横浜トリエンナーレレポ。天使探知機は観客が黙って部屋の中が完全な静寂になると、電灯が小さく光るアート。フランスでは会話がとぎれた時「天使がそばに来ている」というのです。
今年はやや小規模?
前回の2001年にも行ってきた、神奈川県の横浜トリエンナーレ。文字通り3年ごとに行われる(2年ごとだとビエンナーレ)国際的なアートの展覧会です。え、3年ごとだと2004年開催じゃないの? 実は、会場の確保やチーフディレクターの交代劇でごたついて、ずれこんだのでした。
冒頭から波乱の予感がしますが、正直に言うと2001年に比べると大御所・スター的アーティストも少なく全体的にこぢんまりしてる感じ。前回はみなとみらいの街そのものがアートで彩られているような派手さがありましたが、今回の山下ふ頭会場は人もがらがらだったんですよ。平日とは言え大丈夫かなあ……。
会場までの道もアート
気を取り直してご紹介しましょう。世界30カ国から71組のアーティストが参加している2005。最初に目を引くのが、山下公園のゲートから会場入り口までの700メートルにずらりと掲げられた旗。実はこれもダニエル・ビュラン氏の「海辺の16.150の光彩」というアートなんです。晴れ渡った横浜の空にたなびく紅白フラッグのコントラストが美しくて、すがすがしい気分になります。
ジャコブ・ゴーテル・ジャゾン・カラインドロスの天使探知機
私がいいなあと思ったのはジャコブ・ゴーテル氏、ジャゾン・カラインドロス氏の「天使探知機」。暗い部屋の隅にイス、中央に台に乗った小さな電灯が置いてあります。よく会話が途切れたときに「天使が通った」と言いますよね。その部屋の中の人が沈黙して完全な静寂になると、その電灯が小さく光るというアート。
部屋の中には私を含めて観客が5人ほどいました。みんなじっと息を殺して電灯を見つめていますが、場内アナウンスがあったりしてなかなか静かになりません。それでも5分ほど我慢していると、チロリと明かりが灯りました。天使だ! と心の中で叫びました。
巨大サッカーゲームに大興奮
そしてKOSUGE1-16+アトリエ・ワン+ヨココムのサッカーボードゲームアート「アスレチッククラブ4号プロジェクト」。これがデカイ! 幅5.5メートル、長さ16メートルのサッカー場で人間の2分の1のプレイヤー人形を操って遊ぶことができるんです。小学生の男の子たちと「あ、ボールそっち行った!」とか叫びながらガコンガコン動かしました。いやーいい汗かいた。
東方力丸氏の熱演マンガ朗読
イベントではマンガの朗読アートで有名な東方力丸氏のパフォーマンスを見ました。普段は下北沢などで路上ライブをしているそうです。私は生で見るのは初めて。人だかりに圧倒されているような東方氏でしたが、『ベルサイユのバラ』と『北斗の拳』を額に汗にじませながら大熱演されました。『ジョジョの奇妙な冒険』の「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!」も読んで欲しかった。
やや物足りない気も……
作品会場内は撮影禁止とのことなので、写真でご紹介できないのが残念です。2001年と比べてしまうとやや物足りなさがあるものの、1日楽しめることを考えたら御の字なのかな。アートなので珍スポットではありませんが、面白い場所なので入れときました。(2005年11月29日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
横浜トリエンナーレ2005(終了しました)
2005年9月28日~2005年12月18日限定開催のイベントです。常時展示ではありません。会場 :
みなとみらい線「元町・中華街駅(山下公園)」。横浜市山下ふ頭3号・4号
期間 :2005年9月28日~2005年12月18日
時間 :午前10時~午後6時
入場料:大人1800円(当日)