赤レンガのクラシカルな建物。「ふーん、東京駅か」とお思いのあなた、ちょっと待って。ここは埼玉の深谷駅なのです。東京駅にそっくりな駅舎がなぜ埼玉県深谷市にあるのでしょうか?
市政40周年で2年の歳月と35億円の費用をかけて改築
埼玉県深谷市の深谷駅(ふかやえき)。赤レンガに緑の屋根が美しいレトロ建築です。見れば見るほど東京駅にそっくりですね。この駅舎は深谷駅市政40周年を記念して、今から20年前の1996年に、2年の歳月と35億円の費用をかけてリニューアルされたものなんです。
東京駅とくらべてみよう
こちらは本物の東京駅。規模はもちろん東京駅の方が大きいですが、レンガ造りというだけでなく、窓枠が白かったり屋根がグリーンだったりと深谷駅とは瓜二つです。
ミニ東京駅として親しまれている
美しく生まれ変わった深谷駅は、関東の駅百選にも選ばれている名建築。赤いレンガはクラシカルな明治時代の建物のようです。地元の方には「ミニ東京駅」と呼ばれて親しまれているそうです。
本物のレンガ造りではなく、レンガ風タイル
ただしこの駅舎はレンガで建てられていわけではなく、コンクリートの壁面にレンガ風のタイルを貼り付けたもの。地震大国の日本ですから、レンガ積みの建物は危なくて建てられませんものね。でもいったいなぜ東京駅を模したのでしょうか?
深谷市出身の明治の実業家・渋沢栄一
そのヒントは北口にある渋沢栄一(1840〜1931)の像です。渋沢栄一翁は深谷市出身の実業家。近代的な都市づくりにはレンガが欠かせないと考えた渋沢翁は、深谷市に東洋一であり日本初でもある機械式煉瓦工場・日本煉瓦製造株式会社を設立しました。
当時の東京駅や帝国ホテルも深谷のタイルを使用
当時建設された東京駅や、帝国ホテルは深谷の煉瓦で作られました。そんな経緯から深谷市の歴史と深い関わりのあるレンガを使い、東京駅のデザインを元に新駅舎が完成したんですね。
これは良いリニューアル!
昔の駅舎を画像検索して見るとごく普通のどこにでもある駅(失礼)だったみたい。駅舎が美しく生まれ変わったことは市民の方も誇りに思えるし、深谷市の歴史も感じられる良い改築だと思いました。毎日通勤・通学されている方は恵まれていますね。
ゆるキャラグランプリの上位入賞キャラ・ふっかちゃん
駅舎だけでなく、手前にあるロータリー、花壇、時計台もレンガ調で統一されています。時計台の中で回っているのは、深谷市のゆるキャラ・ふっかちゃん。2010年06月28日生まれ。名物の深谷ねぎを頭にさした、シカっぽいルックス。ゆるキャラグランプリ2014年では全国2位にランキングした人気者です。
駅付近の建物もレトロ調のデザイン
駅の敷地内だけではありません。駅前ロータリーの周りにある商業建築物も、壁面を茶色にしたり、レトロ調にしてなんとなく深谷駅っぽくデザインされているんですよ。
ぜひ全ての建物をレンガ風にしてほしい
このモスバーガーが入っている建物は赤レンガに緑の屋根。深谷駅そっくりのレトロ建築です。「東京駅を模した深谷駅を模した建物」という入れ子構造。全く違う色の建物もあるのですが、足並み揃えて全部がレンガ風になるといいなあ。(2016年07月17日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
深谷駅(ふかやえき)
住所 :埼玉県深谷市西島町三丁目1-8
関連URL:深谷駅 – Wikipedia