長崎県島原半島57号線沿いのマリーンアート館。青いペイントの屋根が目印の喫茶店&ギャラリーです。ここは日本で唯一、いえ世界で唯一というウナギアートが見られるんですよ。
ウナギの皮で作る一種の貼り絵
ウナギアートとはなんぞや? これはウナギの皮をなめし、色をつけて細かく切ったものを貼り付けて作る一種の貼り絵なのです。ウナギアートを手がけるのは小学校教師をなさっている岡村智佐子さん。作品が喫茶店の壁にたくさん掛けられていますよ。
昔からウナギの皮製品は作られていた
いったいなんでわざわざウナギの皮を? 喫茶店のオーナー兼館長さんである、岡村さんのお姉様にお話をうかがいました。そもそもウナギの皮をなめして使う技術は昔から日本にあったそうなんです。えっ、知らなかった!
伝統の技を義理の兄から習得
草履の鼻緒や財布などに使われていたのですが、牛革の技術が広まるにつれウナギ皮は使われなくなりました。その技術を義理の兄上(彼は父上から習得)から習い、蘇らせたのが岡村さんというわけです。
なめすと独特な光沢がでるウナギ皮
材料に使われるウナギは普通の蒲焼きのウナギとは違って、皮をはいでなめすと美しい光沢が出る地元産のウナギです。食用には向かないそうですが、皮を染色すると独特なムラが出てそれが魅力になるのだそうです。
一見して油絵のようなウナギ絵
気さくでお話好きの館長さんが一つ一つ解説してくださるのでじっくり鑑賞できます。作品は一見して貼り絵と思えない緻密さ。近づいてよく見なければ普通の油絵の風景画みたいですよ。作品は故郷の長崎を描いたものが多いですね。
繊細な色合いをウナギ皮の色むらで表現
薄い色ムラは自然の微妙な色の変化を描くのにぴったりなんです。とてもウナギで作られたものなんて思えませんよ。見ての通り製作には時間がかかるため、年に2枚ぐらいのペースで作られています。丁寧で美しい仕上がり。ウナギでアートとはかなり「珍」だなあと思ってしまってすみません。
伝統技術+アート
岡村さんの作品だけでなく、お弟子さんの力作も展示されています。失われつつある日本の伝統技術をアートに昇華させて、たくさんの人に広めたいという岡村さんの熱意がこもったギャラリーです。
にこやかで気さくな館長さん
喫茶店だけでなく階下のアトリエまで見せて下さった館長さんに大感謝。帰り際にブログに記事を書きますねと言ったら、「たくさん宣伝してねー!」と元気に手を振ってくださいました。(2007年11月10日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
マリーンアート館(まりーんあーとかん)
住所 :長崎県雲仙市小浜町富津4223-2
電話 :0957-74-3417
時間 :10:00~18:00
休業日:毎月1・15日
入場料:無料
駐車場:無料(7台)