雷よけの呪文「くわばら」とはいったいなんぞや? 大阪は和泉市にある西福寺に行けば分かります。こぢんまりした静かなお寺です。ここには一風変わった伝説が残っているんですよ。
雷の呪文にまつわるお寺
ゴロゴロと雷鳴がとどろきはじめたり、誰かに怒られそうな状況になると「くわばら、くわばら」って言いますよね。言わない? そんなのお年寄りだけ? まま、そう言わずに。じゃないと話が続かないからね。
稲光とともに井戸に落ちたのは?
西福寺にはこんな伝説が残っています。
昔、この地を激しい雷雨が襲いました。地鳴りのような雷鳴の後、激しい稲光が西福時を包みました。驚いてかけつける村人たち。見ると境内の井戸の中から一筋の光が上っています。
かみなりさんが落っこちた!
こわごわ村人がのぞき込むと、井戸の底で何か動いているように見えました。「かみなりさんが落っこちたんや!」 村人は恐ろしがって井戸に石のふたをしてしまいました。かみなり様は出られなくて困ってしまいます。
二度とこの地に落ちないように
出してくださいと泣き叫ぶかみなり様。村人は再びこの地に落ちることがないようにかみなり様に誓わせて出してやりました。かみなり様は慌てて天に帰って行きましたとさ。おしまい。
西福寺のあった桑原村から
西福寺のあったのは桑原村です。以来、「くわばら(桑原)、くわばら」と村の名前を唱えると、かみなり様が逃げ出すようになったそうですよ。雷が落ちると困るゴルファーや電気工事関係者がよくお参りにくるとか。私もコンピュータが壊れないようにと念入りに手を合わせました。
本堂のわきにある「桑原の雷井戸」
桑原の雷井戸は境内の本堂右手に残っています。石柱に囲まれた中央に石のふたが乗せられています。この石のふたをしたのは老婆であるとも言われています。すごい力持ちのおばあちゃんですね。閉じ込められちゃってかみなり様かわいそ。
雷様は結構小柄だったみたい
井戸は直径50センチ弱。石のふたの上にはお賽銭が乗っていました。井戸にしては小さいかなと思います。これにすっぽり入っちゃうんだから、かみなり様は高木ブーさんみたいなぽっちゃりさんじゃなくて、かなり小柄だったんですね。
こ、これは……UFOのグレイ!
「激しい光とともに墜落した」なんて、かみなり様じゃなくてUFOに乗ってた宇宙人じゃないの? はい、あなたのつっこみはごもっとも。ひょっとして雷様とは宇宙人だったのではと思って、私もわざわざこの井戸を見に来たのです。来たからって宇宙人に会えるワケじゃないけどね。
日本全国あちこちでUFO墜落!?
ただし兵庫県三田市桑原の欣勝寺(きんしょうじ)にも、長野県千曲市桑原にも、同じくお寺に落ちた雷伝説があるんです。探せば日本全国あちこちにUFOが落っこちてるのかもね。落っこちた宇宙人はちゃんと故郷に帰れたのかしら。(2008年08月16日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
無量山 西福寺(むりょうざん さいふくじ)
住所 :大阪府和泉市桑原町152
電話 :0725-41-2354
時間 :07:00〜18:00
拝観料:無料
駐車場:無料