住宅街に突如現れるエキゾチックなピラミッド「頭塔」【奈良】

頭塔
奈良県奈良市。下町のどまんなかに唐突に現れるピラミッド、頭塔(ずとう)。石積みのエキゾチックな外観はどこか異国の風景のよう。この頭塔は何のために建てられたのでしょうか?

現地に行っても見つかりにくい

頭塔
頭塔は奈良の東大寺南大門の南950メートル、新薬師寺から西北西700メートルの位置にあります。でも近くに行ってみてもそれらしいモノは見当たりません。大きな看板もありませんし初めて行く方はかなり迷うのではないでしょうか。私もご近所の方にうかがって、ようやく場所が分かりました。

見学の前に中村表具店さんへ

頭塔
でもちょっと待って。頭塔へ向かう前に仲村表具店さんへ行く必要があります。こちらは史跡頭塔保存顕正会の現地管理人をなさっています。頭塔は普段鍵がかかっているので、管理人さんに頼んであけていただかなければなりません(※)。

追記:2015年10月02日
読者のAさんより情報をいただきました。これまで通り中村表具店さんでも予約を受け付けていますが、ホテルウェルネスさんでは予約なしで見学できるそうです。フロントで史跡頭塔を見学したい旨を申し出てください。また春と秋の特別公開中は予約なしで見学できます。特別公開中は直接現地にお越しください。

「奈良のピラミッド」頭塔の管理人は、ホテルウェルネスに変わっていて、300円で鍵を開けてくれるそうです。先日現地に写真を撮りに行った友人から知らせてもらいました。(2015.10.1)

管理人さんと路地を進む

頭塔
民家が立ち並ぶ路地を管理人さんと一緒に歩いて向かいます。こんな住宅密集地に本当にピラミッドなんかあるのかしら──とこの時点でも半信半疑。だって車1台がやっと通れるような道ですからね。

頭塔の入り口に到着

頭塔
数分ほど歩いて、頭塔の入り口に着きました。古めかしい木の門に、錠前がかかっていて物々しい雰囲気。「見学後にまた鍵をかけますから声をかけてくださいね」とおっしゃる管理人さんにお礼を言って、扉をくぐります。

頭塔は石段の上に

頭塔
門から続く石段を登ります。ここでもまだピラミッドは見えません。「衝撃の映像はCMの後!」的に引っ張りますね。それだけに期待が高まるというもの。そして石段を登り切って見えてきたものは──!

写真だと大きさがわかりづらいかも

頭塔
ジャーン! これが奈良のピラミッド・頭塔です。そんなたいしたことない? いや違うのです。この頭塔、一辺が32メートル高さ10メートルもあって予想外に大きいのですが、見学は頭塔の周りに巡らせた回廊からしかできないので、引きで撮影することができません。全体を撮影できないためその大きさが写真ではわかりづらいのです。

頭を埋めた? 土の塔? 仏塔?

頭塔
頭塔は方形の7段からなる土の塔。昔から奈良時代の僧・玄昉(?〜746年)の頭を埋めた墓(だから「頭塔」)とも、僧・実忠(726〜?)によって造営された(「土塔」)とも言われています。また仏教考古学者の石田茂作(1894〜1977)は、インドの様式を取り入れた最先端の仏塔と述べています。

復元された石積みの塔

頭塔
石積み作りの様式はエキゾチックで、まさにピラミッド。もちろんこれは発掘調査によって復元された石積みですが見応えがありますね。完全な方形のピラミッドではなく、南側の面(頭塔後ろの木の部分)は現状保存のため山のままになっています。

石仏は国の重要文化財に指定

頭塔
各段には、レリーフや線彫りの石仏が安置されています。現在まで28の石仏が確認されており、そのうち最初から露出していた13基が1977年に国の重要文化財に指定され、その後2002年に新たに発見された14基のうち9基が重文に追加されています。

1基は郡山城の石垣に転用

頭塔
14+13で27。残りの1基はというと、郡山城の石垣に転用されているんですね。これは東面第一段にある浮彫如来及両脇侍二侍者像。奈良時代後期の石仏として、仏教的にも美術史的にも大変貴重なものです。石仏は瓦の屋根の下に規則正しく収められています。

整備前の様子

頭塔
これは整備前の頭塔の様子。単なる小山ですね。発掘調査は1986年から12年間に9次にわたって行われました。いくつかの石仏は露出していたものの、この山の中に遺跡を発掘した調査団の方々は興奮したでしょうね。

2000年から見学しやすくなった

頭塔
この調査によって見学デッキや解説板が設置されて、2000年から今の形で見学できるようになりました。私が大学時代に日本一周した時にはまだ見ることができなかったため、この頭塔は初見だったのです。民家の密集地にいきなり現れるという驚きもあって、大変印象的なピラミッドでした。(2013年02月02日訪問)【麻理】

追記:頭塔の窓口が変わりました。

頭塔
これまで通り中村表具店さんでも予約を受け付けていますが、ホテルウェルネスさんでは予約なしで見学できるそうです。フロントで史跡頭塔を見学したい旨を申し出てください。また春と秋の特別公開中は予約なしで見学できます。特別公開中は直接現地にお越しください。

追記:Googleストリートビュー

頭塔
Googleストリートビューで見てみたら、ちょうど見学者が門から入っている瞬間でした。鍵を持っている管理人さんもいらっしゃいます。ただそれだけなんだけど、偶然にもジャストタイムで面白かったです。

参考文献

地図&情報

頭塔(ずとう)

住所 :奈良県奈良市高畑町921番地
電話 :0742-22-2857(ホテルウェルネス)または0742-26-3171(仲村表具店)
時間 :09:00〜17:00
休業日:年中無休
駐車場:なし(県立高畑観光駐車場から徒歩5分・有料)
入場料:300円
関連URL:史跡頭塔/奈良県公式ホームページ

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