新潟県は昔から石油の産出地として知られています。原油は国内生産の64.2%を占め、生産量は全国1位なんですよ。新潟市秋葉区の石油の世界館は石油採掘の歴史や石油と人との関わりについて紹介する博物館。謎のびっくりな仕掛けも。
偶然立ち寄った「石油の歴史館」
前回の「新潟石油産業遺産群」の記事に書きましたが、この辺り一帯は石油に関する遺物が点在しています。ぶらぶらと町を散策していると、石油の世界館という看板が目に入りました。ここは当初の目的地のリストには入っていませんでしたが、これまた珍スポットハンターの「行け!」という第六感に従って入館してみました。
1988年開館の石油総合博物館
館内には石油の資料室や模型の展示ホール、金津油田の歴史に関する資料があります。開館は1988年。もう30年以上の歴史があるんですね。どことなく懐かしいようなレトロ感を感じます。例によって私の他には誰もお客さんがいません。
巨大な人工物ってワクワクしますよね!
これは石油採掘のための人工島。昭和43年に渋崎浜沖合1700m、水深20mに帝国石油株式会社によって建設されたもの。昭和43年〜昭和63年の20年間稼働した後に撤去されました。模型に乗っている人間のフィギュアからおおよその大きさが分かると思いますが、こういう巨大な人工物ってワクワクしますよねー。
石油採掘のためのドリルビット
「クレーストーン博士の館」でもご紹介した石油の井戸を掘るためのドリルビット。あちらはゴールドでしたが、こっちはレッド。深度何千メートルもの地下の岩石を砕きながら進みます。泥水を注いでビットを冷やしながら掘るんですって。歯車が実にカッコいいですね!
ポンピングパワーの石油装置模型
ポンピングパワーの石油装置。ベルト車の半径を大きくすることによって、巨大な力を生み出して原油を組み上げていました。1996年まで100年近く動いていたレトロメカです。ああなるほど。模型でやっと全景が分かりました。
ウォーキングビーム式ポンピングパワーの実物
これは前回の記事の、ウォーキングビーム式ポンピングパワーの写真なのですが、あまりに大きすぎて写真にうまくおさめられなかったんですよね。この装置6台で、55の石油井戸の汲み上げをしていたんだからすごい力です。
ホールの中止には大正末期の金津油田ジオラマ
150分の1スケールの、大正末期の金津油田ジオラマ。大きなホールのど真ん中に据えられています。石油の全盛時代にはこの山全体で石油杭井が1000本、汲み上げた石油は1日400KL。ドラム缶にして2000本が採取されていたそうです。
天智天皇の御代から知られている石油
新潟に来るまで知らなかったのですがこの地の石油の歴史は大変古く、天智天皇の668年に「越の国から燃土・燃水が献上された」と日本書紀に記されているそうです。また鎌倉時代の「高井道円譲状」に越後黒川の「くさうつ」という地名が書かれているとか。そんな昔から新潟は石油で知られていたのね!
びっくりさせないでよ、おじさーん!
ところでさっきの写真でお気づきになられましたでしょうか? このホールのベンチの最前列になぜか田中邦衛似の等身大おじさんが座っているんですよ。妙にリアルでびっくりしました。だ、誰やこれ! 大正時代当時の職人さんの格好なんでしょうか? 謎。(2019年05月06日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
石油の世界館(せきゆのせかいかん)
住所 :新潟市秋葉区金津1172番地1
電話 :0250-22-1400
休業日:毎週水曜日(水曜日が祝日の場合は翌日。ただし、5月・11月は無休)
年末年始(12月28日から1月3日まで)
時間 :09:00~17:00
入場料:無料
駐車場:無料
関連URL:石油の世界館 新潟市