筆記具業界をリードする水先案内人という意味のパイロット。ペン・ステーション ミュージアム&カフェは、文具にまつわる貴重な収集品を集めた、国内随一の筆記具博物館です。
1Fはおしゃれなカフェ、2Fが博物館
東京中央区京橋。地下鉄京橋駅を出てすぐのところにあるパイロットコーポレーション(以下パイロット)の自社ビルは、一階にカフェ、二階にペン・ステーションミュージアムが入っています。あまりのオシャレさにくらくらします。光り輝く階段をのぼるとそこは、文具マニア垂涎のスポット。
万年筆の国内シェアナンバーワン・パイロット
パイロットと言えばなんと言っても万年筆。そのシェアは国内ナンバーワンです。日本で最初に万年筆を発売したセーラー、世界初のカートリッジ式万年筆を発明したプラチナ万年筆と並んで、日本三大メーカーとなっています。
パイロットの万年筆を愛用しています
個人的な話ですが、私の筆記具は万年筆オンリー。しかも所有している全ての万年筆はパイロット製です。常に業界の水先案内人でありたいという、革新的な開発、柔軟な発想に惚れ込んでいますし、何よりも安価なモデルからハイエンドモデルまで、どの万年筆も手に吸い付くような柔らかな書き味なのです。
珍スポットと呼ぶにはおしゃれ過ぎるけど
珍スポットと呼ぶにはあまりにも美しすぎるミュージアムですが、古今東西の文具に関する収蔵品は素晴らしく、文具の歴史について分かりやすく展示されており、筆記具メインという点で極めて「珍」しいスポットであることは間違いありません。しかも無料!
超高級!人間国宝の蒔絵万年筆
こちらはパイロットが誇る、蒔絵万年筆。パイロットは創業当初より日本の伝統工芸である蒔絵技法を万年筆に応用しています。人間国王が手がけた作品があっちにもこっちにも。ああ、いつかこんなペンを手にしてみたい!
数千年の文具の歴史を学べる
筆記具の歴史コーナー。紀元前4000年、最初の筆記具は粘土板に楔形文字(くさびがたもじ)を彫りつけた芦(あし)ペンでした。中世の羽根ペンから金属ペンまでの筆記具が年代順にパネルとともに紹介されています。
レトロでポップなお伺い状
これは、昭和3年(1928)〜昭和24(1949)の、お客様へのお伺い状です。レトロでポップなイラストは味があります。お客様への心遣いが憎い。
武将が愛した文具・矢立
矢立(やたて)です。矢立は戦国武将が、先陣に持参した硯箱が元になっています。墨と筆を一度に持ち運べる携帯筆記具。時代が下ると、文人や商人も使うようになりました。
朱塗りに金蒔絵のペンスタンド
朱塗りに美しい金の蒔(ま)きが入ったペンスタンド「菊水」。昭和5年(1930)の作品。なんてゴージャスでエレガントな作りでしょう! 当時の紳士が手紙をしたためるのに使ったのでしょうか。
万年筆を使う人の必需品・ブロッター
これなんだか分かりますか? 万年筆を使う人の必需品・ブロッターです。万年筆はすぐにインクが乾きませんから、吸い取り紙を挟んだブロッターで余分なインクを取り除くんですね。ハンドルがつやつやしていて、大事に使われていたことが分かります。
筆記具の革命・タイプライター
新しい時代の筆記具と言えば、タイプライターですよね。こんなスチームパンク感溢れる、アンティークタイプライターも数台展示されています。もうワクワクが止まりません。
デシモ・エラボー・フリクション
パイロットは老舗ながらも、新しい文具の開発に力を入れています。ノック式のキャップレス万年筆デシモ(私も愛用してます)、とめはねやはらいができる日本語に特化した万年筆エラボー。近年では、こすると消えるボールペンフリクションシリーズも大人気ですね。
カフェでエスプレッソを飲みながら万年筆を
万年筆と言えば「男の書斎のアイテム」「ダンディな男の筆記具」と言われますが、たくさんの女性も惹きつけられる究極の筆記具です。1Fのカフェでは本格エスプレッソを飲みながら、愛用の万年筆でさらさらとノートを取るなんてのもオツですぞ。(2014年08月06日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
ペン・ステーション ミュージアム&カフェ
ペンステーション&カフェは株式会社パイロットコーポレーション本社ビルの建て替え及び一時移転に伴い、2016年3月末日に閉館・閉店しました。(本社社屋建替えに伴う事務所一時移転のご案内 | お知らせ | PILOT)。大変残念です。楽しい思い出をありがとうございました。住所 :
東京都中央区京橋2-6-21
電話 :03-3538-3840
休業日:日曜・祝日、年末年始、夏季休業期間
時間 :08:00~19:00(月〜金)11:00~17:00(土)
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