地獄の拷問具・鬼の金棒がいっぱい! 鬼をまつっている埼玉県比企郡嵐山町の鬼鎮神社です。いったいなぜ鬼が神様に? 鬼にまつわる不思議な風習と悲しい伝説をご紹介します。
鬼を神としてまつる神社は4つ
鬼を祀っている神社は全国に4つあります。青森県弘前市の鬼神社、福岡県添田町の鬼神社、大分県天満社の鬼神社、そしてここ埼玉の鬼鎮神社です。鬼が神となるなんて不思議ですね。これは鬼を死者の魂や人間を超えた神聖な存在として敬う心から発生したものと思われます。
福は内、鬼は内、悪魔は外!
普通節分では「鬼は外、福は内」と言いながら豆をまきますね。でも鬼鎮神社では「福は内、鬼は内、悪魔は外」と言うのです。鬼と悪魔は同じようなものかと思いきや、ちゃんと区別しているんですね。悪魔とは悪霊のような魔物。鬼はOKでも悪魔は入れないのです。
鬼鎮神社に伝わる悲しいお話
鬼鎮神社にはこんなお話が伝わっています。
昔このあたりに鍛冶屋が住んでいました。鍛冶屋には美しい娘がいました。ある日若者がが娘を嫁にもらいたいと訪ねてきました。困った鍛冶屋は「1日に100本の刀を打つことができたら嫁にやってもよい」と言いました。刀を完成させるのには普通40日以上かかります。鍛冶屋は無理難題をふっかけたのでした。
一心不乱に刀を打つ若者は鬼に変わっていた
喜んだ若者はすぐに刀を打ち始めると、あっという間に刀の山ができあがりました。これは人間業ではないと鍛冶屋があせり始めた時、若者の姿は鬼に変わっていました。このままでは鍛冶屋は鬼に娘をやることになってしまいます。
99本目を打ち終わった時に夜が明けてしまった
そして99本の刀を打ち終わった時、残り1本を残してとうとう夜が明けてしまいました。絶望した鬼は金槌を手に握ったまま死んでしまいました。鍛冶屋は自分の無茶な要求を悔い、庭の片隅に鬼を葬って供養しました。それがこの鬼鎮神社のもととなったのでした。
かわいそうな鬼……
鍛冶屋の難題に大喜びで刀を打ち、死んでも金槌を離さなかった鬼。言葉は悪いですがあまりにも馬鹿正直で、その愚直さに心打たれます。そんなにしてまで娘さんが好きだったんだね。かわいそう……。そう思う人が多いのかこの神社にはたくさんの金棒が奉納されています。
「鬼に金棒」の奉納
鉄錆が浮いたゴツゴツした金棒がずらり。もちろん「鬼に金棒」のことわざにちなんだものです。でも地獄の拷問具が神社にこんなに並んでいるのは奇妙な風景ですね。
受験やスポーツの試合を控えた方々が参拝
鬼鎮神社は勝負事に勝つご利益があります。受験やスポーツの試合などを控えた方々がたくさん訪れます。鬼に金棒のたとえ通りに自分の実力以上にさらに力を発揮できるってわけですね。
金棒型や鬼イラストのお守りも購入できる
鬼鎮め神社の社務所では、金棒型やカワイイ赤鬼・青鬼のイラストが入ったお守りを購入できます。勝負事を控えている方は、鬼のご利益を期待して参拝してみてはいかがでしょう。(2016年07月17日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
鬼鎮神社(きじんじんじゃ)
住所 :埼玉県比企郡嵐山町川島1898
電話 :0493-62-2131
時間 :参拝自由
拝観料:無料
駐車場:敷地内の公民館の駐車場あり