秩父の名所の一つ秩父華厳の滝。日光の華厳の滝に似ているためそう呼ばれます。小さいけれど癒やしの風景。その滝の上に一度見たら忘れられないお顔の不動明王様がいらっしゃいます。
東京都心から90分で行ける大自然
埼玉県秩父地方は東京都心から90分ほどで行ける自然豊かな土地。週末になるとたくさんの人がハイキングやトレッキングなどのアウトドア活動に訪れる、都会人の憩いの場所です。この秩父華厳の滝(ちちぶけごんのたき)も人気の観光地の一つ。
華厳の滝よりも、むしろ空滝大不動尊
でも今回の旅の目的は華厳の滝ではなくて、その背後にある巨大な仏像・空滝大不動尊です。木々に阻まれて近くまで行かないと見ることはできませんが、この看板を目印にずんずん坂を登って下さい。
秩父華厳の滝は日光華厳の滝のコンパクトサイズ
耳に心地よい滝の音が聞こえてまいりました。日光の華厳の滝をコンパクトにした感じの可愛らしい滝です。楽さは12メートルほどですが直線上に流れ落ちる山水が、いかにも清々しい! リフレーーーッシュ!
滝を見たらさらに上へ
しばらく滝を堪能したらさらに上を目指して足を進めます。そして突き当りの道路にあるのがこの空滝大不動尊、巨大な不動明王像です。前に回り込んでご尊顔を拝見しましょう。
プリミティブなインパクト大!
うっ……。なんかものすごいプリミティブなインパクトを感じる……。なんとなく横文字でごまかしてみたけど、見る者を沈黙させるような圧倒的なヘタウマ感です。体のバランスが絶妙すぎる。
憤怒の形相の天地眼……でも怖くない
お顔ドン! 目がそれぞれ上と下を向き、牙も上下に生えています。これは天地眼(てんちがん)という天と知を見渡し、憤怒の力によって衆生をお救いくださるというありがたい形相なのですが、ヘタウマ感を倍増させてしまっています。
全体像を撮影するのは難しそうです
ぜひ明王様の全体像を写真におさめたい──と思ったのですが、台座から柵までは1メートルほどしか隙間がありません。だからどうしても明王像直下で見上げるような写真しか撮影できないのです。
撮影の際にはくれぐれもお気をつけて
柵に寄りかかって手を限界まで伸ばせば、もうちょっと分かりやすい写真になると思います。でもこの柵、結構ボロボロ。その下は滝真っ逆さまのガケ。こ、この柵信用しても、だ、大丈夫?……じゃないよねえ……。撮影はどうぞお気をつけて。
明王様の背後には迦楼羅炎
明王様の背後は燃え盛る炎。これは迦楼羅炎(かるらえん)という火を吐く大きな鳥、または煩悩を焼き衆生を救うための大火炎を表しています。作られた直後は真っ赤だったのかしら。今は淡いパステルカラーでやや迫力不足。
秩父市蒔田 島崎征夫 島崎左官店作 昭和48年4月
迦楼羅炎の端っこに、「秩父市蒔田 島崎征夫 島崎左官店作 昭和48年4月」と書かれていました。この秩父市の左官屋さんである島崎さんがお作りになったもののようですね。1973年だから今から40年以上も前か……。
秩父市蒔田に島崎左官店は存在しているようですが、それ以上の情報は分からず。説明書き的なものが全くないんですよね。
村長さんの銅像
明王様の後ろ、道路を挟んだ山側には「小林定二翁之像」と題された胸像がありました。どうもこの地の村長さんのようです。でもこちらも何も案内板がないのでわかりません。どうして作らないのかなあ。
もっと自信を持って説明書きを
ヘンテコでユーモラスな明王様ですが、個人的にはとても好きなタイプの仏像です。説明書きには「日光の華厳の滝より規模は小さいが美しさでは引けをとらない」という、控えめなんだか自慢なんだかよくわからない文言が書かれていました。それよりも、自信を持って堂々と空滝大不動尊の説明を書いてほしかったな。(2016年07月16日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
空滝大不動尊
住所 :埼玉県秩父郡皆野町下日野沢
入場料:無料
時間 :見学自由(夜はお勧めできない)
駐車場:無料