今月は「新潟県特集」です。火・木の夜7時に更新します。

シカやウサギを生贄に!? 神秘的な古来の儀式「神長官守矢史料館」【長野】

神長官守矢史料館
壁一面に祀られたシカとイノシシの首。ぎょっとしてしまうようなこの光景は、長野県茅野市の博物館・神長官守矢史料館(じんちょうかんもりやしりょうかん)で見られます。古来から伝わる神事を学んできました。

藤森照信氏のデビュー作の建築

神長官守矢史料館
神長官守矢史料館は自然に溶け込むような形の素朴な建物。設計は前回の高過庵の記事でご紹介した藤森照信氏のデビュー作です。木と漆喰で作られているように見えますが、鉄筋コンクリートを土台に特性の壁土を塗って民家風に仕上げたものです。

世界で一番危険な建築物!? 高すぎる樹上の茶室「高過庵」【長野】
長野県茅野市の高過庵(たかすぎあん)は、アメリカの雑誌『タイム』で「世界で最も危険な建築トップ10」にランクインした珍建築。木の上に設置された小さな茶室はまるでおとぎ話に出てくる妖精の家のよう。

鉄平石とサワラを使った素朴な建物

神長官守矢史料館
屋根は地元の鉄平石(てっぺいせき)と呼ばれる平らな石とスレートで葺いてあり、外壁はサワラの割板を使っています。力強くも童話的で優しいイメージですね。鉄平石は諏訪地方で採れる石で、昔は漬物石として使われていたそうですよ。

御頭祭(おんとうさい)の生贄の供物を再現

神長官守矢史料館
入り口入ってすぐに目を引くのが壁一面にたくさんかけられているシカとイノシシの頭。そして串刺しになったウサギに、何やら奇妙な供物も……。おどろおどろしい雰囲気ですが、実はこれは諏訪上社で毎年4月15日に開催される御頭祭(おんとうさい)を再現した展示なのです。

実際には75頭の鹿の首が使われた大御立座神事

神長官守矢史料館
御頭祭は正式には大御立座神事(おおみたてまししんじ)と言います。壁には15頭のシカと、10頭のイノシシの首が祀られていますが、実際の儀式では鹿の首は75頭にも及ぶのだそうです。昔は生きた動物の首をはねて使用していましたが、今は剥製が使われています。

古来より神長官を務めていた守矢家

神長官守矢史料館
大和朝廷成立前からこの地で栄えていた守矢家。中世から江戸時代までは諏訪大社上社の神官の一つである神長官(じんちょうかん)という役職を務めていました。守矢家に伝わる鎌倉時代の古文書が守矢文書で、諏訪神社の祭礼について詳しく書かれています。

神様の矛にかかって耳が裂けている鹿

神長官守矢史料館
まな板の上に乗った鹿の生首。生贄の中でも耳が裂けた鹿は耳裂鹿(みみさけしか)と呼ばれ、神様の矛にかかったものと信じられて特別視されました。確かに右側の耳が裂けていますね。必ず1頭は耳の裂けた鹿が見つかるというのだから不思議〜。

子供がくくりつけられた御贄柱(おにえはしら)

神長官守矢史料館
これは御贄柱(おにえはしら)。昔はおこうと呼ばれる紅の着物を着た子供が桧(ヒノキ)の木の柱にくくりつけられたとも言われています。『神長官守矢史料館しおり』には「おこうは殺されたと伝えられている」とありましたが、近年ではおこうの子供は儀式の後に殺されずに開放されたようです。

ウサギを串刺しにして生贄に

神長官守矢史料館
一番ぎょっとする展示がこちらのウサギの串刺し。これも生贄の一つです。ちなみに現在はウサギやシカを生贄にする神事は行っていないのですが、諏訪大社では元旦の蛙狩神事でカエルを生きたまま串刺しにする儀式は続けられています。こちらは動物愛護団体からクレームが届いているそうです。

神に捧げる供物・神饌(しんせん)

神長官守矢史料館
ウサギの周りには焼いた皮、荒布昆布、鹿肉と脳みその和え物、生の鹿肉、生のウサギ肉が並びます。これらは神様がお食べになる供物・神饌(しんせん)です。神事の時には人間も神に捧げた上でこれらの供物を口にするそうですよ。

なぜ生贄が儀式として取り入れられたのか

神長官守矢史料館
なぜ生贄が儀式として取り入れられたのでしょうか。諏訪地方は寒冷地なので古来から農耕よりも狩猟が広く行われていたからとも言われていますがが、理由はよく分かっていないそうです。日本だけでなく、世界中に人間や動物の命を神に捧げる儀式があるのは不思議ですよね。

守矢家が守っている氏神様・ミシャグジ

神長官守矢史料館
館内のツアーでは詳しい解説を聞くことができました。敷地内にはミシャグジ様が祀られています。守矢家が守っている氏神様・御頭御社宮司(オントウミシャグジ)様ですね。民俗学者の柳田国男はミシャグジを大和民族が入ってくる以前からの土着の神ではないかと考えています。ミシャグジは諏訪地方を起源に持ち、諏訪大社の信仰と結び付けられるようになりました。

菅江真澄による御頭祭のスケッチを元に再現

神長官守矢史料館
天明4(1784)年の菅江真澄による御頭祭のスケッチです。確かに鹿の首が見て取れますね。展示がこのスケッチを元に正確に再現されているのがわかります。守矢氏は年中行事の秘宝や秘儀を一子相伝により口伝えで代々受け継いできたそうですよ。一子相伝! 口伝えの秘儀! 中二心をくすぐるキーワード続出です。

階段先の吊り橋を特別に見せていただきました

神長官守矢史料館
私が訪れた時は他にお客さんがいなかったので「特別ですよ」と階段の先の吊り橋を動かしてくれました。電動じかけになっていて、するするとワイヤーが伸びて木の橋が倒れるようになっているのです。こういうの昔のRPGゲームで見たことある!

RPG的隠し部屋に心ときめく!

神長官守矢史料館
この奥は資料室となっていて立入禁止でしたが、吊り橋の仕掛けを見ることができてラッキーでした。こういう秘密の隠し部屋みたいなのって憧れませんか? 藤森氏の遊び心が感じられますね。

敷地内の御左口神社(みさぐちじんじゃ)

神長官守矢史料館
見学後には資料館の近くにある御左口神社(みさぐちじんじゃ)にもお参りしてきました。ここはミシャグジ信仰の発祥の地であるとも言われています。大きなカジノキ、カヤ、クリの木が祠を守っているように見えましたよ。(2019年05月25日訪問)【麻理】

参考文献

地図&情報

神長官守矢史料館(じんちょうかんもりやしりょうかん)

住所 :長野県茅野市宮川389-1
電話 :0266-73-7567
休業日:月曜 祝日の翌日 12/29~1/3
時間 :09:00~16:30
入場料:大人100円
駐車場:無料
関連URL:茅野市神長官守矢史料館|長野県博物館協議館公式サイト | 信州 Museum Guide

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