吉見百穴で知られる埼玉県比企郡吉見の北に、ポンポン山という面白い名前の山があります。この山頂に立って足を踏み鳴らすと「ポンポン」という音がするんですよ。いったいなぜ?
ポンポン山のある高負彦根神社
吉見百穴から車で10分ほど北にある高負彦根神社(たかおひこねじんじゃ)がポンポン山のある場所。珍スポットの旅をしていると案内板も説明書きもなく「こんなに素晴らしい観光資源をなぜもっと宣伝しないのか」と苛立ちさえ覚えることがありますが、このポンポン山はあちこちに案内板があるので迷うことはありません。
標高38mの小さな山・玉鉾山(たまぼこやま)
ポンポン山は正式には玉鉾山(たまぼこやま)と言います。山と言っても標高は40mもないぐらいの小高い丘。ほんの数分で登頂できますから体力に自身のない方もご安心ください。玉鉾山は高負彦根神社の神体山でもあるありがたい山ですよ。
710年創建の古社・高負彦根神社の奥へ
高負彦根神社は実は和銅3年(710年)に創建されたと言われる歴史ある古社です。吉見百穴もありますし、このあたりの土地は奈良時代から栄えていたのでしょうね。入母屋造りの拝殿の脇、右の通路を奥に進んだ先がポンポン山です(※写真矢印の小道)。
地面を強く踏むとポンと音がする
なぜここをポンポン山というのか、案内板にはこうあります。
社殿の後方の巨岩に近い地面を強く踏むとポンと音を発する。そこでこの山をポンポン山という。
なーるほど。タヌキが腹鼓を打ったからとかの伝説ではないのね。
ポンと音がするのはこのあたりです
案内板には音のする場所の写真もあるのですがちょっとわかりにくいかも。音が響くのは写真の赤い楕円で示した場所。山頂近くの5m四方ぐらいのエリアです。
転ばないように気をつけて
だいたいこのあたり。地面は苔むした岩でやや傾斜していますから、転ばないように気をつけて。地面が鳴るなんてオモシロ! なんかワクワクしてきた!
やったー! 音が鳴った!
果たして音は鳴るのか? さあジャンプ!
……? あれ、鳴らないぞ。おっかしいなあ。あちこち5分ほどジャンプしまくって、ようやくかすかにポンポンという音が鳴るポイントを見つけました。やったー! ポンポンだーー!
かすかな音の違いなので一人で試した方がいいかも
他の地面ではダイレクトに足に振動が伝わるのですが、ある地点だとかすかに遅れて響くような感触が足の裏に感じられるのです。音を文字で表現するのは非常に難しいのですが、他の部分では「ドンドン」、ある地点では「ポシン、ポシン」みたいな違い。かすかな違いなので大勢でわいわい試すよりも、辺りが静かな時に一人で試した方が良いでしょう。
長者が神のお告げで財宝を埋めた場所
ある言い伝えでは、その昔長者が神のお告げによってこの山に財宝を埋めて、以来盗賊が山に登るとポンポンという山鳴りが止まらなくなりどうしても盗むことができなかったと言います。また別の説では財宝を入れたのは岩山の空洞なのでポンポンと音が響くとも言われています。
死者の魂を呼んだり、神の声を聴くため?
民俗学的には、古代には死者の魂を呼んだり神の声を聴くために足を踏み鳴らす風習があったことから、たまたまポンポンという音がする岩山を見つけた人々が神の山として祀ったとも考えられます。真相はいかに? この庚申塔は答えを知っているのでしょうか。
ポンポンという音は年々小さくなっているみたい
昔ははっきりと「ポンポン」という音が響いたそうです。でも今は思いっきりジャンプしないと音の違いが分かりません。きっと長年の間に人々が何度も足を踏み鳴らしたため、岩の空洞に砂や土が詰まってしまったのでしょう。あなたがいつか試す時にもまだポンポンと聞こえますように。(2016年07月17日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
ポンポン山・高負彦根神社(たかおひこねじんじゃ)
住所 :埼玉県比企郡吉見町田甲1945
電話 :0493-54-5027(吉見町地域振興課 商工観光係)
時間 :見学自由
入場料:無料
駐車場:無料