国宝土偶の5つのうち2つを所蔵! 縄文のビーナス&仮面の女神「尖石縄文考古館」【長野】

尖石縄文考古館
長野県八ヶ岳山麓の尖石遺跡は縄文時代の土偶や石器が数多く出土する地です。中でも国宝に指定されている縄文のビーナス・仮面の女神と呼ばれる土偶は造形的にも優れた出土品です。尖石縄文考古館で実物を目にしてきましたよ。

尖石館から尖石縄文考古館へ

尖石縄文考古館
前回は尖石遺跡(とがりいしいせき)の名前の由来となった尖石(とがりいし)の伝説をご紹介しました。このすぐ近くにある尖石縄文考古館は遺跡から発掘された2000点ほどの考古資料を展示・保存しています。その前身は宮坂英弌(みやさかふさかず)氏が自宅に開館した「尖石館」です。

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目玉の展示は縄文のビーナス&仮面の女神

尖石縄文考古館
尖石縄文考古館の目玉は、なんと言っても国宝の縄文のビーナス(左)と仮面の女神(右)の2つの土偶です。日本の国宝は2020年9月時点で合計で1187あるのですが、そのうち縄文時代の国宝はわずか6個。土器が1つで土偶が5個。その5つのうち2つの土偶がこの長野県茅野市にあるんですよ。そりゃイチオシ展示になるわけです。

ガチャガチャの国宝土偶にも2種類入ってます

尖石縄文考古館
博物館入り口にあったガチャガチャ。国宝土偶という全5種の土偶フィギュアにも、ちゃんと縄文のビーナスと仮面の女神が入っていますね。子供向けというよりはマニア向けのグッズかな。

ちなみに縄文時代中期は土偶も土器も渦巻文様などの華麗な装飾が特徴ですが、文化の衰退が始まる縄文後期には模様が単純化しています。縄文時代とひとくくりに言っても1万年も続いたのですから土偶の形も様々ですね。

展示室Bにて実物の土偶が展示されています

尖石縄文考古館
縄文のビーナスと仮面の女神は縄文時代の遺物として国宝に指定されています。こちらは展示室B。発掘当時の状況の模型や写真とともにガラスケースの中に土偶が展示されていますよ。本物をこんなに近い距離で見られるなんて感激!

国宝・縄文のビーナス(本物)

尖石縄文考古館
こちらが縄文のビーナス。高さ27cm重さは2.14kg。縄文時代中期のもので約5000年前の制作と推定されています。発掘当時から縄文のビーナスという愛称で呼ばれています。大きなお尻は多産と子孫繁栄を祈るためのものでしょうね。ふっくらボディもですが、顔もなんかかわいい。

発掘された当時の写真

尖石縄文考古館
1986(昭和61)年に茅野市米沢の棚畑遺跡から発掘されました。小さな穴の中に写真のように横たわるような形で埋まっていました。発掘した方は心臓が跳ね上がるような気持ちだったでしょうね。まさにインディー・ジョーンズ的お宝発見。普通土偶は儀式の中で壊されることが多いのですが、こんな完全な形で見つかるなんて驚きです。でもなぜこの土偶は破壊されなかったのかしら?

国宝・仮面の女神(本物)

尖石縄文考古館
そして仮面の女神。高さ34cm、2.7kg。中津原遺跡から発掘。縄文時代後期のもので4000年前に作られたと考えられています。同じ土偶と言っても両者は1000年の開きがあるんですね。こちらは右足が胴体から離れた一で発掘されました。逆三角形の仮面のような顔が神秘的です。ちょっとコワモテ?

なぜかお墓の中から見つかった不思議な土偶

尖石縄文考古館
発掘当時の様子をジオラマで再現した展示。土偶は安産や子孫繁栄の儀式に使われたとする説が有力でしたが、これはお墓の穴から、しかも足だけ別の位置から見つかったことから死と再生の祭りに使われたと考えられています。墓から出土する土偶はとてもめずらしいですね。形も普通の土偶と違っているしなんとも奇妙な土偶です。

縄文人の服装・編布(あんぎん)を再現

尖石縄文考古館
尖石縄文考古館は縄文時代の暮らしを子どもたちが体験する教室や学習コーナー、尖石遺跡の発掘と発展に貢献した宮坂英弌(みやさかふさかず)氏の業績を展示してある部屋などに分かれています。

この縄文人の衣類は編布(あんぎん)と呼ばれる布ですが、模様については不明。土偶につけられた模様から推測してデザインされているそうです。

クリエイターにとって大いに参考になる縄文デザイン

尖石縄文考古館
縄文時代のデザインセンスは現代人の我々から見てもかなりイケてますよね。縄文人は男女ともにアクセサリーを身に着けて、髪型もお団子ヘアだったりポニーテールだったりと凝っています。縄文土器は現代の技術をもっても作るのが難しいそうですよ。土器のダイナミックなデザインは生命の力強さを感じさせます。当時の縄文人のクリエイティビティはモノづくりをする人にとって、大いに参考になりますね。

古代人の信仰が推測できる石棒

尖石縄文考古館
ところでこちらの出土品の石棒。説明書きには「石棒」としか書かれていなかったのですがどうみても男性器ですよね。縄文土器のデザインも男根を模しているのではという説があるのですが、その辺りのところを多くの考古学系の博物館はサラッと流しているんですよ。

性的なことは書きづらいかもですが、古代の信仰(生殖や繁栄の願い)についての重要な手がかりなので、もうちょっと掘り下げて説明してほしいなあ。(2019年05月25日訪問)【麻理】

参考文献

地図&情報

尖石縄文考古館(とがりいしじょうもんこうこがくかん)

住所 :長野県茅野市豊平4734-132
電話 :0266-76-2270
休業日:月曜日、年末年始、祝日の翌日
時間 :09:00~17:00
入場料:大人500円
駐車場:無料75台
関連URL:茅野市尖石縄文考古館 – 茅野市ホームページ

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