石の上に浮き出た顔がずらり。人面石がこれでもかと並んでいます。埼玉県の秩父珍石館では初代館長の羽山正二さんがコツコツと集めた人面石のうち、よりすぐりの珍石を展示しています。
お寿司・うなぎ・天ぷらのお店の一画にある博物館
秩父珍石館は、岸和田というお寿司・うなぎ・天ぷら料理のお店の一画にあります。道路の奥まったところにありますのでちょっと見つかりにくいかもしれません。この看板が目印です。
心霊写真に見られるシミュラクラ現象とは何か?
人面石とは表面の模様や穴がまるで人の顔のように見える石のことです。二つの目、一つの口、合計3つの点が適度な間隔で並んでいると、人の顔のように見えるシミュラクラ(Simulacra)という現象です。心霊写真はたいてい単なるシミュラクラ現象ですね。
人面石を50年以上かけて1500個集めたコレクター
とは言え、実際に人面石を探してみると意外に見つからないものです。私も一度河原でやったことがありますが全然発見できませんでした。それを50年以上かけて1500個以上も集めたなんてすごすぎる。その人面石スーパーコレクターこそ羽山正二さんその人なのです。
初代館長・羽山正二さん
こちらが初代館長の羽山正二さん。1990年に自らのコレクションを展示する秩父珍石館をオープン。テレビや新聞・雑誌などのメディアにも度々登場する名物館長でしたが、5年前に89歳でお亡くなりになりました。直接お話をうかがいたかったー!
長女の羽山芳子さんが二代目館長に就任
私が足を運んだ時には初代館長の娘さんの羽山芳子さんが解説をしてくださいました。この手のコレクターの家族は困惑していることが多いのですが、ニコニコとご説明されている様子からお父様のご趣味に理解があるのだなあと思いました。初代館長も人面石が今も健在であることをきっと喜んでおられるでしょう。
驚きの秩父珍石館二階部分
珍石館の二階へ上がってびっくり。一階にもかなりの数の石があるのですが二階は専用のガラスケースがしつらえてあり、本格的な作りになっているのです。個人所有の博物館でこんなに綺麗に整えられているのは珍しいです。
初代館長手づくりの木の台に乗っている
人面石の一つ一つは、専用の木製台に乗せられています。この台も初代館長・羽山さんの手づくり。娘さんによると「お酒もタバコやらない人だったけれど亡くなるまでずっと石を触っていた」そうです。石に対する愛情が感じられる展示ですね。
見えるかな? ムンクの叫び
ムンクの叫びという名札がついた石。まさしく叫んでいるかのような顔立ちです。KABAちゃんと名付けられた石は一見してそう見えないのですが「髪を盛ってるとき」というイラスト込みのキャプションで納得。確かに。
政治家のお二人も人面石
若い人は誰それ?状態だと思いますが、第78代内閣総理大臣の宮沢喜一氏(1919〜 2007)と、国務大臣、防衛庁長官、自由民主党副総裁などを歴任した金丸信(1914〜1996)氏。分かるー。ちゃんと顔が頭に浮かんできます。
来館者は人面石の名前をつけられる
この紙の名札は、来館者が作ることができるんです。あの人に似てる!と思いついたら、ガラスケースの上に用意されたペンに名前を書きましょう。私もぜひどうぞと言われたのですが、「この石の顔、どっかで見たことあるんだけどなー」と首をひねるばかりでなかなか思いつきませんでした。
はじまりは、貝の化石の珍石
そもそもなぜ羽山さんが石集めを始めたのかというとこの神棚に祀られたこの石が原点。貝の化石が顔に見えます。秩父の三田川で発見されて愛石家の大会で絶賛されたものですが、この珍石がどうしても欲しくなり持ち主にゆずってもらったのがきっかけです。
夢のおつげで集め始めた人面石
その後羽山さんは夢を見ました。人面石は夢のなかで「自分にはもっとたくさん仲間がいるんだぞー」と叫びました。翌日に荒川で石を探すと、たくさんの人面石が見つかったではありませんか! 以来この石は出世福之神・神童(かみのわらわ)と呼ばれ祀られているのです。珍スポットにつきものの夢のお告げエピソードですね。
珍スポットマニアも、鉱物マニアも
秩父珍石館には人面石だけではなく世界各国の珍しい石や、水墨画の風景に見えるような美しい石がたくさん飾られていますよ。以前は撮影禁止だったのですが、娘さんの代になってからは撮影OKになりましたので、珍スポットマニアだけでなく石マニアの方もぜひどうぞ。(2016年07月16日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
秩父珍石館(ちちぶちんせきかん)
住所 :埼玉県秩父市上影森764-6
電話 :0494-24-7288(岸和田と兼用)
時間 :10:00~17:00
休業日:毎週火曜定休(火曜祝日の場合は開館、翌日休館)
入場料:大人400円
駐車場:無料
関連URL:■秩父珍石館■