白塗りにコントのようなメーク、赤・青・黄色のド派手な衣装、鈴を片手に「笑え、笑え!」と人々に強要しまくる怪人。和歌山県日高郡・丹生神社の笑いまつりにやってきました。
癒しの風景が広がる日高川町
10月08日(日)朝9時。山に囲まれた癒しの風景が広がる日高川町。全く人気(ひとけ)がないので、場所を間違ったかなと地図を見直していると、にぎやかなお囃子が遠くから聞こえてきました。
紋付き正装の笑い男12人
おお、やってる、やってる。紋付き袴のオジサマたちが集まっています。彼らは笑い男と呼ばれる12人です。
目尻がゆるむ小学生の萌え巫女ちゃん
御神輿の前には可愛い小学生巫女ちゃんもいっぱい。巫女萌えの男子の気持ちがよく分かるわ。だってホント可愛くて目尻が下がるんだもの。
はみ出し禁止の鬼の踊り
これは道案内の鬼の踊り。祭りの見物人が道路にはみ出したりすると、持っている棒で容赦なくバシバシ叩きます。「神聖なる道であるぞ、除け除け!」。ここまではまあ、割とよくある普通のお祭りですよね。
背中に「笑い」、顔にも「笑い」
しかしこれからが真骨頂。出ましたよ、伝統的な祭り衣装の人々の中で異彩を放つ、例のオジサマが。背中には「笑い」の縫い取り、顔にも赤字で「笑い」の文字。無表情でも無理矢理笑っているように見える無茶なメイクです。
鈴をジャラジャラ鳴らしながら先導
この方は鈴振りという役割。この役は毎年持ち回りで、今年はYさんという方が選出。文字通り鈴をジャラジャラ鳴らしながら、お旅所から500メートルほど離れた丹生神社まで人々を先導します。
永楽じゃっ! 笑え~!
「笑え、笑え~!」と言う鈴振りの笑い声と、「永楽(えいらく)じゃっ! 永楽じゃっ!」というケチャック的かけ声に、なんだか悪い夢を見ているような、頭がグワングワンなってくるような。正直怖いよ。笑いと恐怖は近いって言うじゃないですか。うん、あれだ、スティーブンキングの『イット』ですよ。
御輿ごと川の中へダイブ
鈴振りと笑い男一行には各地区の御輿が続いています。突然御輿の担ぎ手が「永楽じゃあああ!」と絶叫しながら川の中へダイブ! もちろん御輿ごと!
水をかけあう小学生のような大人たち
爆笑しながら「永楽じゃっ!」と水をかけあっています。プール掃除ではしゃぐ小学生そのものです。御輿も担ぎ手もずぶ濡れ。ドロドロ。あーあ。
丹生都姫命を慰める祭り
一応この祭りの由来を。神代の昔、神無月に出雲で行われた会議に、丹生都姫命(にふつひめのみこと)がうっかり遅刻してしまいました。どんより落ち込んだ姫を慰めるため、村人が「笑え、笑え」と祭りを行いました。笑顔をとり戻した姫は無事出雲へ出立しましたとさ。
……この「笑え、笑え」で本当に笑顔が戻ったかどうかはかなり疑問ですが。
朝9時から午後5時まで笑い続けろ!
恐ろしいことに、この大騒ぎは午前9時に始まり、午後5時まで延々と続くのでした。でもたとえ観光客置いてきぼりでも、地元のみなさんが心から楽しんでいる祭りということは熱く伝わってきましたよ。本当にお疲れ様でした。(2006年10月08日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
笑いまつり
開催日:10月の第2日曜に開催
住所 :和歌山県日高郡日高川町1956 丹生神社(にうじんじゃ)
電話 :0738-53-1125(丹生神社)
時間 :09:00~17:00ぐらい
駐車場:なし