大分県の桂昌寺跡 地獄極楽。江戸時代後期に高僧と村人が掘った約70メートルの洞窟には、地獄と極楽の様子が再現されています。最後に高さ5mの竪穴を登ると極楽浄土を見られます。
僧侶・午道法印の呼びかけで復興
桂昌寺(けいしょうじ)の開基は室町時代中期。しかし江戸時代には廃墟となっていました。その後、江戸後期に江戸の午道法印(ごどうほういん)という僧侶が安心院を訪れ、村人に桂昌寺復興を呼びかけました。
村人総動員で桂昌寺を再建
村人は午道法印の辻説法に心打たれ、協力して本堂を再建。裏にある岩に約70メートルの洞窟を彫って、人々を教え導くために地獄極楽の風景を作りあげたそうです。現在は約40メートルの洞窟内を見学できるんですよ。
静かな洞窟内で精神修行
お寺にある洞窟というと神奈川県の田谷の洞窟を思い出しますね。洞窟に入ると俗世から隔離され、静かに自分自身を見つめ直すことができます。きっとお寺と洞窟は相性が良いのでしょう。
人が全くいなくて不気味
ガイドのKさんと一緒だったから良かったものの、一人だとかなり怖いですよ。あたりには全く人気(ひとけ)がなく、洞窟内は裸電球が薄暗く灯っているだけ。田谷の洞窟よりも不気味度が高いですね。
閻魔大王は全てお見通し
最初にお地蔵様に導かれ、閻魔大王の石像の前に出ます。恐ろしい顔だちですね。牛頭(ごず)・馬頭(めず)もいますよ。足下の池は、人間の生涯が全て写し出されるという地獄の鏡を表しているようです。
あの世の風景をそっくり再現
血の池地獄では赤鬼、青鬼が。石像の表面はコケがはりついていてよくみえないのですが、ぐわっと口を開けて仁王立ちしているのが分かります。他にも三途の川や賽の河原など、話に聞くあの世がそっくり再現されています。
稚拙なだけによけいに怖い
不気味な感じがするのは石像の作りにあると思います。下手にかっちり作られている仏像よりも、稚拙な描写の像ほど迫力があって、感情が籠もっている感じがするんですよ。ホント一人じゃなくて良かった。
極楽浄土へは縦穴を登って
出口近くには高さ5メートルの垂直の縦穴があります。クサリを伝って登ると極楽浄土を表現した丘に出るんだそうで。ワタクシ登る気満々でクサリを握りしめましたが、Kさんに危ないからと止められてしまいました。ありゃりゃ。
極楽より地獄の方が魅力的
別のルートで極楽浄土に行ってみると、阿弥陀如来や菩薩様が安置されていました。暗い洞窟にいたのでより日差しを明るく感じます。これが極楽か……。うーん。確かに眺めはいいけど地獄の方が面白かったなあ。(2006年12月12日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
桂昌寺(けいしょうじ)跡 地獄極楽ツアーガイド
住所 :大分県宇佐市安心院町東恵良
電話 :0978-34-4839(安心院町観光協会)
時間 :09:00~15:00
ガイド:事前に電話で問合わせ・予約
拝観料:100円
駐車場:無料
関連URL:宇佐市観光協会安心院支部