三つ目族・写楽保介の名推理!?「飛鳥奇石群(1)酒船石」【奈良】

酒船石
君は『三つ目がとおる』を知ってるかい? 今回からしばらく続く古代ロマンシリーズ・奈良県飛鳥奇石群の最初は酒船石(さかふねいし)。写楽くんの名推理とともにご紹介しましょう。

われとともにきたり、われとともに滅ぶべし

酒船石
『三つ目がとおる』は古代に栄えた三つ目族のただ一人の生き残り・写楽保介(しゃらくほうすけ)が、相棒・和登千代子(わとちよこ)と一緒にミステリアスな事件を解決していくマンガです。絆創膏で第三の目を隠したままだと幼稚園児のような中学2年生ですが、絆創膏をとるやいなや天才的な頭脳と悪魔的な性格の持ち主に大変身。

小学生の頃からの大ファン

酒船石
古代のスーパーテクノロジーや超能力を駆使して謎を解き明かすお話に、小学生の私は胸をときめかせました。UMAにオーパーツ、超古代文明! 私が小学校4年生の時から学研『ムー』を愛読しているのは『三つ目がとおる』の影響です。このブログでも古代ロマンシリーズとして不思議な遺跡や遺構を訪れてはご紹介していますよ。

天才的な頭脳で酒船石の謎を解く

酒船石
酒船石奇談』という短編では、写楽くんと和登さんが修学旅行で奈良県明日香村を訪れます。同級生にいじめられたり、騒動を起こしてしまったりする写楽くん。しかしあるきっかけで絆創膏がとれてしまい、写楽くんは天才的な頭脳を使って酒船石の謎を解くのです。

不思議な模様が描かれた石

酒船石
小高い丘の鬱蒼とした竹林の中にある酒船石。幅は約2メートル、長さは5メートルの細長い花崗岩です。石の上には窪みがいくつかあり、細長い溝でつながっています。ぱっと見前衛芸術のような不思議な幾何学模様が彫刻されているのです。

いつ、誰が、何のために?

酒船石
酒船石は、いつ、誰が、何のために作ったのかはっきり分かっていません。明日香には奈良時代の前に都が置かれていたので、おそらく時代としてそのあたりではないかと考えられてきたものの、酒船石の用途は現在でも様々な議論を呼んでいます。

酒船石の用途はいったい何か

酒船石
名前の由来となった、酒の醸造のための器、天体観測の道具、砂鉄を選別するための石、単なる飾りの彫刻を施しただけの石、はたまた生贄の血を流して占った台、そしてなんと宇宙船の設計図や、宇宙の航海図なんてトンデモな説まであるのです。

写楽くんの推理「薬を調合する調理台」

酒船石
我らがヒーロー・写楽保介くんの推理では、この酒船石は薬を調合する調理台に使われたというのです。それも17種類の原料を混ぜ合わせてできた汁を人に飲ませると、奴隷のように働かせることができるという麻薬の調合台!

人を奴隷化する麻薬

酒船石
写楽くんはこの時代の為政者が、人々をロボットのように働かせるために使ったと主張します。確かに奈良の都には巨大な古墳や、巨石、遺跡がたくさんありますからね。大量の人間を自由にできる薬があれば、それらの建築に大いに役立ちますよね。

同級生に試そうとする悪魔の写楽くん

酒船石
写楽くんは酒船石を使って薬を調合し、自分をバカにしていた同級生に飲ませてやるんだと笑います。第三の目が開いた時、彼は悪魔のように残酷な人格に変貌してしまうのです。はたして和登さんは写楽くんを止めることができるのか!?

近年の発掘での発見

酒船石
現在も様々な説が飛び交っている酒船石ですが、近年の発掘で新たな発見がありました。この酒船石のすぐ近くに、砂岩でできた湧水設備やいくつかの石造物が見つかったのです。

斉明天皇の時代のもの

酒船石
こちらは平成4年に発見された遺跡で、酒船石のすぐ下にあります。明日香産の花崗岩を並べて積み上げた石垣の一部を復元したものです。『日本書紀』の斉明天皇に関するくだりに「宮の東の山に石を累ねて垣とす」「石の山丘を作る」という記述があるため、酒船石はその人工の山を作った際に一緒に作られたという説が有力になってきました。

はたしてその用途は?

酒船石
これでおおよその時代が分かったわけですが、酒船石の用途は今でもはっきりしません。斉明天皇が祭祀に使用したのか、それとも単に宮廷の装飾の一部だったのか。でも写楽くんの言うとおり人を思い通りに操る麻薬製造機だったのかもしれませんよ。あなたならどう推理する?(2013年02月03日訪問)【麻理】

引用

著作権法のマンガ引用に基づく条件は以下のとおりです。

『三つ目がとおる』手塚治虫 講談社漫画文庫
TEZUKA PRODUCTION 1998
『酒船石奇談』 99ページ、110ページ、116ページ、117ページ、118ページ、119ページ

参考文献

地図&情報

酒船石(さかふねいし・さかふないし)

住所 :奈良県高市郡明日香村岡
電話 :0744-54-5600(明日香村教育委員会文化財課)
時間 :08:30~17:00(※亀形石造物)冬季は09:00~16:00
休業日:年末年始・荒天の場合は閉館
入場料:300円(※亀形石造物)
駐車場:有料(※隣接の万葉文化館の駐車場)

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