とにかく濃い。それが奈良県高市郡高取町の壷阪寺です。境内のすべてが見どころ。様々なモノをぎっちぎちに一つのお寺に詰め込んだカオスっぷり。早朝に訪れた壺坂寺のレポです。
西国三十三箇所観音霊場の第六番
朝の8時半。桜の名所・吉野山と大和三山奈良盆地を望む、壺坂の山。南法華寺(みなみほっけじ)は壺坂寺(つぼさかでら)という通称で親しまれている西国三十三箇所観音霊場第六番札所の真言宗系寺院。創建は大宝3年(703)年に元興寺の僧・弁基上人が水晶の壺を坂の上の庵に納めて観音像を作り祀ったのが始まりだと言われています。
第一の特徴:眼病封じ
壷阪寺の1つ目の特徴は眼病封じ。盲目の夫とその開眼を祈る妻の夫婦愛物語が明治時代に作られ、人形浄瑠璃や歌舞伎の公演で大ヒット。感動した観客がその舞台となった壷阪寺に押し寄せて大人気になりました。アニメファンの聖地巡礼のようですね。目薬や目の病に効くというお守りがたくさん売られているんですよ。
第二の特徴:インド
2つ目の特徴はインド。壷阪寺のある山にはあっちこっちに、巨大なインドからの石仏が安置されているのです。観音像、大仏像、菩薩像、神像、涅槃像──いったいいくつあるのかめまいがするほどの数です。それも一つ一つが結構でかい。最大のものは高さ20メートルもあるのです。
エキゾチックな仏像
石像の造形はエキゾチック。純和風の礼堂や多宝塔、大講堂とインド風の仏像は、多国籍風でユニークな風景になっています。いったいなぜ壷阪寺の境内はインドの石像で溢れてるのか?
インド国際交流の感謝の品
その答えはパネルに書かれていました。先代のご住職は1960年代からインドのハンセン病救済活動に参加していて、インド国内での奨学金事業や学校運営事業、地域開発・公衆衛生事業に熱心に取り組んでいらしたそうです。壷阪寺の石仏はこの日印交流の感謝の品として贈られたみたい。
カラフルなお堂にお花
インド風なのは巨大な石仏だけではありません。こちらのお釈迦様が誕生された時の像。例の「天上天下唯我独尊」という言葉で有名ですね。カラフルな彩色のお堂にお花の飾りまでついていて、あまり日本のお寺では見ないような様式。
極彩色のインド絵画
壁に飾られた絵ももどっからどう見てもインド。日本の侘び寂びを感じさせる仏教画とは対局にあるような極彩色で描かれています。
巨大な仏伝図レリーフ
こちらの仏伝図レリーフも巨大で迫力ありますよ。お釈迦様が誕生してから涅槃に入られるまでの一生を浮彫りにしたものです。こんなでかいのインドから運んだの!? その輸送費も相当かかったでしょうね。
パーツをばらして輸送&日本で組み立て
高さ20メートルの大観音像は近くで見ると横に筋が入っています。これはパーツごとにバラバラに船で運んで、日本で組み立てたからなんです。右の写真はその組み立ての様子。スケールの大きい立体パズルですね。
正直日本には合わないかも……
これでもかと次々現れるインドの巨大石仏&レリーフに、だんだん胸焼けがしてまいりました。正直なところ日本のお寺にはエキゾチック過ぎて浮いているような……。でもそれだけたくさんの石仏があるってことは、インドの人に感謝されてるってことだよね。日本人としては嬉しい。
12万人の職人さんによる大石堂
そして極めつけがこの納骨永代供養・天竺渡来の大石堂です! インド・アジャンタ石窟寺院をモデルとして、延べ12万人の職人さんによって彫刻・組み立てられた壮大なお堂。総重量は1500トン。もう完全にインドの人突っ走っています。
完全に異国の風景
内部は『トゥームレイダー』に出てくるような荘厳な石窟寺院。納骨堂が設けられていてご先祖の慰霊もできるのです。うはー。もうここだけ完全に異国だよ。
キャラクタートゥーマッチ過ぎ
もうお腹いっぱい状態のところへトドメとして鬼の魔よけ橋をご覧に入れましょう。お寺の呼び物しては眼病封じだけで十分なのに、インド、鬼そして冬だから写真はないのですがラベンダー園まであって、キャラクターてんこ盛り状態。そんなに濃くしてどうするんですか。
まだまだ進化し続ける壷阪寺
しかし私を最後に震撼させたのは、壷阪寺が今も進化の途中であるということでした。境内にはこれから作られる予定の石仏のパーツが、青いビニールシートに包まれていたのです。ええっ。もう十分なのにまだ石仏は増え続けるの!? すでに十分人気のお寺なのに走り続けることをやめない壷阪寺、すごすぎです。(2013年02月03日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
南法華寺(みなみほっけじ)壷阪寺(つぼさかでら)
住所 :奈良県高市郡高取町壺阪3
電話 :0744-52-2016
時間 :08:30~17:00
休業日:年中無休
拝観料:600円
駐車場:有料(普通車500円)
関連URL:眼病封じのお寺・お里沢市の霊蹟 西国霊場第六番・神仏霊場奈良25番 壷阪寺