世界的アーティスト・フンデルトヴァッサーの建築と言ったら、ここを紹介しないわけにはまいりません。遊園地でもラブホテルでもありませんよ。大阪の舞洲(まいしま)ゴミ処理場です。
舞洲工場と舞洲スラッジセンター
舞洲は大阪市此花区にある埋め立てによって造成された人工島。舞洲ゴミ処理場は、正式には大阪市環境局・舞洲工場というゴミ焼却場と、少し離れたところにある大阪市都市環境局・舞洲スラッジセンターという汚泥処理場を指します。別々の建物・別々の管轄ですが、両方ともフンデルトヴァッサー氏のデザインによる建築です。
あわせて建設費1409億円!
あなたの予想通り、これがまたものすごい建設費なんですよ。パンフレットによると環境事業局のゴミ焼却場の方は、609億円、都市観光局の方は800億円。あわせて1409億円! もちろん大阪の皆様の税金から出ております。
最新&最強のゴミ処理施設
お金をかけているだけあって、舞洲工場は最新&最強。コンピュータによる安定した高温運転で1日に最高900トンのゴミ処理を可能とし、飛灰のダイオキシンは加熱脱塩素化装置で分解。屋上に降る雨水を集めて排水処理水の再利用もバッチリ。
汚泥の有効利用率アップ
一方舞洲スラッジセンターでは、下水処理を高熱処理して汚泥を融解スラグに変え、建築資材として利用しています。汚泥の有効利用率は、以前は14.2%から40.9%まで上昇しました。
シュピッテラウ焼却場
フンデルトヴァッサーのゴミ焼却場はオーストリアのウィーンにもあります。シュピッテラウ焼却場(Fernheizwerk Spittelau)です。こちらもカラフルで賑やかなデザインです。舞洲ゴミ処理場にそっくりですね。
3カ所が大阪に集中
彼の建築作品は、日本ではこの2処理施設とキッズプラザ大阪、東京赤坂のTBS玄関にあるモニュメントの4カ所。うち3カ所が大阪に集中しているのがすごいです。
税金の無駄遣い……
大阪ではどちらかというと「税金の無駄遣い」として否定的な意見が多いみたい。でもこんなアート作品をドカンと建てちゃった大阪人のスケールの大きさに、私は大変感銘を受けました。
自然と共存した建物
あちこちから木々がのぞいている自然と共生した建物。木々とともに変化していく建物なんて、一歩も二歩も時代の先をいってる最先端の建築ではないですか。直線を使わず曲線でデザインされているので、規模の割には圧迫感がなく柔らかい印象です。
流れる水のような「百水」
親日家だった彼の日本での雅号は「百水」。フンデルトヴァッサーHundertwasserはドイツ語でHundert(百)とWasser(水)。舞洲ゴミ処理場は流れる水のように自由な発想を持っていた、彼の思想が息づいていますね。
あっ、今唐突に気づいたんだけど、ひょっとして大阪人の悪口は「ふふん、他の都道府県には作れへんやろ~♪(自慢)」というツンデレ入ってるのかな?(2008年08月17日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
大阪市環境局(おおさかしかんきょうきょく)・舞洲工場(まいしまこうじょう)
住所 :大阪府大阪市此花区北港白津1-2-48
電話 :06-6463-4153
時間 :工場見学は、10時・13時・15時(要予約)
休業日:日曜、祝日、点検期間
入場料:無料
駐車場:無料36台関連URL:舞洲工場 – 大阪市・八尾市・松原市環境施設組合
大阪市都市環境局(おおさかしかんきょうきょく)・舞洲スラッジセンター(まいしますらっじせんたー)
住所 :大阪府大阪市此花区北港白津 2-2-7
電話 :06-6460-2830
時間 :汚泥処理施設見学は10時・13時(要予約)
休業日:火曜・日曜日
入場料:無料
駐車場:無料
関連URL:大阪市市政 舞洲スラッジセンター