千葉県鴨川市の西院の河原地蔵尊は、関東では珍しい賽の河原です。岸壁に建てられた堂内には無数のお地蔵様が祀られています。ここは子供や若くして亡くなった方を供養している地です。
海に面した道路沿いにある西院の河原地蔵尊
房総半島の南、海に面した国道128号線から少し入ったところにある西院の河原地蔵尊(さいいんのかわらじぞうそん)は天面賽の河原(あまつらさいのかわら)とも呼ばれています。この日は曇り空で、海にはどことなく寂しい雰囲気が漂っていました。
一つ積んでは父のため、二つ積んでは母のため
賽の河原は、死んだ子供が親よりも先に死んだ不幸をつぐなうために、石を積んで塔を作る場所です。何度塔を積んでも鬼がやってきて崩してしまうので、よく「無駄な努力」の例えにも使われる言葉ですが、地蔵菩薩が現れて鬼を退け、子供を救うと言われています。
関東では珍しい賽の河原
賽の河原は主に東北地方でよく見られます。青森の川倉賽の河原地蔵尊では色とりどりのべべを着たお地蔵様やカラフルな風車が回っていましたが、胸が詰まるようなさびしい場所でした。
賽の河原は関東では珍しく、mixiコミュニティの「賽の河原コミュの賽の河原リスト」によると、他には神奈川県足柄下郡箱根町の元箱根賽の河原ぐらいしかありません。
お茶とお菓子をごちそうになりながらおしゃべり
お堂の中に入ると中年のご婦人がにこやかに声をかけてくださいました。ご近所にお住まいのSさんという方でここの堂守りをしていらっしゃるそうです。お茶にお菓子まで出してくださって、いろいろとお話をうかがうことができました。
子供だけでなく若くして亡くなった方も祀られている
西院の河原地蔵尊はもともとは鴨川の天面(あまつら)に点在していたお地蔵様をこの一か所に集めたのが始まりです。そのうちに亡くなった子供を弔うためのお人形やぬいぐるみも祀られるようになり、子供だけでなく若くして亡くなった方の遺影も安置されるようになりました。
おもちゃやぬいぐるみがいっぱいだけどしんみりした場所
堂守りのご婦人とついつい長話になってしまいましたが、私も中年になったからか、お子さんや若い方の遺影を見るとぐっと胸が詰まります。可愛らしいお人形やおもちゃがいっぱいで賑やかなのに寂しい。いただいたハッピーターンをもそもそ食べながらしんみりした気持ちになりました。(2016年10月10日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
西院の河原地蔵尊(さいいんのかわらじぞうそん)
住所 :千葉県鴨川市天面
駐車場:なし
関連URL:[mixi]賽の河原リスト☆ – 賽の河原 | mixiコミュニティ