冒険はお好き? もしそうなら手軽に冒険&探検気分が味わえる奈良県の益田岩船(ますだのいわふね)はいかがでしょう。山中に突如現れる謎の巨大石造物です。インディ気分でGO!
明日香村の奇石群からは離れている
益田岩船は奈良県橿原市白橿町の岩船山(いわふねやま)山頂にあります。近鉄あすか駅をはさんで、明日香村のすぐ東に位置するのですが、ここだけポツンと飛鳥奇石群の中心地から離れています。だからあまり訪れる人はいないようです。素晴らしく見応えのある石造物なのにもったいないなあ。
まわりは新興住宅地
また明日香村と違ってあたりが橿原ニュータウンという新興住宅地となっているので、古墳や遺跡のイメージからは程遠く「本当にこんなところに巨大石造物があるの?」と思われるかもしれません。実際行ってみてもこんもりとした山があるだけで、一見ごく普通の公園のよう。でもここは絶対に押さえておいてほしい奇石の一つです。
トレッキング用シューズで登山
入り口の階段を登って行くと、途中から階段がなくなり山道を進むことになります。ここはトレッキング用のシューズを履いていくことをおすすめしますよ。それと見学は自由ですが、雨の日や日が沈んでからの登山はお勧めできません。安全第一でお願い致します。
ロープを頼りに山を登り続ける
さらに進むと木にロープがわたされた箇所があります。ここは結構な登山になります。まあでも、冒頭に書いたように手軽に冒険&探検ができる場所ですから、それほど気負わずにチャレンジして登ってください。普通の体力があれば大丈夫です。
山頂に現れる巨大アーク?
竹やぶをしばらく進むと、いよいよ見えて来ましたよ。あれは失われたアークか!? さあワクワク気分が盛り上がってまいりました。気分はもうインディアナ・ジョーンズ・ジュニア博士!
巨大な花崗岩が立ちふさがる
でかい! 巨大な花崗岩が壁のように立ちふさがっています。この記事の写真では私がちょくちょく登場していますが、岩の大きさを想像するためのメジャー代わりとしてです。私の大きさと比べるとその巨大さがお分かりいただけるかと。実際に目の前にすると迫力がありますよ。
11メートル×8メートル×高さ4.7メートルの台形
この石造物は東西の長さ11メートル、南北に8メートル、高さ4.7メートルの台形。頂上部には、東西に2つの四角形の穴があけられています。穴の大きさは、縦横1.6メートル×1.6メートル、深さ1.3メートル。それぞれの穴は1.4メートル離れています。
片側は平らに加工されている
横から見た様子です。写真の私がいる側が北側になります。東西にある2つの穴の底面は東西方向には水平なのですが、南北方向にはどちらも南側に傾斜しています。つまり岩全体がやや南に傾いているのです。そして私が立っている北側は滑らかに加工されていてツルツルした滑り台のようになっています。
格子状の溝が刻まれている
これは先ほどの写真の反対側。ここには、格子状の溝が刻まれています。この刻みは石の整形のために作られた人工的なものです。つまりこの岩船は明らかに人の手が加わっている人工物ということですね。この刻みは後ほどご紹介する、明日香村の亀石にも見られるものです。おそらく7世紀に作られたものと推測されています。
これも目的ははっきりと分かっていません
さてこの不思議な石造物はいったい何かというと、もうこのシリーズではお馴染みのフレーズ「はっきりとは分かっていません」と申し上げねばなりません。全く記録に残されていない石造物だからです。(※)
天から降ってきた空飛ぶ船?
占星術のための天体観測設備、火葬のための墳墓、横口式石槨の古墳、弘仁13年(822年)にこの地に築造された益田池(灌漑用の貯水池:現在は消滅している)の碑の台石──など諸説あります。変わったところでは、推理小説家の松本清張氏がゾロアスター教徒の拝火台であるという説をとなえていますよ。私個人としては、天から降ってきた空飛ぶ船の一部だったらいいなと思います。(2013年02月03日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
益田岩船(ますだのいわふね)
住所 :奈良県橿原市白橿町8 岩船山
電話 :0744-22-4001(橿原市文化財課)
時間 :見学自由だが、夜間や雨天の日は決してお勧めできない。
駐車場:なし
入場料:なし