神奈川県鎌倉市の大船観音。JR大船駅から見える巨大な観音様です。地元の人にとっては見慣れた風景かもしれませんが、他の土地の人からすると当たり前じゃないこともしばしば。
他の土地の人にとっては普通じゃないです
大学の時サークルの仲間と東海道線に乗って遊びに行ったことがあります。その時先輩の一人が「なんだ、あれ!?」と叫びました。車窓の向こうの山の上に巨大な白い顔らしきものが見えて、みんなわいわい言う中、神奈川生まれ神奈川育ちの男子が「あー、大船観音っすよ。昔からあるんで普通っすよ」とぽつり。一同「普通じゃねーよ!!」
高さ25メートルの胸像
大船観音(おおふなかんのん)は高さ25メートル、幅19メートル、重量1915トン。数々の巨大仏像の中では小振りの部類に入るかもしれませんが、胸像であるためか25メートルという数値よりもずっと大きく感じます。真っ白な色もそう思わせる要因なのかも。
途中20年間も工事が中断
大船観音の正式名称は白衣観音像(びゃくいかんのんぞう)。昭和4年(1929)に人心の安定と国家の繁栄のために建設が始まりました。途中日華事変や太平洋戦争によって資金や資材不足になり、未完成のまま23年間も放置されてしまいます。
昭和35年にようやく再建工事が終了
しかし昭和25年の朝鮮戦争による特需で再建計画が進行。晴れて昭和35年04月の落慶式となったのでした。写真は工事途中の観音像。ゴツゴツしていてお顔もぼんやりしていますね。
最初の計画では立像だった模様
公式サイトによると当初の予定では立像だったようです。しかし土地の地質が立像に耐えられなかったようでやむなく胸像に変更されました。立像だったら奈良の大仏さんの2倍の大きさになっていたんですね。
山の中に下半身が埋まってる!?
大学生の時の旅行では、件の男子は「大船観音って胸から上だけみたいに見えるけど、実は下半身もちゃんとあって、山の中に埋まってるんす」とか言ってたんですよ。みんな「へえ~、すごいねー!」って感心してたんですが、もぉ、嘘教えんなって!
間近で見る大船観音
でも唐突に地面からにょっきり上半身が出ていて、確かに埋まってるようには見えますね。写真は大船観音の土台部分。遠目には白くてつるつるしているようですが、鉄筋コンクリート製でざらざらとした手触り。うっすらとコケがついているので真っ白って訳でもないのね。
胎内には原型像がまつられている
この観音像は胎内に入ることができます。中は20分の1の原型像がまつられている小さな部屋になっています。ちょうどお参りをされている年配の男性がいらっしゃって、いろいろとお話を聞くことができました。この大船観音の奥はマンション式のお墓になっているんですって。
お参りの年配男性のお話
奥様が眠っているのでよくお参りにいらっしゃるのだとか。ちなみに大船観音の拝観料は300円なのですが、お参りに来る遺族の方は無料で入れます。160万円でお墓を購入されたそうです。「観音様は家からでも見られるからね、いつでも手を合わせることができて良いんだよ」とニコニコされてました。
地元の人々を見守る観音像
確かに。ご供養、ご祈祷もしっかりやってもらえるし、いろんな方がお参りしてくれるし、こういうお墓も良いもんですね。調子に乗った学生時代の男子は「いざとなったら地面から出て闘うんす。住民を守ってくれるんす」とか吹いてました。でも優しいお顔で地元の方を見守ってくれるのは本当だなあと思いました。(2009年03月02日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
大船観音(おおふなかんのん)
住所 :神奈川県鎌倉市岡本1-5-3
電話 :0467-43-1561
時間 :09:00〜17:00(冬季は16:30まで)
休業日:年中無休
拝観料:300円
駐車場:なし
関連URL:大船観音寺ホームページ