骨仏(こつぶつ)とは遺骨を使って作られた仏像のことです。骨仏は北海道、福井、東京、香川など全国各地に存在し、現在も信仰を集めています。大阪の一心寺は最も有名な骨仏の寺です。
最も有名な骨仏の寺
一心寺(いっしんじ)では明治20年(1887年)以来、200万人以上の納骨により仏像が造立されてきました。10年ごとに1体ずつ開眼し、現在までに13体が作られているんですよ。夕暮れ時だというのに境内はたくさんの参拝客であふれていました。
200万人以上の遺骨による仏像
残念ながら戦前に作られた6体は戦災で消失したため、現在一心寺には7体が奉られています。最も新しい第13期骨仏は、平成9年~18年の納骨163,254体により平成19年に作られました。中央の仏像は平成19年に作られた新しい骨仏です。
平成19年の13期の骨仏
骨仏は、骨仏師といわれる専門家が遺骨を砕き、粉末状にしてコンクリートやセラミックスなどに混ぜて、造り上げられます。まだ新しい13期の骨仏は白くすべすべとしていました。やがて年月を経るにつれて徐々に隣の仏像のように色がくすんでいくのでしょうね。
骨は気味が悪い?
「人間の骨で作られた仏像」などと言うと、気味が悪く思われる方もいらっしゃるかもしれません。でも土葬を行う地域の外国人に比べ、日本人は遺骨にそれほど抵抗がない気がします。以前アメリカ人に「火葬場で遺族は故人の骨を箸で拾う」と話したところ、とても驚かれたことを思い出しました。
あの仏さん、おじちゃんが入っとるんやで
広々とした境内にはたくさんの人があふれ、骨仏の前で手を合わせていました。私のすぐ隣の中年女性が子供に向かって「ほら、あの仏さん、おじちゃんが入っとるんやで」と声をかけているのを聞いて、生活に根付いた信仰心にとても感銘を受けました。
仏様になる・成仏する
遺骨で仏像が作られることによって、まさしく遺族は「仏様になる」「成仏する」という気持ちになるのと思います。数多くの地元の人々が訪れる理由がよく分かりました。
新しい埋葬の形も
また最近は、お墓を建てるよりも、海などへの散骨を望む人が多くなりました。一心寺に納骨を望む人が現在もたくさんいるのは、そういう新しい形の埋葬を望む人や、高価なお墓の購入に躊躇する人が増えているという事情もありますね。
珍な見どころもご紹介
さて。お骨で作られた仏像ですので非常に珍しく、読者の皆様に知って頂きたいという思いで書いたのは確かなのですが、それとは別にぜひ見て頂きたい珍なポイントがあります。それは1997年にリニューアルした山門。え? これがお寺の山門? なんかパビリオンっぽいけど。
現代アート的・山門&仁王像
どういうわけか山門は美術館かと思うようなバリバリの現代建築なんですね。そして仁王像は一見してとても仏像に見えないアバンギャルドなアート作品となっています。いろんな意味でユニークなお寺でした。(2008年08月14日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
一心寺(いっしんじ)
住所 :大阪府大阪市天王寺区逢阪2丁目8-69
電話 :06-6771-0444
時間 :09:00~16:00
休業日:年中無休
駐車場:なし
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