徐福(じょふく)は秦の時代の中国に存在したといわれる伝説の方士(呪術・占星術などの方術を使う学者・魔術師)です。徐福の墓がある和歌山県新宮市の徐福公園にやってまいりました。
徐福の墓を中心に平成6年にオープン
これ横浜中華街じゃないですよ。原色ギラギラ・ド派手チャイニーズ建築の門をくぐるとそこが徐福公園。徐福の墓を中心に平成6年にオープンしました。秦の時代の建築がこんな感じかはよく分からないのですが。
不老不死の霊薬を求めて東方を目指す
徐福とはいったい何者でしょう? 徐福は、2200年前に中国を統一した秦の始皇帝に使えていました。中国の歴史書・司馬遷『史記』にも書かれていますが、不老不死を求めた始皇帝の命を受けて、3000人の童男童女と金銀財宝を乗せた大船団で航海に出たそうです。

日本全国各地にある徐福伝説
問題はこの徐福が航海の末にたどりついたのがどこかよく分かっていないということ。そのため徐福が目指した東方の島・日本では、北は青森県から南は鹿児島まで全国各地に徐福伝説が存在しているのです。ここ和歌山県新宮市もその一つというわけ。
7人の重臣の墓と不老の池
公園内には徐福と共に海を渡った7人の重臣の墓があります。この7人の重臣を象徴する7匹のコイが園内の不老の池を泳いでいます。石橋には7人が有していた7の徳「和、仁、慈、勇、財、調、壮」が刻まれています。
不老不死の霊薬は天台烏薬(てんだいうやく)?
不老不死の霊薬といわれるクスノキ科の常緑樹・天台烏薬(てんだいうやく)が生えています。昔から健康に良い漢方薬として知られていましたが、最近の研究で活性酸素を除去する効果があることが分かりました。胃痛、神経痛、リュウマチに効くらしいです。体に良いことは確かなんですね。
始皇帝でも永遠の命だけは手に入らず
結局、徐福は始皇帝の元には帰らず、始皇帝は不老不死にはなれませんでした。兵馬俑で有名な始皇帝の墓・始皇帝陵を見れば分かりますよね。富も権力も思うままだった始皇帝ですが、永遠の命だけはやっぱり手に入らなかったのです。
徐福ってただの詐欺師じゃないの?
当然あなたも思うはず。「徐福ってただの詐欺師じゃないの?」と。霊薬なんて探す気ゼロ。口先三寸で始皇帝を丸め込んで、うなるほどの財宝、3000人の子供たち、大船団をゲット。新天地で自分だけのユートピアを作りたかっただけじゃないかと。
稲作農耕技術をもたらしたのは徐福か
始皇帝の時代というと日本はようやく弥生時代に入ろうとしていた時期。当時のハイテク国家・秦の稲作農耕技術を日本にもたらしたのは徐福で、3000人の童男童女は日本人の祖先なのではという説もあります。
あなたの遠いご先祖様は徐福かも
徐福が天才的な方士なのか稀代の詐欺師なのかが大いに気になるところです。『NHKスペシャル 驚異の小宇宙 人体 遺伝子DNA』によると、日本人のミトコンドリアのDNA解析では25.8%が中国に多いタイプなのだとか。ひょっとするとあなたの遠いご先祖様は徐福かもしれませんネ。(2006年10月09日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
徐福公園(じょふくこうえん)
住所 :和歌山県新宮市徐福1-4-24
電話 :0735-21-7672
時間 :08:30~18:00(冬期は17:00まで)
入園料:無料
休園日:年中無休
駐車場:無料(10台)
関連URL:一般財団法人新宮徐福協会