和歌山県の加太・深山要塞は、まるでRPGゲームの風景。緑に覆われたレンガ造りの建物は、ノスタルジックでファンタジック。異世界に迷い込んでしまったような体験ができます。
【加太・深山地区1】深山砲台(みやまほうだい)
大日本帝国陸軍が作った由良(ゆら)要塞は4つの地区に分けられています。友ヶ島地区、淡路島の由良地区、加太・深山地区、鳴門地区です。加太・深山地区の深山砲台(みやまほうだい)は国民休暇村・紀州加太の駐車場近くにあります。明治22年(1889年)に建設が開始されたので主な建材はレンガ。クラシカルな佇まいが美しい要塞です。
レンガ造りの弾薬支庫
第2次世界大戦中、この休暇村一帯は深山銃砲連隊が大阪湾の入り口を守っていました。遊歩道の周りに当時の建物が点在しています。ここはレンガ造りの弾薬支庫跡。
友ヶ島に比べると明るい雰囲気
階段を下りますがそれほど深くないので、友ヶ島の弾薬支庫に比べると明るいです。レンガの壁、天上に残っている白い塗料はしっくい。だいぶ剥がれ落ちていますが、建物自体はしっかりとした丈夫な作りとなっています。
【加太・深山地区2】加太砲台(かだほうだい)
今度は加太砲台(かだほうだい)を見てみましょう。休暇村から100メートルほど下ったところに遊歩道があり、要塞跡を見学できるコースが設けられています。緑の木々が清々しい遊歩道ですね。石畳の歩道を散歩しながらしばしの森林浴を楽しみます。
6門編成の砲台
加太の要塞の見取り図です。野外の説明書きで汚れていて見にくかったので、私が文字を書き足しています。ここには28センチの榴弾砲(りゅうだんほう)の砲台が6門編成で置かれていました。砲台は2門ごとに仕切られ、トンネルの通路でつながっています。友ヶ島と同じく現在大砲そのものはありませんが、砲座、弾薬支庫、トンネル通路を見ることができます。
階段下にある弾薬支庫
階段を降りてみましょう。前日に雨が降ったので階段が濡れて地面がぬかるんでいます。木漏れ日が美しいです。
この風景見たことがあるような
こういう景色『バイオハザード』で見たような気がする。『サイレントヒル』シリーズだったかな、いや『サイレン』だったかも──ホラー系アクションアドベンチャー好きの人なら強力なデジャヴを感じることでしょう。他に見学者もいないので、自分がゲームの主人公になったような気がします。
弾薬支庫の中は真っ暗
弾薬支庫です。これはフラッシュを焚いて撮影しているので明るいですが、中は真っ暗。もし扉があったら確実にゾンビが出現する部屋ですね。ここでも友ヶ島で活躍した軍用LEDライトが重宝しました。
ライトなしだと何も見えない
ライトなしだとこんな感じ。画面が見やすいようにややレベル補正しているので、実際にはもっと暗く感じます。ここを訪れるときにはライト必携です。
整備された見やすい要塞
友ヶ島に比べると、規模は小さいながらもよく整備されていて見学しやすい要塞です。植物に侵食された寂れた感じがお好きな方は友ヶ島を断然おすすめしますが、そこまでのアドベンチャーは求めていない方はこちらでも十分かも。でも階段のところにマムシがいましたので、どうぞお気をつけて。
砲台跡も手入れが行き届いている
こちらは砲台跡。すっきりと手入れがされていてあまり廃墟感はありません。ところでこの壁の穴は何でしょう? 電力ケーブルとか通してたのかな。詳しい方教えて下さい。
異世界体験をしてみませんか?
由良要塞の戦争遺跡は他にもあるのですが、立入禁止区域になっているもの、場所が不明になっているものも多いです。樹木に覆われて崩壊が進んでしまったり、取り壊されてしまったり。今回は行きませんでしたが、他には生石砲台、田倉崎砲台が比較的見学しやすいようです。異世界に迷い込んでしまったような体験がしたい方は、由良要塞めぐりをしてみてはいかが?
追記:友ヶ島の動画
友ヶ島の戦争遺跡の動画も雰囲気がよく伝わると思いますので良かったらご覧ください。こちらも歩きながらの撮影なので画面が揺れていて申し訳ないです。(2012年06月17日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
加太・深山要塞(かだ・みやまようさい)
住所 :和歌山県和歌山市加太 深山
電話 :073-435-1234(和歌山市観光課)
時間 :見学自由
休業日:年中無休
駐車場:無料
関連URL:深山砲台跡|和歌山市