万木城(まんぎじょう)は上総国夷隅郡(現在の千葉県いすみ市)にあった土岐氏の城。万木城公園にはお城の形の展望台が立っています。でもこのお城の形は時代が合ってないような……?
室町時代に土岐時政によって築城されたという説も
万木城は言い伝えでは室町時代初期の応永年間に土岐時政が築城したと言われています。そして小田原討伐軍の本多忠勝に攻め込まれ、1590年に落城して廃城となりました。
珍スポットによくある時代考証オールスルーの城
この時点で変だなと気づいたあなたは鋭い。このお城型展望台は江戸時代の近世風の城形になっているので、全く時代が合っていません。でもこんなのは珍スポットではよくあること(例:墨俣一夜城)。やっぱり時代劇で見るような「いかにもなお城」じゃないと、市民のコンセンサスが得られないからなんでしょうね。
万木城と土岐市の歴史
万木城城主の土岐氏は、土岐為頼の時代には里見義堯と婚姻関係を結び、第一次国府台合戦では里見方の武将として参戦しました。しかし第二次国府台合戦で里見氏が敗北した後は離反して北条氏と手を結んでいます。
あの剣豪・御子神典膳も活躍した城
あっちについたりこっちについたり──は陰謀渦巻く戦国時代の習いですが、そのために万木城城下は里見氏や上総武田氏に何度も攻められています。それでも土岐市は里見を3度も退けたと言うのだからすごい。
天正17年(1589)年に里見氏が城を包囲した時は、剣豪で知られる御子神典膳(後の小野忠明)が騎馬隊長として大多喜城主の正木時堯と一騎打ちをしたと言われています。
柱で支えられたスッカスカすぎる一階部分
本来は万木城は中世の山城であったことは間違いなく、このお城の形には首をひねってしまうのですがまあそれは置いておいて。でもこの4つの柱と階段でスッカスカの1階部分はどうみてもヘンテコ建築で笑いがこみ上げてきます。このアンバランスさが珍スポット的に面白いですね。
展望台へ登ってみよう!
階段を登って展望台へと向かいます。丘の上にあるので風が吹き抜けて清々しい。近代的なコンクリート建築で、ちゃんと手すりもついている安全設計。
目の前に広がる清々しい田園風景
目の前に広がる大パノラマ! 万木城周辺は高い建物がまったくなく、田園が広がっているため展望台からの眺めは最高です。この丘は急斜面が3方にある台地で夷隅川の曲流に囲まれているために自然の外堀のようになっているのです。城を立てるには絶好のロケーション。
城の形とか細かいことはどうだっていいのです
かつてここで里見・正木氏との激戦が繰り広げられ、勇猛果敢で知られた土岐氏がここから戦況を眺めていたりしたのでしょうか。この雄大な景色を目の前にしたら、お城が近世風であろうが、天守閣に金シャチが乗ってようが、そんな細かいことはどうだって良い気がしてくるではありませんか。
毎年05月03日に300本の鯉のぼりの「万木城まつり」開催
私が訪れた時にはあいにくの曇り空だったのですが、天気が良い日は富士山や輝く太平洋が見られるそうですよ。また毎年05月03日には300本の鯉のぼりが泳ぐ「万木城まつり」が開かれます。ゴールデンウィークにぜひどうぞ。(2016年10月10日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
万木の丘(まんぎのおか)万木城展望台(まんぎじょうてんぼうだい)
住所 :千葉県いすみ市万木834
電話 :0470-86-5251(いすみ環境と文化のさとセンター)
休業日:年中無休
時間 :自由
入場料:無料
駐車場:無料