日本最古の即身仏(ミイラ仏)を拝みに行く「西生寺(1)・弘智上人」【新潟】

西生寺
新潟県長岡市の真言宗のお寺・西生寺(さいしょうじ)には約650年前の日本最古の即身仏が祀られています。3000日にも及ぶ厳しい修行に耐え抜いて入定された弘智法印即身仏(こうちほういんそくしんぶつ)です。日本で最も古い即身仏を拝みに行ってきました。

全国17体のうち最古と最新の即身仏がある新潟

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以前「日本最後の即身仏(ミイラ仏)を拝みに行く 観音寺・佛海上人」という記事で、日本で最も新しい即身仏をレポートしました。全国で合計17体しかない即身仏のうち、新潟には4体。しかも最古と最新の両方が揃っているという、非常に珍しい土地なんですよね。

日本最後の即身仏(ミイラ仏)を拝みに行く「観音寺・佛海上人」【新潟】
即身仏。自らの命と引換えに人々の苦しみを救うために、命絶えるまで苦行を続けた末にミイラ仏となることです。新潟県村上市の観音寺には、日本で最後に即身仏となった佛海上人のミイラが安置されています。

お堂の欄間にらくがき!?

西生寺
ここではお坊様のありがたい説法とともに即身仏を拝観できるんです。訪れた人は入れ替え制で順番に即身仏を拝むそうなので、待ち時間に別のお堂を見学することにしました。入ってびっくり。だ、誰なの! 欄間(らんま)にこんな落書きをしたのは!?

すみません! 立派な芸術作品でした!

西生寺
ペンキで塗りつぶしたような絵を見て仰天したのですが、これは立派な芸術。パリ在住のアーティスト水上貴博さんがお描きになった作品です。す、すみません。私は現代芸術に疎いものでてっきり……。

仏の加持力に突き動かされ渾身の絵筆を桐板に叩きつけた!」と力強い文字で説明書きがありました。水上貴博さんは昭和55年に渡仏して以来、40年フランスにて創作活動を続けている作家さんだそうです。

弘智上人の人生を振り返る

西生寺
予約時間が迫ってきたので、即身仏が安置されている弘智法印即身仏霊堂へと向かいます。およそ660年前の1363年10月2日。弘智上人(こうちしょうにん)が生き仏として入定された日です。鎌倉時代に千葉県の農家の次男坊として生まれ、全国を行脚して仏教を広め、各地で寺院を建立し高野山で修行をしました。

3000日の厳しい修行の末に即身仏に

西生寺
そして60代になってこの地にたどり着き、3000日(約8年)の厳しい木喰行(もくじきぎょう:即身仏となるための修行)を行い、ひたすら座禅と十穀断ちを行いました。そして70歳前後で座禅を組んだまま土中ににて入定(にゅうじょう:苦行の果てに絶命してミイラ化すること)されました。

即身仏となった後も波乱万丈の弘智上人

西生寺
約400年前に弘智法印即身仏を見つけた奴(やっこ:下級の奉公人)に槍で胸をつかれてその時に少し前かがみになってしまったそうです。即身仏をいきなり槍でつくとはなんと罰当たりな! でもそれをきっかけに現在の西生寺(さいしょうじ)境内に移されました。今は西生寺が安住の地となっています。

即身仏・弘智上人のお姿に畏怖の念を感じる

西生寺
いよいよ弘智上人にご対面です。ぽっかりと空いた目でうつむき加減で座禅を組んでいる弘智様。全く腐らずに600年以上もミイラとして残っていることに畏怖の念を感じました。ただただ、ため息をもらしたままお顔を見つめるばかりでした。

本物の即身仏は写真撮影NGですが木造はOK

西生寺
実物の即身仏・弘智様を拝むことはできたのですが、当然のことながら写真撮影は禁止です。ですが、別のお堂に弘智法印即身仏のダミー、つまり実物大の木造が安置されています。なので冒頭の写真は本物ではなくて木製の人形です。こちらは写真撮影は大丈夫でした。

出開帳で破損・紛失されないようにダミーが作られる

西生寺
なぜこんな木造が作られたのかと言うと、当時全国で即身仏を拝む出開帳(でがいちょう)が流行ったんですね。その際に多くの即身仏が紛失したり破壊されたりしてしまいました。そこでそっくりそのまま弘智法印即身仏をコピーしたダミーが作られ、本物の弘智上人の代わりに過酷な出開帳の旅に行ってくれたのでした。

日本最古の即身仏が残っているのもこの木造のおかげかもしれません。ちなみにこの木造もちゃんと弘智法印の魂を入れ、開眼しているので霊験あらたかですよ。

実は身長179cmもある大男の弘智上人

西生寺
ところで弘智法印即身仏を見て思ったのですが、意外に大きかったんですよ。これまでたくさんの即身仏を見てきましたが、どれもこぢんまりとした佇まいで「昔の人は小さいな」と感じていたのですが、この弘智様は身長が179cmもあるんです。当時の人としてはかなりの大男ですよね。

生前は筋骨隆々のマッチョだった可能性大

西生寺
1959年に早稲田、東大、新潟大学など多数の学者による研究チームが調査したところ、血液はAB型で生前の病根はなく、下肢骨がとても発達していたそうです。全国を行脚した上に厳しい修行をされていたので、弘智上人は生前筋骨隆々のマッチョだったのかもしれませんね。(2019年05月06日訪問)【麻理】

参考文献

地図&情報

西生寺(さいしょうじ)

住所 :新潟県長岡市寺泊野積8996
電話 :0258-75-3441
休業日:不定休
時間 :09:00~16:00
拝観料:500円
駐車場:無料(20台)
関連URL:西生寺 | 新潟県長岡市寺泊|日本海を一望の景勝地

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