狗だけでなく、翁の面をかぶった男性や牛の扮装をした男性が、片っ端から青竹で人々をしばきまくっております。全員無言なのが不気味。3人とも女子供には甘くやんわりと打つのですが、若い男性には容赦なし。男子学生さんは「うぎゃー! マジ痛てー!」と叫んでました。
おしりを叩いて厄祓い
これはちゃんとした神事の一つ。青竹(ササラと言います)でおしりを叩かれることで厄払いをするんですって。なんでもみんなが騒げば騒ぐほど厄落としのご利益があって、その年は豊作になるんだそうです。観光客の皆さんも「次こっち叩いて〜」「私も叩いてー!」とニコニコ。この日だけはみんなマゾ。
ものすごい人!人!人!
そうこうしているうちに祭り開始の30分前になったので神社の石段を登ってみると、そこには人!人!人! ものすごい観客の数です。私がようやく確保した場所は舞台のはるか遠く。手を伸ばしてようやく舞台が写真に写るぐらいです。
午後2時お祭りスタート
2時ちょうどに太鼓が鳴って神事スタート。宮司さんの挨拶の後、祝詞が始まりました。さっき青竹を振り回していた天狗、翁、牛の3人が現れましたよ。天狗と翁は鋤(すき)を持って、地面に見立てた土を耕しはじめました。
【1】農耕の様子を表現
これは農耕の様子を表現しています。それもそのはず。おんだ祭とは御田植祭のことだからです。牛の格好をした男性も四つん這いになって畑を耕していますよ。五穀豊穣と子孫繁栄を祈る祭だから、田植えを神様の前で再現しているのですね。この動作はすべて無言で行われます。パントマイムショーみたい。
【2】お多福登場
いよいよ本日の主役、お多福の登場です。天狗が肩に手を回し仲睦まじく舞台へと上がっていきます。お多福は黒紋付の着物を着ていますが野太い腕から分かるように実は男性です。でも観客は大喜び。「よっ、待ってました!」とか言ってるおじさんいますよ。
【3】舞台に全員集合
舞台にあがったご両人の前で、翁は青竹をバシバシ地面に叩きつけます。恥ずかしそうにうつむくお多福。お多福の肩を優しく撫で回す天狗。それを温かく見守る宮司さん。繰り返しますが登場人物は全員男性です。
【4】天狗が股間の竹筒を……
さあ、ここからが西日本四大性神事の本領発揮です。天狗が突然竹筒を股間にあてがったと思うと、ゴーシゴーシしごき始めたではありませんか。しかも、しこを踏んではしごき、しこを踏んではまたしごきを繰り返します。
【5】竹筒にお酒を入れてぶっかけ
最後には竹筒にお神酒を入れて、宮司さんの前に置かれたご飯の上にぶっかけました! 観客大盛り上がり! 宮司さんは静かなほほ笑みを浮かべて天狗を見守っていますが、ものすごく不謹慎なような……。
【6】翁がゴザを敷く
天狗が奥に引っ込むと、かわりに翁が登場。舞台のどまんなかにゴザを敷き始めました。天狗がお多福の手を引きながら前方に進んできました。お多福をゴザの上に優しく寝かせる天狗。
【7】お多福にのしかかる天狗
「いやーっ、恥ずかしー!」的に顔を覆うお多福。お多福にのしかかる天狗。
【8】種付け開始
天狗はお多福の体を撫で回し、えいこら、やいこらと子作りが始まりました。これは種付けですね。でも肝心なところで翁が着物をはだけて、前をちょこまか動きまわるから全然見えないよ! おじいさんにしてはフットワークが軽いな。
【9】種付け終了
お多福の足を高々と抱えてフィニッシュ。卑猥と言えば卑猥なんだけど、とてもユーモラスで大らかで、見ていて清々しい気持ちさえしますね。観客からも喝采の声がさかんに上がっていました。
【10】紙を丸めて……
これで終わりと思うのはまだ早い。まだフィナーレがあるのです。写真の3人が手に持っているのは、紙。それもお多福と天狗の股間を拭いたものです。要は使用済みティッシュですね。ここまでやるとはすごい。その拭きとった紙を3人が丸めていますよ。
【11】観客に投げた!
この紙は拭くの紙(福の神)と言われ、子宝に恵まれるというご利益があるのだそうです。天狗が紙を観客に向かって投げると、わ~! きゃー!という歓声があがります。みんなその使用済みティッシュ──いや、福の神の奪い合いをしてますよ。……あの、本当に心の底からこの紙が欲しいんでしょうか。
【12】お多福が天狗をバシーッ!
ラストもちゃんと落ちがあるのです。天狗の襟首をつかんだお多福が青竹を持って仁王立ち。天狗をドンと押すと、よくもやってくれたわねーとばかりにお尻めがけてバシーッ! と力いっぱいぶっ叩きました。これで神事は終了。皆様お疲れ様でした。
アドバイス1:境内散策とおみやげ
おんだ祭にいらっしゃる方へアドバイスを2点ほど。神社の境内にはあちこち、男根女陰系の石が置かれていますので訪れて散策も楽しいですよ。それとおみやげはちんこ型の鈴・珍々鈴やお多福と天狗が描かれたお守りなどお勧めです。神事の前後に時間をとっておくと良いでしょう。
アドバイス2:場所の確保など
それとお祭りは午後2時スタート、午後3時半終了ですが、かなり早く来て場所取りをしていなければとても舞台かぶりつきで見ることはできません。あまり待ちたくないという人はギリギリに来ると場所は後ろの方しかあいていませんので、脚立と超望遠レンズつきのカメラ必携です。年々観客は増える一方ですから、準備万端で訪れましょう。(2013年02月03日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
おんだ祭・飛鳥坐神社(あすかにいますじんじゃ)
日にち:2013年02月03日(毎年2月第一日曜日)
住所 :奈良県明日香村飛鳥707-1
電話 :0744-54-2071(飛鳥坐神社)
時間 :14:00~15:30
駐車場:無料(10台)※当日は混雑するため付近に有料駐車場を使用