核シェルターへの入り口? それとも地下ダンジョン? 新潟県糸魚川市にある筒石駅はなんと深さ40m、全長1kmを超えるトンネル内にある珍しい駅です。延々300段近くを降りてホームを見学してきました。
一見してとくに変わりのない普通の駅舎ですが……
うららかな春の糸魚川市。筒石駅は一見どうということのない普通の駅に見えます。駅舎もプレハブのような何の変哲もない建物です。この駅が全国的にも非常に珍しい駅であるとは外見からはとても想像はつきません。
2019年3月から無人駅に
中に入っても特に変わった様子は見られません。えちごトキめき鉄道株式会社・日本海ひすいラインの筒石駅は、長い間駅員さんが常駐していましたが、2019年3月16日から無人駅になりました。前々からここの駅員さんは非常に親切であることで有名だったのでお目にかかれずちょっと残念。
ホーム入場に際してのご注意
私が訪れたときには乗客は誰もいませんでした。でもこの入場料金に関する張り紙を見ると、観光客がたくさん訪れるみたいですね。注意書きにありますようにくれぐれも、列車に注意して運転士に向けてのフラッシュ撮影はしないようにお願いいたします。
エレベータやエスカレータはありません
改札から下りホームまでは290段(176メートル)、そして上りホームまでは280段(212メートル)ですが、エスカレータやエレベータは設置されていません。歩きです。金沢・富山方面と直江津方面の2つの乗り場がありますが、最初に金沢・富山方面の方へ行ってみます。
まるでホラー系アクションRPG?
薄暗い階段・スロープはしんと静まりかえっていました。ところどころ壁が苔むしていてまるでホラー系アクションRPG的雰囲気です。電車は1時間に1本程度なので、私が訪れた時は乗客の姿は全く見られませんでした。地下に進むにつれてドキドキしてきますね。
ホーム内は危険なので頑丈な扉で仕切られている
ここはホームに通じるドアなのですが、かなり頑丈に作られています。というのも列車が通過する時に、非常に強い風が吹き抜けるからなんです。とても危険なので列車が到着してからホームに入るよう、待合スペースもこの扉の内側に作られています。
筒石駅が作られるまでの経緯
それにしてもなぜこんなところに駅があるのでしょう? 昔から北陸本線のこのあたり一帯は地盤が弱く、これまで何度も土砂災害が起こっていました。大正時代の1912年開業当時、筒石駅は海沿いにあったのですが、1916年と1934年に地すべりで不通になっています。
1969年にトンネル内の駅として生まれ変わる
そこでこの地区にトンネルの建築構想が持ち上がったのを期に、地元住民・国鉄間で話し合いが持たれ、トンネル内に筒石駅を設置することで合意。1969年に地下トンネル内駅として現在の地に移転となったわけです。
地盤がゆるいのなら地下につくってしまえとうい発想
駅や路線の廃止に反対する住民運動が起こったり、ゆるい地盤のために工事が難航したりと筒石駅が今の形になるまではたいへんな苦労があったんですね。それならいっそのことトンネルを掘って駅を作ってしまえという逆転の発想が素晴らしいです。
直江津方面のホームも見学してきました
こちらは逆側の直江津方面のホームです。トンネルの断面積を抑えるために上下線で別々のホームを設置しているんですね。先程からホームと言っていますが正確には、分岐器や絶対信号機を持たないため、停留所に分類されるそうですよ。
乗客がまったくいないとやや不気味な雰囲気
ホームの長さは140m。自然の洞窟と同じようにトンネル内は冬でも夏でも気温は20度ほどに保たれているため、夏は涼しく冬は温かい構造となっています。トンネルの先は真っ暗で何も見えず、静まり返っているのでやや不気味な雰囲気ですが、お客さんがいたらまた違ったイメージかもしれませんね。
駅員さんは毎日のお仕事大変だったでしょうね
晴れ渡った天気の地上とは全くの別世界となっている筒石駅。当時の国鉄職員の皆様、地元住民の皆様の知恵と努力の結晶として誕生した歴史があるんですね。それにしても無人駅になる前の駅員さんは、いったい毎日何段登り降りしてたんでしょうね。お疲れさまでした。(2019年05月03日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
筒石駅(つついしえき)
住所 :新潟県糸魚川市仙納字大谷928
駐車場:無料数台