長崎市から南西に18.5キロの海上に浮かぶ人工島・軍艦島。正式名称は端島(はしま)ですが、海に浮かんだ様子が戦艦・土佐に見えることから軍艦島と呼ばれるようになりました。
人口密度は東京の9倍!
19世紀後半から海底の石炭採掘による埋め立てが進んだ結果、東西約160m、南北約480mの人工島になりました。最盛期の1960年には5000人以上の人が住み、人口密度はなんと東京の9倍。世界一の人口密度です。
世界でも珍しい島まるごとが巨大な廃墟
しかし昭和49年(1974)の炭坑閉山により軍艦島から人びとは去っていきました。閉鎖から30年。島全体が「巨大な廃墟島」という世界でも珍しい地になったのであります。それぞれの建物は空中回廊や階段で結ばれています。まるで未来都市のようでもありますね。
2008年春からは一般公開予定
軍艦島は廃墟マニア垂涎の地。2008年からは一般公開が予定されています。今回は外から軍艦島を眺めるクルーズツアーに参加しました。
100分間のクルーズツアー
私が選んだツアーはやまさ海運(株)が主催する、港めぐり遊覧船軍艦島クルーズ。途中三菱の造船所やイージス艦の近くを通過するので、ある種のマニアの方も楽しいのではないかと。
軍艦島の姿に観光客もどよめく
小さな島々を通り過ぎ、デッキでのんびり景色を眺めて30分。前方に軍艦島が見えてくると他の観光客がどよめきはじめました。みんなカメラを構えて手すりに近づきます。きたきたー!
生活のすべてがみっちり詰まった島
島の中には採掘場、高僧アパートだけでなく、学校、公民館、消防署、派出所、公園、映画館、体育館、お寺、神社、パチンコ店、テニスコート、プール、バーまでありました。それらがみっちりと島内に詰め込まれているのです。
心をとらえて離さない魅力
ただただその迫力に言葉を失うのみです。外殻のみになっている高層マンション。それぞれの施設を結ぶ迷路のような空中回廊。ボロボロにひび割れた鉄筋コンクリートの壁。廃墟マニアでなくても、心をとらえて離さない圧倒的な迫力があります。
箱庭のような廃墟島
映画やゲーム、写真集の舞台として人気なのも納得。法を犯してまで侵入する人が後を絶たないのもなるほどと思えます(いや、絶対にいかんですよ、無断上陸は!)。全てがコンパクトに収まった箱庭のような廃墟島。小宇宙の美や、侘び寂びを好む日本人にはなおさら魅力的なんでしょうね。
観光客視点で見てみたけど
とまあ、観光客の視点で軍艦島を見ていたわけですが、ここに住んでいた人は今どうしているのでしょうか。1974年まで80年間、人びとが軍艦島で生活したのです。軍艦島で生まれ育ち、現在も達者で暮らしている方もいらっしゃるでしょう。
故郷に立ち入ることができない人も
自分の故郷に足を踏み入れることができず、遠くから眺めるだけというのはどんな気持ちなんでしょうか。ふるさとが潮風と荒波にさらされて朽ちていくのを見続けている人たちもいるんですよね。(2007年11月09日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
やまさ海運 軍艦島(ぐんかんじま)クルーズ
住所 :長崎県長崎市元船町17-3 長崎港ターミナル1F
電話 :095-822-5002
料金 :コースによって違うので公式サイト確認
時間 :コースによって違うので公式サイト確認
関連URL:長崎港めぐり遊覧船 軍艦島クルーズ| やまさ海運株式会社