8万4000の匹のネズミで延暦寺を大襲撃「園城寺(三井寺)鉄鼠」【滋賀】

園城寺・三井寺・鉄鼠
鉄鼠(てっそ)を知っていますか? 滋賀県園城寺(三井寺)に伝わる、世にも恐ろしい復讐劇。恨みはらさでおくべきかと8万4000匹の鼠となって延暦寺を襲撃したある僧の物語です。

鉄鼠(てっそ)とは何か?

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鉄鼠という妖怪は以前はそれほど知名度のなかった妖怪ですが、『鉄鼠の檻』(1996年発行・京極夏彦)というミステリーで一躍知られるようになりました。または水木しげる氏のマンガでご存知かもしれませんね。

鉄鼠はもともとは『平家物語』『太平記』などに登場する化けネズミを、江戸時代の画家・鳥山石燕が『画図百鬼夜行』で鉄鼠と名づけて紹介した妖怪です。

平安時代末期の鉄鼠誕生物語

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その妖怪・鉄鼠が生まれたのが滋賀県大津市の園城寺(三井寺)です。時は平安時代末期。白河法皇に頼まれて、皇子誕生を祈願した園城寺の阿闍梨・頼豪(らいごう)。見事皇子が生まれ、何でも褒美を取らせるという法王に三井寺の戒壇院建立を願い出ます。

戒壇(かいだん)とは、公認の戒律を授けるための場所のこと。戒律を正式に授かることで、その寺の僧侶は正当な僧と認められることになる。当時はわずかな寺だけが戒壇を授かっていた。

ライバル・延暦寺から「待った!」の声

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ところが当時戒壇を認められていた園城寺のライバル・比叡山延暦寺から横槍が入ります。結局法王は延暦寺に気兼ねして、頼豪の願いをしりぞけて戒壇を授けませんでした。それを恨んだ頼豪は「おのれ皇子を魔道に落としてやる!」と断食の祈祷を続けます。

頼豪の呪いの祈祷で皇子死亡・鼠に变化し襲撃

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はたして頼豪の祈祷が効いたのか、まもなく皇子も亡くなってしまいました。しかしそれでも延暦寺への恨みは尽きず、頼豪が吐いた息が8万4000匹の鼠へと变化し、頼豪自身も大鼠に変身しました。そして鼠の大群とともに比叡山を襲撃して、経典や仏像を片っ端から食い荒らしてしまったといいます。

僧侶が人を呪い殺すってどうなの?

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憎き延暦寺への復讐!──というと怖そうだけどネズミちゃんがカリカリカリカリと仏像をかじっている絵はちょっとカワイイかも。いやいや、お寺にとっては大事な経典をかじられるのは大ダメージでしょう。ただ阿闍梨ともあろう人が、逆恨みで人を呪い殺すってのはなんか間違ってる気もするなあ。

1000年経ってもウラミハラサデオクベキカ

園城寺・三井寺・鉄鼠
園城寺には今も頼豪を祀る鼠の宮という祠があります。訪れた時は夕暮れ時の薄暗がりで、かなり不気味な雰囲気でした。この鼠の宮はちゃんと比叡山延暦寺の方向を向いているんですよ。1000年経ってもウラミハラサデオクベキカ〜(『魔太郎がくる!!』)(2016年01月09日訪問)【麻理】

参考文献

地図&情報

園城寺(おんじょうじ)三井寺(みいでら)鉄鼠(てっそ)

住所 :滋賀県大津市園城寺町246
電話 :077-522-2238
時間 :08:00~17:00
拝観料:大人600円
休業日:年中無休
関連URL:三井寺(天台寺門宗総本山園城寺)

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