大阪国立民俗学博物館の世界の民族学・文化人類学に関する収蔵品の多さ、素晴らしさは国内屈指。もとは日銀総裁・大蔵大臣を務めた渋沢敬三氏の屋根裏部屋の博物館がはじまりです。
25万点・国内屈指の収蔵品
なんせ集めに集めたコレクション総数25万点。オセアニア、アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、アジア──世界各国の民族学・文化人類学に関する収蔵品で知られています。1974年に創設し1977年に開館。40年以上の歴史があります。
アチック(屋根裏)ミュージアムがはじまり
もとは日銀総裁、大蔵大臣を務めた渋沢敬三(1896~1963)のアチックミュージアム(屋根裏部屋の博物館)がはじまりでした。彼が東京帝国大学の学生だったとき、友人と土産物や標本、化石、民具などのコレクションを持ち寄って自宅で博物館ごっこをしていたのがきっかけ。全国の学者や知人に収集を呼びかけるうちに規模がだんだん大きくなっていったんです。
渋沢コレクションと万博コレクション
この渋沢敬三のコレクションに加え、1970年開催の大阪万博のテーマ館のために世界中から蒐集された品々が博物館設立の際の貴重な収蔵品になりました。初代館長は、テーマ館の展示品蒐集に大きく貢献した梅棹忠夫。『知的生産の技術』は今でもベストセラですね。
これはヴンダーカンマー!
個人のコレクションがやがて巨大博物館になるなんて、まさしくヴンダーカンマーではありませんか! 渋沢敬三は日銀総裁、蔵相としての仕事の傍ら、数多くの民俗学者のパトロンとなって費用を援助し民族学の発展を促しました。学者になりたかったものの断念した過去があったからだそうですよ。ノブレス・オブリージュの偉人です。
1週間はかかりそうな多さ
国立民族学博物館は9つの地域に分けた地域展示と音楽や言語などテーマで分けた通文化展示の2種類で構成されています。とにかく量が多い。隅から隅までじっくり見たら1週間かかっちゃうんじゃないかしら。
桃太郎を全国の方言で
全部ご紹介するのは不可能なので個人的に琴線に触れたものを。こちらは『桃太郎』の民話を日本全国の方言で再現する音声展示。「むかしむかしあるところにおじいさんとおばあさんが……」の東北版や沖縄版は外国語か?って言うぐらい1ミリも聞き取れませんでした。
アイヌの村に例のモノが
これはアイヌの集落を再現したミニチュア。愛知県の野外民族博物館リトルワールドで見た風景がミニチュアに。しかもアイヌの村のトイレがちゃんと作ってある! 珍スポめぐりで知識ががっちりリンクしたよー。
お店まるごと一軒展示
ここはミュージアムショップじゃありませんよ。ハワイのおみやげ物屋さんをまるごと再現して展示してあるんです。商品は売り物じゃなくて全て収蔵品。1軒まるごととはダイナミックな展示ですね。ショーウィンドウの向こう側に立つとお店の主人っぽくなれます。
当時画期的だったビデオテーク
これはビデオテークと呼ばれる映像資料コーナ。今では当たり前の手法ですが、30年前に世界の民族の行事や祭り、言語、暮らしをビデオ映像で展示したのは画期的だったんですよ。こりゃ一日で見るのは不可能ですね。国立民族学博物館は時間のあるときにごゆっくりどうぞ☆(2008年08月15日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
国立民族学博物館(こくりつみんぞくがくはくぶつかん)
住所 :大阪府吹田市千里万博公園10-1
電話 :06-6876-2151
時間 :10:00~17:00(入館は16:30まで)
休業日:水曜・年末年始
入場料:大人580円
駐車場:有料(1200円)
関連URL:国立民族学博物館(みんぱく)