コスタリカの石球は南米コスタリカで発見された様々な球体の石です。そんなコスタリカの石球に似た石が山梨市内に点在しています。甲府の不思議な球体・丸石神についてのレポート。
山梨の謎の球体郡
いったいなぜ山梨県に球体の石を祀る信仰があるのか。子供の頃から興味を持っていた丸石神をようやく見ることができました。今回の山梨旅行で最も力を入れ時間をかけた丸石神探し。しかしこの調査が大変だったのなんの!
なぜ作られたのか、どのような意味があるのか
というのもこの丸石神、なぜ作られたのか、どのような意味があるのかなど不明な点が多い上に、文化財認定もされておらず、観光資源としても見られていないのです。地元の人に写真を片手に「このようなものを知りませんか?」と尋ねても皆さん「さあ……」「見たことない」と首をひねるばかりなのです。
苦労の末、11基を探す
私が持参していた資料は学研『ムー』(1986年6月号)の2ページのみ。『ムー』は小学生の頃からの愛読書です。あやふやな地図しか載っておらず大変苦労しましたが、なんとか山梨市に点在する11基を発見することができました。700基以上とも言われる丸石神のほんの一部ですが感激しましたよ。
大きさ、奉られ方、場所も様々
大きさは数十センチから1m近くあるものまでいろいろ。1基のみが石の台に置かれているものや、複数基が集合しているもの。道の端にぽつんと置かれていたり、神社・寺の境内にあったり。以前ご紹介した金山神社の中にも奉られていましたね。
丸石神とはいったい何か?
丸石神とはいったい何か? ある説では道祖神だと言われています。道祖神は悪霊などが入り込まないように道に奉られた神です。古来から日本には村の境などに道祖神を立てる風習があります。しかし道祖神は男女一体型や男根型のものが多く、球体の道祖神は山梨以外ほとんど見られません。
子孫繁栄を願うものか?
石そのものを崇める信仰も世界中にあります。球体を生命のやどる卵の象徴として、子孫繁栄を願うという説も考えられます。山梨県は甲斐の国ですが、このカイとは「卵」の意味があるそうです。丸石神信仰とのつながりも感じられますね。
人工物か自然物か
実物を見るまでは川で自然に丸く削られた石ではないかと思っていました。珍しいので昔の人が拾って集めただけではと。でも真球に近いようなものや巨大な丸石神を実際に目の当たりにすると、人工物のようにも思えます。
謎は深まるばかり
地中から火山活動によってできたという説、川で球体化したという説、信仰の対象として作られたという説。諸説ありますが、人工物、自然物両方があるのかもしれません。分からないことばかりでますます謎は深まるばかり。
丸石神探訪のエピソード
最後に一番上の写真のエピソードを。最も見つけるのに苦労した丸石神です。写真を片手に長時間探し回り、ある民家を訪ねて聞いてみたんです。その家のご婦人はご家族全員にも聞いて下さったんですが「見たことも聞いたこともない」とのことでした。
家の裏手に丸石神が!
がっくりうなだれて帰ろうとしたところ、なんとそのお宅のすぐ裏手にこの丸石神があったんですよ! ちょ、見たことも聞いたこともないって……。でも地元の方にとってはあるのが当たり前の見慣れた光景なんでしょうね。丸石神がいかに山梨の地に自然に溶け込んでいるかがよく分かりました。(2007年04月14日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
丸石神(まるいしがみ)
住所 :山梨県山梨市(上記地図を参照のこと)