東大阪市の石切神社はでんぼ(出来物)の神様として知られ、病に悩む人々に霊験があります。正確には神社そのものよりも参道が珍です。しかし久しぶりに訪れて愕然としました。
あれ?本当にここだったか?
学生時代の珍スポめぐりの衝撃を再び体験できると思ってワクワクしていたのですが、行ってみて「あれ? 場所間違えてる?」と何度も道を確かめました。石切神社は全く変わってしまいました。
ねじ式の町を思い出す参道
石切神社を思い出すときに連想するのがつげ義春の名作短編マンガ『ねじ式』。主人公の青年が「医者はどこだ」とさまよう不思議な町です。奇妙な看板が並ぶ古い路地、得体の知れない家々が並ぶ狭い道。以前石切神社を訪れた時は、夢の中をさまよっているような、何十年も前にタイムスリップしてしまったような感覚を味わいました。
あの風景はどこにいったのか
通りにはボロボロになったポスターや、手書きの恐ろしい絵が描かれた看板が立ち並び、店先には何十年も同じモノが置かれているのかと疑うような流行遅れの服。わけのわからないヘタウマオブジェ、くすんだガラス瓶の並ぶ漢方薬店。そんな通りだったはずなのに、以前の面影がまるでありません。
入りやすい雰囲気の占いの館
確かに参道には占いの店があっちにもこっちにもあって、一風変わった通りとなっています。でも手書きだったポスターはパソコンで美しくデザイン・印刷されたものに代わり、カラフルで明るい店構えのお店が多くなっています。
幻覚……?虚像……?
もしかして私の記憶の石切神社参道はまったくの幻覚、虚像だったかしら。私が今歩いている参道は、全然別の場所なんだろうか。歩きながらなんだか頭の中がグルグル回りはじめてきました。
時代に合わせて変化
ここを訪れる観光客の方々は、あやしげなお店よりも気軽に入れるお店を望んでいることでしょうし、お店の方も売り上げが上がるように時代に合わせて変化してきたのだと思います。
初見のマニアも満足
初めて訪れる珍スポットマニアにとっても、占い店がたくさんある参道、異彩を放つ坂本昌胤記念館、ペガサス銅像の石切夢観音など見どころも多いため、十分楽しめる観光地だと思います。
私がどうこう言えることではないが
お店の方も一般観光客も、新しく珍スポット好きになった方もみんな満足。全員「WIN WINの関係」なのですから私がどうこう言う問題ではありません。
夢をみていたんでしょうか
ですが。本音を言うと「行くんじゃなかった」と落胆しています。私は夢を見ていたんでしょうか? 心に存在していた奇妙で懐かしい参道が現在の風景で塗り替えられ、もうあまり思い出せなくなってしまいました。(2008年08月14日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
石切神社(いしきりじんじゃ)
住所 :大阪府東大阪市東石切町1-1-1
電話 :072-982-3621
時間 :参拝自由
拝観料:無料
関連URL:石切劔箭神社(石切さん)